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解離人格統合後~味覚の話

今年も紫蘇ジュースを作った。
赤紫蘇と砂糖とクエン酸が基本材料だが、クエン酸があまり好きではなくてリンゴ酢を使う。
香り付けに大葉を使うのはよくあるが、私はそこにミントやレモングラスをプラスする。
スイーツ作りは好きだと自負していたが、実はそんな私の味覚が超バグっていたというのは、解離がすっかり統合した後だった。

子どもが私の作ったものを食べてくれないと長年悩んでいたのだが、夫が満を持して「だって・・・不味いんだもん・・・」と、初めて言ったのがきっかけだ。
主人はうつむいて「りんごさんを落ち込ませたら家庭が終わるから口が裂けても言えなかった」と告白した。

味覚が変と言えば、スパイファミリーのヨルさんとユーリ。
まともな料理が作れなかったり、ヨルさんの料理は美味しいと盲信するユーリを、ロイドが「2人の幼少期がそれだけ過酷だったからだ」と分析したのとだいたい同じ。
ウチの主治医曰く、味覚や嗅覚と言った原始的な知覚をシャットダウンする事で自衛する事があるらしい。

ということで、美味しいものを食べて、美味しいときちんと感じることがその後の課題の一つとなった。
知覚と心を繋ぎ直す作業だ。

マインドフルネスの資格を持つ友人が、面白がって一粒のレーズンを10分かけて食べるというワークをしてくれた。
色や形やにおい、唾液が出てくる感覚まで 赤ちゃんが世界を認識するのと同じ感覚をたどっていく。
子育て中は残飯ばかり食べていたのもあって、余計に味覚に無頓着になっていたのもあっただろう。
新鮮な感覚の10分間だった。
長らく気がつかなかった感覚がちゃんと残っていることを自覚する。
「またやってあげるよ」
と言ってくれたが、今度はまた別の美味しいものを食べに行こうと約束した。

知覚と心を繋ぐという最新の心理療法があり、解離の治療を飛躍的に進歩させるというのを聞いたことがある。もちろんトラウマ治療にも良さそうである。
ネットで知り合った解離の患者さんに「あなたの主治医ができるやつだよ」と言われたが、私はそれが必要なほど重症ではなかったらしい。
なお、その人も治療者を探してトライしてみたが、解離で自衛していた部分を無理矢理こじ開けたり繋ごうとすると、その後の身体症状が非常に辛かったとの話も聞く。

どんな心理療法もトラウマケアも「心の中の全員が納得してから」が大事だそう。
解離の有無にかかわらず、皆様等しくご自愛ください。


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