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[第4回] ママたちの声で製品開発

リンエイ株式会社は、岐阜県に本社を置く自転車関連アイテムの商社。
「商品開発力」「サービス提供力」「現場主義」の3つの営業コンセプトに基づき、サプライから商品開発まで手がけています。
オープン社内報RINZINE(Rinei Interview Magazine/リンジン)では、
リンエイで働く人、リンエイに関わる人に、熱い思いを語っていただきます!

リンエイの協業パートナー様をお迎えしてお届けする第4回。2021年秋、リンエイとNPO法人こどもトリニティネット様が共同開発した子ども用の自転車ヘルメット「ラリゴ」が発売され、おしゃれなデザインがSNSでも話題に!堤 直樹さん(リンエイ 営業促進部 営業1課 課長)と桐部遥奈さん(こどもトリニティネット代表)が語る、新商品にこめられた思いとは。

NPO法人こどもトリニティネット
岐阜県内、市内における子育て世代を対象とした子育て支援団体。2016年6月から活動をスタートし2017年にNPO法人に。主に0~2歳までの子を持つ子育て世代を対象に、イベントや就活支援、育児講座などの企画・運営事業を行っている。子育てのママたち自身が運営を担い、子育て世代が「このまちで子育てをしたい。しよう」と心から実感できるまちづくりや環境整備をすることを目的に様々な事業を展開中。

初回ミーティングでアイデアが次々と

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ーーリンエイとトリニティネット様は現在どのように協業を?また、協業のきっかけは?

堤 課長(以下 堤):
リンエイからトリニティネットさんに商品開発協力とSNSの活用サポートをお願いしています。きっかけは上司からの紹介で。上司曰く、NPO法人と企業がもっとうまくコラボレーションしてお互いのメリットを出せる方法があるんじゃないか、と。今女性向けや子育て世代向けのアイテムのニーズがすごく高いので、トリニティネットさんに女性目線の企画やSNS発信に協力してもらってwin-winのモデルケースをつくりたい、その思いもあって協業を依頼したんですね。初回の打ち合わせがカフェでしたよね、トリニティさんの。

桐部代表(以下 桐部):トリニティネットがプロデュースしたカフェでしたね、岐阜市内の。

堤:ね、そこからして意外で。打ち合わせというから事務的な場所を想像してたから。そこで「ママ事業部」でアンケート活用をしていて、例えば1つの項目に対して100件ぐらいの回答がくるとをお聞きして、ママさん世代の方の意見がダイレクトに聞けるなら我々が知恵を巡らすよりもいいんじゃないかって、すぐ思った。もう、あれもこれもお願いしますって、その場でトントン話が進みました。

桐部代表:ママ事業部っていうのは(トリニティネットの)内部的な呼び方で、正式には「パートナーシップ推進事業」。「ママの得意を仕事にする」をキーワードに企業さまや自治体さまと連携して新しいサービスや商品を開発しているんです。で、初回の打ち合わせで、こちらもリンエイさんから「やってみよう!」みたいな精神をすごく感じて、私自身との共通点を感じつつ、年間3万個も(自転車用の)ヘルメットを売っていて素晴らしいなと思いました。商品開発のお話では私たちのメンバーにもデザインやものづくりに興味があるママさんがいて、その人のやりがいにも繋がりますし、連携することで自分たちだけではできないような一歩超えた何かができるかもとワクワク。

堤:その時点でヘルメットのデザインについてもザックリ話しちゃったね。もうデザインベースを送るんでお願いしますって。

桐部:確か、(既存のデザインベースを)写真で見せていただいたと。

堤:それまではヘルメットのメーカーさんが持っているデザインベースから「これ、これ」って選ぶ感じだったので、1からデザインを起こすのはウチとしても初めてで。

桐部:見せていただいた時に、確かにママ目線で考えると、子どもが自転車に乗る時に時にヘルメットも検討するけど「可愛いのないよね」って改めて気付いて、ないなら作ろう!みたいな感じに。もっとこういうのだったら自転車の色とも合うし、服とも合うし。(既存のものは)本当にビビッドな色しかなくって、だからちょっと抑えた色味でマットな感じなら、「ラリゴ」っていう、トリニティネットが持っているアパレルブランドの服にも合うし、それなら私たちのECサイトでも売らせていただけるよね、って、その場でアイデアがどんどん出てきて。

