りん。

りん。 映画と綾野剛を深く愛でております。 推しは推せる時に推せ

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りん。 映画と綾野剛を深く愛でております。 推しは推せる時に推せ

最近の記事

或る終焉

シネフィルの無料期間が終わるなぁとなにか観れるものないかなぁとふらついていて、ふっと観ちゃった。ふっと観ちゃいけない奴だった。 重い題材、台詞量の少なさ、音の静けさ、淡々と進む物語、 贖罪の日々を、死に向かう人々のお世話をする形で過ごす一人の男の話。彼が送った病気の息子。よって失った妻と娘。その決断を悔いてはいないようだが、罪の意識は当然のようにあるようで、死にゆく人々に寄り添って、看護人・介護人のプロとしてなにからなにまでを担う。だけど最初の場面からほんの少しの違和感が

    • 明日の食卓

      瀬々監督のエンタメ極めますお金稼ぎます映画と、お金稼げなくてもいいからやりたいことやります映画の、これはどっちなんだろうなどと、くだらないことを思いながら観た。やりたいことはやれてる気はする(笑) 三人の、実は四人の母親の話だ。ダメな男が相変わらずここでもこれでもかと描かれる。そして子に向き合うのはその子を愛してやまない母親だ。 最近ニュースになりがちな、虐待の加担者とか傍観者ではない。ほんとうに子のことだけしか考えてないようなおんな達なんだ。 「どこにでもいるわたした

      • 茜色に焼かれる

        オノマチ劇場、その二。(その一は「やくざと家族」) 石井監督の作品は大好きなのと受け入れがたいのに大きく分かれるんだけどこれは好きなほうだった。(えらそう) 出てくる男たちのだめっぷりがすごい。唯一役に立った店長だってかなりやばい。あとはほんとに役立たずばかりで、目当てのオダジョーは開始2分で消えたし、なのに存在感がはんぱなくてずっとダメだけど魅力的な奴だったというのがこの映画の底流にあるのが、逆にすごいよとなった。 どれもクソのような連中ばかりで、いかに男社会というの

        • アメイジンググレイス

          アレサフランクリンの圧倒的な声は好き。ゴスペルも、好き。 だけどそれはきっとわたしが即座に英語を日本語にできないからで、その宗教的な歌詞や主への思いなどが理解できちゃっていたら、ダメだったかもしれない。黒人の歴史とか歌に込めてきたものとか、理解したいとは思うけれど、宗教的な意味合いとなると、拒否感のほうが強い。 でも、かの国で、彼女がその地位を得るにはほんとうにたくさんの苦渋があったに違いなく、ミックジャガーみたいな人が超嬉しそうに彼女のライブに存在していたことが、なんと

        或る終焉

          のさりの島

          ここ数年、なんとなく気になる俳優である藤原季節さんの主演作 のさりとは、受容度の高いという意味らしい。田舎や島の生活あるある、なのかもしれない。 季節くん演じる若者は、彼が今までやってきたような、影をまとった癖のある青年で、オレオレ詐欺の常習らしい。(朝顔で演じていた明るい後輩はテレビ用なのかな、いや三ツ星だって影ありだった) で、商店街の地図を前に適当に電話をするわけだが、その時のずる賢そうな、だれでも食い物にしてやる感じが、ばあちゃん本人との対話の中でどんどん萎えて

          のさりの島

          椿の庭

          古きよきものと生きることの難解さとある女性の生きざまとをリンクさせた静かで雄弁な映画でした。 主人公、富司純子の緋牡丹時代を知っているだけに梨園に嫁ぎその役割を十二分に果たしたあとの、女優としての彼女の今が、興味深くて。 劇中、わかってくることは 夫を亡くして間もないこと、大きな古い家に孫娘と住んでいること、その孫の母親は彼女の長女で若い時代に駆け落ちをして海を渡り早くに夫を亡くして一人で娘を育てていたのが事故で亡くなっていること、死ぬまで実家との連絡は絶ったままだった

          ドラマなんだからさ

          有名脚本家、当てたプロデューサーと演出家のコンビ、世代を代表する役者の起用、シークレットゲストの豪華さ、いろいろ、華やかな春ドラ。 観たい〇〇じゃなかったといって派閥を宣言した、ファンとしてそれはどうなのの一派を生んだ、問題作(笑)なんだろうけど、仕掛けがどうとか伏線と回収がどうとか、一億総批評家みたいなTwitter民の顔色うかがうようなドラマ評も出始めて、がっかりするやらあきれるやら。 ドラマなんだから、なんも考えずにきゃーきゃー楽しめたらいいんじゃないの。細腕繁盛記

          ドラマなんだからさ

          戦メリ 役者ではない三人の破壊力

          緊急事態宣言の出る前日、駆け込みで武蔵野館に飛び込んだ。 おとなになって観ることの意義をこんなに強く感じた映画は初めてだと思う。当時よりそれぞれの登場人物の背景が理解できるようになっていることが一番の理由だろうが、ボウイがもういない事実も大きい。そして音楽の持つ力。色褪せないってすごいことだ。 教授のここは俺の居場所じゃない感は気の毒なくらいだけど、それでもなお、当時の美青年っぷりが異様で、部下である武骨な日本兵を演じるたけしが匂わせる憧れとか畏怖の対象として十分に余りあ

