りの

コンセプトは1分で読めるポエム

りの

コンセプトは1分で読めるポエム

最近の記事

なんとなくな日々

東京の人は足が速い。 スクランブル交差点を歩く人々は、みな、セキレイのようだ。 そして今、私もそのセキレイの1羽になろうとしている。 東京に越してきて2年が経とうとしている。 春を愛で、夏を感じ、秋をなぞった。 換羽期を終えたセキレイは今年も冬を越す。 18歳の女の子が東京に出てくることでお金では買えない刺激だったり、経験を得ていく。 私はそれを鳥が群れに馴染んでいく光景に似ていると思う。地元では見れない匂いや味。まるで 違う国に来たかのような、あるいは テレビの中に入った

    • 紫の光

      ありえないほど遠くのスカイツリーが見えた時、 その光のてっぺんが見えた時、 今宵、あの人達だけは笑って眠れますように。 そう思う人が増えた。 私はもうここにはいられないから。 後この人と会うのは〇回だ。 カウントダウンをするってことはこの先、もう会わないって思って決めつけてるの?ねえ、わたし 私はよく言う、あなたはこれから離れても会ってくれると思うから寂しくないの。 そんなの嘘だよ。 今夜はスカイツリーがよく見えない。

      • 日記

        友達が恋をしている。 この前会った時、なんか感じた違和感。その恋を話してくれた瞬間から違和感は確信に変わった。 きっと友達も確信した。 「私、好きな人出来た」って。 2023年。本で例えるともう、あとがきの部分だけど、友達の恋はきっとまだめくって3ページ目くらい笑 クリスマスが終わっても、友達が笑って過ごせますように。 P.S.みてるんでしょ?悔いのないクリスマスを!

        • 日記

          今日、映画を見た帰りだった。 渋谷の交差点である人に出会った。 その人はとてもオーラがある人だから、 私は見つけるのが簡単なはずなんだ。 でも、その人も、私も1度は通り過ぎたけど、 振り返ったらこちらを見ていた。 点滅する青信号も気にせず駆け寄った。 私は極力、歩きスマホをしないように心がけている。今日、なんだか報われた気がした。

        なんとなくな日々

          夢の一歩手前

          自分ごとですが、先月内定をいただけて夢の 一歩手前まで来た。結婚式写真撮りに呼んでね! って今では連絡も取らない友人にまで宣言して 地元を出てきたの。 やっぱり夢って口に出すといいみたい。 最終面接で社長が登場して、このお仕事はたくさんのお金をもらって失敗できないお仕事だよって脅された笑 あれは仕事に就く度胸を試されたんだと思う、きっと。私はもう後戻りすることはできない。ここまで来たんだって実感して泣きそうになった。や、あれは泣いてた。面接で泣いてしまってはいけないと思って

          夢の一歩手前

          ススキ

          「ススキの花言葉の1つに、悔いのない青春、という言葉があります。」 両手いっぱいの花束を抱える君にいえなかった言葉。涙と一緒に飲み込んだ。 昨日、お別れ会の花束の買い出しを頼まれた。 十五夜にちなんでススキも入れよう。 1本1本、これも入れよう。あれも入れよう。 なんで、ワタシ前に好きだった人に花買ってるんだろ。 お別れ会当日。 私じゃない誰かから貰ったススキの花束を、 「貰っちゃった」って照れくさそうに抱える君。私が選んだって知らないくせに。 ススキの花言葉の1つに、

          ススキ

          夏のど真ん中

          店のカウンターに立っているとバイト仲間は必ず教えてくれる。 「ねぇ!雨降ってるよ!傘もってきた?」 都心に越して、天気予報も想定外の空模様ってよくあるんだなって感じるのだ。 都心の夜は容赦なく蒸し暑い。 わたしの額も首筋も、鼻の下も汗だくなんだ。 こんな時、わたしって結露したグラスみたいって思うのだ。 今年、初めてフェスに行く。 情報収集、天気予報、出店屋台、ぜんぶぜんぶ気になるんだ。 あぁ、わたし今、夏のど真ん中に立ってる。

          夏のど真ん中

          room

          東京の端にあるアパートの一角。 ここはレストランであり服屋であり花屋である。 そして私は引越し業者でコックで庭師なのだ。 そのまた一角はスタジオであり音楽室。 カメラマンでありピアニストである君。 なんだか靴箱みたいだと思った。

          彼女はフォルテピアノ

          彼女はフォルテピアノのような人だった。 急に始めたダイエット、5日後には燃え尽きた。 憧れの花屋のバイト、手が荒れて指先を見つめた。 バイト先の気になる彼、デートに誘えず彼はバイトを辞めた。 フォルテピアノのような彼女。 彼女は映画の住人だった。

          彼女はフォルテピアノ

          酔っぱらいは猫

          酔っぱらいってすごい。 バイト帰り、フラフラの酔っぱらいが私の前をフラフラしながら家路に着いていた。一人でなにか喋りながら。なんであんな状態でも家に帰れるのだろう。まるで帰巣本能を持つ猫みたい。 私も酔っぱらいになったらおうちに帰れるだろうか。と、心配しているうちに酔っぱらいを追い抜かしてた。 ちゃんと帰れたかな。

          酔っぱらいは猫

          ハタチ

           ねえ、君!私、ハタチになったんだよ。君だよ、そこの君!一番大事な時期を一番近くで見てた、君。  もう、カブトムシが車に踏んづけられて泣いてた私はきっともういないの。だってわたし、ハタチになったんだもん。  誕生日の今日は別にいつもと変わらなかった笑 普通に授業を受けて、自転車でうちに帰った。ただ、その日ちょっと違ったのはうちから少し荷物が減った。わたしの心の荷も少し減った。あの懐かしい部屋の鍵も返した、君に。メイクの変化なんか気づくなよ、ばーか!    今日はちょっと夜遊

          ハタチ

          相談

          今日は睡魔が私を迎えにきてくれないのでずっと前から気になっている事を書こう。 新幹線沿いに建つ、おそらく家賃が安価なアパートがある。バイトへ行く道で使う道だ。夏の夜も、冬の寒い夜も時々、玄関で男の子が座ってゲームをしている。それも裸足でアパートのドアを開けて、腰掛けて。私は心配になる。もしかしてこの子は毒親に育てられているのでは?虐待を受けたり、家に入れてもらえなかったりするのでは?夜に座ってゲームをしているだけで心配されてしまう日本はどうかと思うけど、でも夜中の24時にだ

          作戦会議

          かわいい。 その一言のために女の子は作戦会議をする。 美容院の予約を入れるのは決まってデートの午前中。といっても、作戦を立てるのはもっと前。 Instagramの検索欄はたくさんの色で溢れる。 福沢諭吉だって惜しまないよ! 決戦当日。横浜駅、北東口。歩いて5分。美容院の日に限って味方してくれないお天気。今日も少し小走りで向かう。 作戦のメモを美容師さんに見せると次に目をやるのは鏡に映る自分。染料がピリッと染みた。 ハサミの魔法にかけられたらトリートメントの香水を身

          作戦会議

          4月の夜

          甘いものが食べられなくなった。 そう、注文は決まってアイスティー。またはルイボスティー。抹茶ラテなんて欲してないわ。 4月になった途端、私の体は変わっちゃったみたい。 二十歳になるからなのか、失恋をしたからなのか。とにかく私の中で何かが変わった。 もうすぐ日付が変わる。いつもは寄らないコンビニへアイスティーを求めてみよう。 マスクをつけない4月の夜だった。

          4月の夜