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たまたまたまごの悲劇

noteでエッセイを書くポイントに「自分の失敗談」と紹介している方がいました。ふーん、なるほどぉと思っていたのですが、ついにその知識を活かす時がきたのです。

我が家では、一週間の献立を考えてからスーパーへ行きます。7日間の晩ご飯を考える脳みそがクタクタだったので、ナマズ(=旦那)に食べたいご飯教えてちょ!と連絡をしました。

今週のリクエストは、ハッシュドビーフとおでん、チーズダッカルビ、オムライス。週の半分以上も考えてくれるなんて、いいナマズだわと感心しました。

早速、スーパーに行った日におでんを鍋でコトコト作ります。

食べる時に、あっ!と大事な卵を作り忘れていることに気づきました。

今更卵を茹でる元気などないし、我が家にはゆで卵機のような最新家電はありません。

おでんをコトコト煮ている間、呑気に読書をしていた自分を恨みます。あの時、絶対ゆで卵作れたじゃないか、仕方なし…と卵なしおでんをいただいたのでした。

翌日のメニューはハッシュドビーフ。今日のご飯の準備は楽だな〜時計を見たとき、頭にアイディアが降ってきます。

ゆで卵、再チャレンジできるのでは!?

ハッシュドビーフと合わせるのも美味しいし、明日の朝ごはんで残り物のおでんを出すから、卵ありおでんも楽しめちゃう。

しめしめ、これでゆで卵のミスはカバーできるぞ、と勢いよく作り始めました。

雪平なべに水を張り、お酢を入れて沸騰させます。ぶくぶくぶく…卵を4個投下!菜箸でくるくると動かして、様子を見ます。10分経ってお湯を切り冷水を注ぎました。

ハッシュドビーフの上につるんと卵がのるビジュアルを想像し、楽しみだな、早く食べたいなと気分が上がってきてます。

よし、ゆで卵が冷めたところで殻を剥くか、と作業を開始したところ、あれ、なんだかうまく剥けない。おかしいぞ、白身が殻に引っ付いてボロボロ崩れていく。ゆで卵本体がどんどん小さくなってきた…まずい、黄身がベロンって出てきちゃったよ。

残り3つは平気だと信じ殻を剥き続けましたが、最終的に全てのゆで卵がボロボロの結果に終わりました。

普段、家で写真を撮らないのに、
noteのためにわざわざ撮ってしまいました。
これで、ゆで卵ちゃんも少しは報われたかしら。

ゆで卵の最終形態にショックを受けました。あんなに楽しみにしていた、ハッシュドビーフの上につるんとのる姿も叶いません。

白身を無駄にしてしまったこと、4個剥くのに10分もかかったこと、色々落ち込みました。

どうしていつもは上手くいくゆで卵が、今日に限ってボロボロになってしまったのだろう。スマホを片手に調べます。

どうやら、新鮮な卵は二酸化炭素が多く含まれていて、殻と白身の間がピタッとくっつきやすくなるようです。

あ!水槽の中に卵を2個入れると、ぷかぷか浮かぶのと沈んでしまうの、どっちが新鮮?というやつか、と気づきます。

料理の常識なのか、母から教わることなのか。私は今日までゆで卵の常識を知りませんでした。

今までは、卵の消費期限がもうすぐだからゆで卵にしちゃおう!と冷蔵庫に2週間ほど眠っていた卵たちを使っていました。

たまたまゆで卵がうまく剥けていただけなのか、と気づきます。スーパーで買いたてのこの子たちは、二酸化炭素をたくさん含んでいたんですね。

とりあえず、食べれることには変わりないので、この子達をお皿に装います。

このゆで卵ちゃんを、

ハッシュドビーフの下に埋めることで、見た目が気にならなくなりました。

味はもちろん、美味しかったです。ナマズに、ゆで卵がボロボロになったと報告すると「あら、可哀想に」と大して反応を示してくれませんでした。

あなたがリクエストしたハッシュドビーフを、より美味しくにするために頑張ったのよ!と心の中で唱えていると、

「たまご、美味しいよ。見た目関係ないよ」とバクバク食べていました。やっぱり、いいナマズだわと頭を撫でます。

つぶらな瞳で見つめてくるナマズに、今回のゆで卵の失敗をnoteにあげようと思うの、と伝えたところ「ハッシュドビーフに殻が入ったって話?」と予想外の返答が来ました。

へ?殻?と言うと、ナマズの口の中でガリッと鈍い音が鳴ります。「あ、ちがうの?殻食べちゃおっと」そのままガリガリ飲み込んでいました。

うん、違う。私の失敗は、殻がハッシュドビーフに入ったことじゃなくて、うまく殻が剥けなくて卵がボロボロになったこと。

そして、ごめん。10分かけて剥いたけど、殻取り切れてなかったね。私の方は大丈夫だったから気づかなかったよ。

美味しそうにハッシュドビーフを頬張るナマズを見つめ「よく噛むんだよ〜」と真実は伝えず、noteができたら読んでもらおうと思いました。

翌朝のおでんにも、ボロボロのゆで卵が登場。カタチは歪だけど、とっても美味しかったです。


前回の夫婦エッセイはこちらです。

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