          戦メリ 役者ではない三人の破壊力

          恋ぷにの安心 役を、生きる者、

          日テレのドラマのクオリティとしては まずまずの2話までが終わった。 もうね、2話はトラウマだよ。 大人な二人がやるんだから恋愛ばかりで進めるわけにも行かない、かと言ってお仕事ドラマじゃないから、そのあたりがとてもわかりやすいのが「御曹司」設定だったんだなと納得。 水澤さんとか長男太郎とかエニシとか 担うものを担うヒトも配置されて うまく回りそうで、数字は横に置ける安心感。 何よりちゃんと全身で倫太郎を生きてる。 戸惑いながら照れながら、楽しんでるのがわかるのは、ほんとに

          恋ぷにの安心 役を、生きる者、

          ミッドナイトだ。〜毒を吐くことにした

          今年の日アカは 海外映画祭での評価をまるっと無視、国内のいくつかの結果もきれいにスルーして、「独自の」選考基準があるかのように、みえた。もちろん皮肉だ。 「影裏」が何ひとつかすらなかったことは残念だけど、だからどうこうということではない。まして推しが選考されなかった逆恨みでももちろんない。 作品賞ノミネート作品たちは、信頼できない描写を続ける、とある監督のもの以外は全部観ていた。 ふざけんなと心のなかで罵声を吐いた作品が2つ、あった。 役者やスタッフは、奮闘したに違いない

          ミッドナイトだ。〜毒を吐くことにした

          三ツ星洋酒堂

          漫画未読 藤原季節の名前だけで観始めた。 主役の、町田某は知らない。 彼の魅力はわたしにはよくわからない。彼の沼にいる人もいるのだろうなというのは、理解するけどね。 ウインくんも映画でたくさん観たけど、惹かれない。 綾野沼に住むわたしがここ数年ひっそり見てきた季節くんは、今旬にさしかかっている。舞台人のようなので、そこへ戻ってしまったらそこまで、なんだけど。 HISの彼が 野性味があって良かったし、あの映画を味わい深いところへ引っ張ったと思うし 実はあれで生卵が片手で割れ

          三ツ星洋酒堂

          ミナリ

          評判の映画を初日に観る。今は贅沢かも。 一番近いシネコン、車で移動。 直行直帰。安全かな(笑) さて、ミナリ。 労働者一家の話なのではあるけれどたちとしては影裏に通じる。 役者の表情や目線や 美しい自然の描写、人間のちいささも含めて その向こうを考えながらボワーンと観る映画。 七転び八起き。 起きってどういうことだろう。 モノを失っても 家族が、一緒にいることが残るなら それは起き、になるのだろうか。 失ったものを数えていたら八起き目はないのかも。 説明もあまり多くは

          ラスト・フル・メジャー

          ベトナム戦争もの。 アメリカの正義が崩れ去った戦争だから 興味はある。 あるけど、それと映画というメディアの相性についてはいろいろ考えざるを得ない。 それは日本でも同じで、戦争モノは、下手をすると戦争嫌だけど仕方ない、大事なものを守るには必要みたいな論調に繋がりやすい。アメリカのものはアメリカの民衆がどう受け止めるのかで評価も変わるのかもしれない。 ということを前提に。 人には他愛行動というのがあるのだそうだ。 震災関連報道の中でつい最近知った言葉だ。他者を愛する。自分に危

          ラスト・フル・メジャー

          あの子は貴族

          いや、参りましたね。 この女同士を対立させない手法というか、演出は 監督の強い意志を感じました。 石橋さんの台詞が主にそれだったと思うけど 彼女の自分たちの場所を正しく認識しているところ、大事な気がします。 わたしたちは多かれ少なかれ社会に存在するヒエラルキーやピラミッドを知っているか感じているかしているはず。そういった視点を持ち得てないと、この映画の趣は感じ取れないのかもしれない。 二人の女性の置かれている場所の違いが、都会と地方とか、金持ちとそうでないものという対比

          あの子は貴族

          ヤクザと家族 トークイベント 覚書

          初めての客席に人を入れてのイベント 河村プロデューサーと藤井監督だけでも十分だったのだけど 当初から綾野さん何らかの形で出るんじゃないかなという空気が(笑) 司会のShoさんの「サプライズあります」発言でテンション爆上がり。 監督だけが綾野氐からの「恋ぷに撮影中でダメになった」にまんまと騙されていた模様(笑) 基本はこの足元の悪い日に緊急事態宣言も継続中、さらにアニメ映画が猛威を奮う中、よくぞ来てくれましたというトーン。この時代にロングランになったのはありがたいことなのかも

          ヤクザと家族 トークイベント 覚書

          ヤクザと家族 the Family 優れたエンタメ映画として

          山本賢治の生き様に翻弄されてしまいがちなのだけど。綾野ファンだから仕方ない。でも、この映画本当にエンタメに昇華されているいい映画なんじゃないかと思っていて。『新聞記者』もまた世間の評価とは別にわたしはエンタメだと思っているのだけど、だからこそ、正しくこの映画を評価してもらいたいものだなぁと思うわけで。 同じようなテーマを描いた(わたしの中では監督の力量として雲泥の差があると思っていた)西川さんの『すばらしき世界』を観たことで確信になった気がしてる。 『ゆれる』『永い言い訳

          ヤクザと家族 the Family 優れたエンタメ映画として