アサーション:すぐに使える!仕事も人間関係も劇的に変わる「伝え方のコツ」
「どうしていつも言いたいことがうまく伝わらないんだろう?」と感じたことはありませんか?コミュニケーションがうまくいかないと、仕事も人間関係もギクシャクしてしまいますよね。
でも、実は伝え方次第でその悩みは解消できるんです。今回は、誰でも簡単に実践できる「ちょうどいい伝え方」、つまりアサーションスキルを使った伝え方のコツをご紹介します。
強すぎる言い方 vs. 弱すぎる言い方
まず、よくあるコミュニケーションの失敗例から見ていきましょう。
強い言い方の例
職場で、同僚が何度も締め切りを守らなかったときに、怒りを伝えてしまうとどうなるでしょうか?
強い言い方: 「また締め切りを破ったの?やめてくれよ、、」
このように、強く主張しすぎると、相手は防御的になり、関係が悪化することが多いです。自分の気持ちは伝わりますが、相手の協力を得ることは難しくなります。
弱い言い方の例
一方で、相手に気を使いすぎて自分の気持ちを抑え込んでしまうと、どうなるでしょうか?
弱い言い方: 「大丈夫、気にしなくていいよ。また次回でいいから。」
これでは、あなたの本当の気持ちが伝わらず、結果的に同じ問題が繰り返されることになります。
ほどほどの言い方で関係を改善
では、どうすれば良いのでしょうか?ここで活躍するのが「ちょうどいい伝え方」です。自分の感情を適切に表現しつつ、相手にも配慮する方法、それがアサーションです。
アサーションとは、自分の意見や感情を正直に、相手を尊重しながら伝えるコミュニケーション方法です。攻撃的(相手を傷つける)でも受け身的(自分を抑える)でもない、互いの権利を大切にする自己主張のスタイルです。
アサーションの生まれた背景
1960年代のアメリカでは、多くの人々が社会の不平等を正そうと立ち上がりました。この時期の代表的な社会運動が市民権運動とフェミニズム運動です。
市民権運動では、黒人をはじめとするマイノリティが、人種差別をなくし、平等な権利を求めました。バスやレストランでの人種差別に抗議し、「すべての人に同じ権利を!」という声が高まりました。
フェミニズム運動では、女性たちが「社会の中で男性と同じ権利を持ちたい」と訴え、職場での差別撤廃や意思決定の自由を求めました。
こうした運動が進む中で、ただ感情的に声を上げるだけでは、新たな対立が生まれることもありました。そこで、「自分の意見をしっかり伝えながらも、相手を尊重する」新しいコミュニケーションの必要性が生まれ、アサーションが注目されるようになったのです。
アサーションの具体例
では、具体的な例を挙げて、アサーションがどのように使えるかを見ていきましょう。
例1: 職場での意見対立
状況: あなたと同僚がプロジェクトの進行方法について対立しています。あなたは、もっと時間をかけて品質を高めるべきだと考えていますが、同僚は早く結果を出すべきだと主張しています。
強い言い方: 「そんなやり方じゃダメだよ。もっと時間をかけてやらないと品質が落ちるに決まってる!」
弱い言い方: 「うーん、君の言うとおりかな…。じゃあ、急いでやってみようか。」
アサーションの例: 「私はこのプロジェクトの品質を高めるために、もう少し時間が必要だと思っています。ただ、あなたが早く結果を出す必要があると考えている理由も理解できます。お互いの考えを踏まえて、最善の進め方を一緒に探しましょう。」
このように、アサーションでは自分の意見を明確に伝えつつ、相手の立場も尊重しています。これにより、対立ではなく建設的な対話が可能になります。
例2: プライベートでの友人とのやり取り
状況: あなたが友人に会う予定を立てていたのに、突然キャンセルされました。これが何度も続いていて、少し不満を感じています。
強い言い方: 「またキャンセル?いつもそうだよね。本当に迷惑なんだけど!」
弱い言い方: 「大丈夫、全然気にしてないよ。また次回でいいよ。」
アサーションの例: 「最近、予定をキャンセルされることが続いているので、少し残念に感じています。もちろん忙しいのは分かっているけど、次はもう少し早めに教えてもらえると助かるな。」
