読書|何者
何年か前の就職活動の記憶がヒリヒリを思い出される。あの頃の胸の痛みは、まだまだ健在だ。
就職活動を控えた5名が集まるアパートの一室は、同志のように見えて、全員自分の胸の内は隠しているような緊迫感がありました。
ここぞとばかりに経歴を熱く語る理香や、個性で就職活動からはみ出そうとする隆良は、確かに痛く感じるものがあります。
特に、失敗を自分のものと認めたくないがために、人には夢語りを気持ちよくする隆良は、見ていてモヤモヤする部分が。
ぐはっ。自分にも朝井リョウの言葉が刺さります。創作物や知識だって、他の人に触れなければそれ以上のものになりません。
私は自分の持っているモノの、あたため癖があります。自信がないから、他人の目が気になるから、中途半端なものを出したくないから。
要は、怖いんですよね。
自分の中のものが、外の世界に出たときに、今まで通りの形を保てなくなりそうで。でも、守り続けていては、自分が届けられる価値が埋もれてしまいます。
自己肯定感を上げるモノが、誰かのために届るモノになったら、評価は下されるけれど、幸せや感動の範囲は広がるかもしれない。
何者を読んで、外に向かう意思が強まりました。noteも自分の中から飛び出る世界になるので、これからも程よく続けていきたいです。
朝井リョウさんの読書記録はこちらです。
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