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酔って思ったことを連綿と書き残す14「麻紐と鋏」

昨晩、21時ごろ、件のJとごく平和なLINEをしていた。ちょうど、水前寺清子さんの話になったあたりだ。
気づいたら睡眠薬を10錠ほど飲んでいた。
まるでおやつのように食べていた。
ゾッとした。
自殺の虫は、操れるものではない。

「やらかした。ごめん!」と告白した。「バカ!」と云われた。
でも、その程度で済んでよかった。
死にはしないだろうけど、即、御不浄に行って、その辺にあった麻紐でベッドと自分の手首をくるくると繋いだ。
夢遊病対策である。
あいつの野放しはまずい。こないだ痛い目に遭ったばかりだもの。
それだけは阻止したい。
そうして、自らSMプレイをおかして、掛け布団の上に寝転び、そのまま眠った。

朝の3時、一度目覚めたらしい。その時に、上司でもあり友人でもある人に、「今日、ダメだと思う」という主旨のLINEを送っていたから、起きたのは事実のようだ。
実は、不断はJにしか言わないようなことを、その前々日あたりかな、その上司にも(その日は珍しく酒乱と化していた)言ってたらしくて、上司はその翌日、とても優しく「面白かったね、昨日」なんて言っていたのだが、とんでもない。
忘れろ、と言いたい。
その黒歴史を今だに回顧する勇気はないのだが、その流れで、業務的に、素直に白状して「出勤できそうにないや」と伝えていた。

本音は、仕事に行きたい。
前回かな、鬱状態でもパブリックでは普段通りに過ごせる、二分化された自分が存在している話をしたと思う。
「死にたい」「頭がおかしい」と言うプライベートの自分と、パブリックの自分が、完全に離れることが出来る。ぶっちゃけ、パブリックで24時間365日働いていた方が、私は楽だ。私は「休日」や「夜」になると自殺の虫に食われる。
仕事をしていた方がマシなのだ。
このまま欠勤したら、もう、最悪だ。厭すぎる。厭だ。

朝6時。起きあがろうとする。
8時。こんがらがった麻紐をどうにか解く。
出勤時間が目前に迫っている。
眠すぎて動けない。
なぜか、そこで、洗濯機を回した。冷蔵庫を開けて、卵を落としたらしい(帰宅後に発見)
無茶苦茶である。
上司からのLINEが絶えず入る。
「遅刻」
私は、そう宣言した。
上司はどうやら「お腹が痛いから遅刻すると連絡がありました(本当は電話連絡だけが職場への唯一の連絡手段なんだけど、そう電話がかかってきた)」と周囲に嘘をついてくれたようだ。持つべきものは、友達だね。
「ゆっくりでいいからね。なんならこのままおやすみしてもいいからね」

正直、あれだけ薬を飲んだんだから、もっともこのあたりで明日あたりまで事切れててもおかしくなかったような気がするのだが、私は、正午前に職場に着いた。
そして、ふつうに(ちょっとだいぶ寝たけど)仕事をして、今夜に関しては「自殺の虫」もいないらしく、Jや上司とほんわかとLINEをして、こうして一日が終わろうとしている。
落とした卵の掃除が本日のなによりの憂鬱だった。

なんとかなるもんなんだね(盛大に、遅刻はしたけどね)

ちなみに昨晩生まれたSMグッズたるベッドの麻紐は、帰宅した後で冷静に見たら、枕元でトグロを巻いていて、ゾッとするような、まるで「殺人現場を見た」かのような感じだったのだけれど、そのままにしている。
しばらくは使おう。
鋏をそっと近くに置く。
なんとも物騒な寝台が完成した。

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