この場合、自分の感情(残念に感じていること)を伝えつつ、相手の事情にも理解を示しています。また、次回の改善点(早めに知らせてもらう)も具体的に提案しています。
例3: 上司へのフィードバック
状況: あなたの上司が、いつも会議の時間を延長してしまい、予定どおりに終わらないことに困っています。
強い言い方: 「毎回会議が長すぎます!もう少し時間を守ってください!」
弱い言い方: 「会議が長引くこともありますよね…。まあ仕方ないです。」
アサーションの例: 「最近、会議が予定より長引くことが多く、他の業務に影響が出ています。効率よく進めるために、次回からはアジェンダに沿って進める時間をもう少し意識できると嬉しいです。」
上司に対しても、アサーションを使えば適切にフィードバックを行うことができます。自分の困っている状況を具体的に伝え、改善策を提案することで、相手も納得しやすくなります。
アサーションスキルを身につける方法
「でも、アサーションってどうやって身につけるの?」と感じるかもしれません。実際には、いくつかのステップを繰り返すことで、少しずつ習得することができます。
1. 事実と自分の感情に気づく
最初のステップは、何が起きたのかを冷静に事実として捉えることです。ここでは、「○○が起きたから、自分はこう感じている」という因果関係を整理します。感情を抑えず、しっかり向き合うことが大切です。
事実を曖昧にせず、「〇月〇日に提出する予定だった資料がまだ届いていない」など、具体的な出来事をはっきりさせると、問題点が見えやすくなります。
感情は怒りやイライラ、不安、困惑など様々ですが、「自分は今、こう感じている」と素直に言葉にすることで、心の整理にもつながります。
感情を無視して伝えると、後でストレスがたまり、関係にも悪影響が出ることがあります。自分の内面をしっかりと把握することで、次のステップでより効果的に伝えられるようになります。
2. 具体的な言葉で伝える
自分の気持ちを伝えるときは、攻撃的にならないように「私」を主語にすることがポイントです。
「私メッセージ」を使うと、自分の感情を素直に表現しながらも、相手を責める印象を与えません。
事実を述べた後に、自分が感じたことを伝えることで、誤解を防ぎ、建設的な対話がしやすくなります。
例:「今回の締め切りが守られなかったことで、少し困りました。」
→ このように、「具体的な事実」+「自分の感情」を組み合わせることで、相手も冷静に受け止めやすくなります。
3. 相手の気持ちにも配慮する
アサーションでは、自分の意見を伝えるだけでなく、相手の気持ちや立場にも気を配ることが重要です。相手が「理解されている」と感じると、協力的な関係が生まれやすくなります。
具体的な伝え方の例
「今回の締め切りが守られなくて困りました。何か大変なことがありましたか?」
→ 相手の状況を確認することで、責めずに建設的な会話を促せます。
ポイント
質問を使って対話を促す:「私はこう感じたけど、あなたはどう思いますか?」
相手の立場を想像する:「忙しかったなら、サポートできることはありますか?」
4. 建設的な解決策を提案する
ただ問題を指摘するだけでは、相手は責められたように感じてしまうことがあります。そのため、次にどうするかを一緒に考える提案が大切です。
解決策は、相手にとっても実行しやすい具体的な内容にするのがポイントです。「何とかしてほしい」などの抽象的な表現ではなく、具体的な行動に落とし込むことで、相手も協力しやすくなります。
例:「次回からは、締め切りの1日前に進捗状況を共有してもらえると助かります。」
→ このように、提案が具体的であるほど相手も受け入れやすくなり、協力的な関係が築きやすくなります。
また、解決策を一緒に考えることで、相手が「自分も関わっている」と感じ、主体的な行動を促すことができます。
まとめ
アサーションスキルは、ただ自己主張するだけではなく、自分の意見をしっかり伝えながらも、相手を尊重するコミュニケーション方法です。冷静に事実を整理し、自分の感情を具体的に伝え、相手の意見を尊重しながら解決策を見つけることで、仕事や人間関係がよりスムーズになります。