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自分探しの幕開け

「音楽って結局はその人がどんな人かってことなのよ。」

「あなたが、あなたの声で歌うんだよ。」

と、先生はおっしゃった。

わたしが先生と出会ったのは二十歳になる年だった。

今から10年ほど前になる。

その言葉を理解して以来、わたしの大きな目標の一つに、

『自分の声で自分の音楽をする』

というものができた。

どんな瞬間も心にはそれしかなくて、

自分の声と自分の音楽を辿るうちに、

本当の自分とは何なのか

という大きな問題にぶち当たった。

それが大きな問題であったのは、

本当の自分が、自分のずーーっと奥深くに追いやられ、

消えかけていたからだ。

そこを全て掘り起こして、隠してきた感情と正直に向き合い、

自分を認めていくことは決して綺麗なことではなかったが、

確実に言えるのは、

その段階を踏んだことで、今のわたしは輝いているということ。

今の自分が好きであるということ。

小さな楽しさをたくさん感じて、笑って、幸せだということ。

そして、自分の声も、自分の音楽も、自分のものだなと確信していること。

そう、わたしは、わたしのことを信じているということ。

















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