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作家にもっとも必要な能力は?

作家で一番必要な能力は何かと問われると、メンタル以外にありません。

作家というのはスポーツ選手とは違って、引退がない仕事です。

作家が次回作を出せなくなるのは、売れなくなって出版社からお呼びがかからないか、スランプになったり、燃えつきて書けなくなるかの二つです。

「あいつは終わった」と言われたくなければ、死ぬまで書き続けるしかないんです。

作家志望者がデビューする確率が一万分の一、デビュー後生き残れるのは百分の一といわれています。信じられないほどの確率の低さです。

さらにずっと売れ続けている作家というのは皆無です。

かつて売れていた作家が、十年後二十年後には消えているなんて普通のことです。

どんなに名前の知られた有名作家でも、その作家人生を俯瞰で見てみると、右肩上がりで終わることはまずありません。

デビューから死後直前まで売れ続けていた作家って、僕が知っている限りでは山田風太郎先生ぐらいしかいないんじゃないですかね。

売れないのも辛いですが、売れてから売れなくなるのはもっと辛いです。

よく生活レベルを一旦上げると、下げるのが難しいというじゃないですか。それと似ていますね。

かつてはベストセラーを連発して編集者も読者もチヤホヤしてくれたのに、今はまったく見向きもされない……やっぱりそれって精神的にはかなりきついです。

「過去売れてたからいいじゃん」と普通の人なら考えるかもしれませんが、作家にとって大切なのは過去ではなく現在なんです。

だから作家が一番喜ぶのって、最新作を読んでくれることなんですよね。過去作よりも最新作の方が重要なんです。

もし作家さんと会う機会があれば、過去作よりも最新作を読んで感想を言ってあげてください。それがもっともありがたいんです。

あと作家って、共感性や感受性が高い人が向いています。

空気が読めなかったり鈍感な人が書く小説が面白いわけないじゃないですか。人の気持ちが痛いほどわかる。そういう方が作家向きの性格です。

でもこれを逆から見れば、精神的に脆いってことでもあります。ガラスのハートですからね。

文豪の自殺率が多いのもそのせいです。傍目では好調そうに見えても、その内面はズタズタなんです。

作家が一生右肩上がりで売れ続けることは不可能です。さらにこれからの時代、小説はより売れなく、より読まれなくなるのは周知の事実です。

小説という表現形式が二十年、三十年後には消えていてもなんら不思議ではありません。

それでも作家であり続けるには、メンタルの強さが重要なんです。だから作家にとって一番大事な能力はメンタルなんです。

つまり矛盾しているんですよ。

作家というメンタルが弱い人がなるものに、メンタルの強さが必要だと言っているんですから。でもその矛盾にうまく付き合わないとダメなんですよね。

作家になりたいという人は、この地獄道に足を踏み入れたいと言っているのも同然です。

結構しんどいことを書いてしまいましたが、もちろん作家になる喜びもあります。

最高の作品が書ければ、その作家が死んでも読んでもらえることができます。

そんな仕事って中々ないじゃないですか。会社員の人はその人が会社を辞めてしまえば、その人が培ってきた仕事はその時点でなくなることが大半です。仕事が残らないんです。

しかも小説って、ゲーム・アニメ・映画や漫画とは違い、文字のみで表現します。

他のジャンルと比べて、読解力や想像力という受け取り手の能力をより必要とします。

でもその分、読者の心の深い部分に刺さりやすいんです。より繋がれるというわけですね。

作家であり続ける大変さを超える喜びが、作家にはあるんですよ。

作家志望者の方は、ぜひぜひこの地獄道を楽しみながら歩んでください。



↓最高の感動作です。おすすめです。未読の方は、ぜひ読んでみてください。



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