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【連続note小説】日向食堂 小日向真司29歳

文枝が癌を患って手術を受けたが、手の施しようがなかった。
文枝は日に日に衰弱していった。
それでもあおいは毎日のように文枝を見舞い、世話をした。
 
誠司が死んでから働き詰めで、苦労を掛けっぱなしだったことを真司は悔いた。
自分が高校に行ったばかりに母の苦労に拍車をかけた。
今さらながらそのことを悔いて、真意は自分を責めた。
「温泉に一緒に行くんじゃなかったのか・・・」
 
病床の文枝は、真司に優しく語りかけた。
「お母さん、おまえに助けたもらってばかりだったねぇ。
おまえがいたから生きてこれた、今までありがとうね。
いつも我慢ばかりさせて悪かったねぇ。
辛いのに泣かなかったもんね。本当に強くて優しい子。
そして世界一親孝行な息子。
あおいちゃんには甘えなさい。
もう我慢しなくて、大丈夫よ」
 
文枝の最期の言葉った。
静かに息を引き取った文枝の亡骸にすがり、真司は喉が張裂けんばかりに嗚咽した。
生まれて初めて・・・。


「泣かないように くいしばった そんな毎日 背負って生きてた
だけど あなたがくれた『大丈夫』が もういいよって聞こえた
『ミセナイナミダ』はきっといつか 虹となり世界てらして
大切な人達を 守る光となる
皆抱える荷物でも 平気な顔でツヨガリ
ただ涙 涙 涙でも 君が笑えるなら」

GReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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