桐部:派手系やキャラクターものが多い。だから選ぶ時消去法になりがちなんですよね。

インスタのアンケートでデザイン決定

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ーーなるほど、そうすると、新発売のヘルメットの特徴は…
桐部:やっぱりカラーリング。色数をたくさん使わない、ニュアンスカラーを使って柄もたくさん入れずにワンポイントで。あとは男の子も女の子もかぶれる、お兄ちゃんから妹へのおさがりにしても変じゃないデザイン。そういうところも意識しました。

堤:リンエイとしてはママ目線、女性目線で良いっていう意見を市場から吸い上げて商品化した、そこに自信を持っていますね。

桐部:マーケティングと合わせて、トリニティネットのインスタグラムの中でアンケートを取りながらデザインを決めていったんですよね。初めは恐竜の柄とか、もっといろんなデザイン案があったんです。

堤:それを、インスタのアンケートで投票、投票みたいな感じで絞っていった。

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桐部:アンケートで「現状はこんな色だけど、こういうマットな色はどう?」と聞いて「絶対こっちがいい」みたいな。「これだったらお金を出せる」という意見を集めてリンエイさんに提案しました。

堤:デザインを提案されたときは、ウチからは絶対出てこないのが出てきたなと。でもウチの社内だけの知恵とは違ってアンケートで100人以上の回答があって、そこからの意見だから信用できる。(新製品は)ほんとに他の商品と比べてシンプルでしょう。既存のはホームセンターに並べる前提だからアイキャッチが凄いんです。それはそれで理由があるし、いいものなんだけど、今回はリンエイ側からそういった制約は一切は出さずにトリニティさんの意見だけで作っていただきました。

桐部:思い返すと(ダメと言われたことは)なかったですね。本当に自由な発想で、自分たちが欲しいと思うものを形になるまでやらせていただけてがすごく勉強になりましたし、すごく楽しかったです。

堤:僕たちなりに「子どもらしい」っていう商品の知見はあるけど、今回はそれが邪魔だと思った。だから、あえてデザインの事で何も口出ししなかった。「平面から立体に写すので平面図とは印象が変わりますよ」とか製造上のポイントを伝えただけ。でないとトリニティさんにお願いしている意味がないと思ったので。

桐部:製造上のアドバイスはいただきましたね。完成形にたどり着くまでに、何回(海外の工場と)やりとりしましたっけ…。

堤:結構やりましたね。例えば、トーンがすごく似通ったところで柄を出すのは難しい、ある程度メリハリをつけないと工場の方でカラーが出せないとか、そういう実務的な事柄だけトリニティさんに伝えて。

桐部:サンプルを何回か出していただいたんですが、ピンク色ひとつでも海外の方と私たちの認識にかなり差があって。あと、太陽がウニみたいなデザインになってたり。感覚が本当に違うんだっていう気づきがありました。

堤:思ったニュアンスを出すのは難しいですから。

桐部:ひとつの製品ができるまでに色々な方々が携わって、色んな工程があって、やっと市場に出てくるんだと作り手側になって勉強できました。だから、ひとつのものをを大切にしないといけないなという、自分の子どもたちに対しての教育にも反映できると思います。それに形になった時の喜びはすごく大きかった!

「あったらいいな」を本当にカタチに

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ーー協業によって、お互いにどんな影響がありましたか?
堤:
リンエイとしては、今までとは違ったターゲット層のダイレクトな意見も吸い上げる方法が見つかって、それなら社内ですべてやらずに、専門家に任せるところは任せた方がいいんじゃないかっていう流れができ始めた。デザインは無理に内部でやらなくてもいいし、SNS運用も任せればウチは製品化して売ることに注力できる。そういった流れもできてうまくいきつつありますね。

桐部:トリニティネットとしては、自分たちの製品へのニーズを形にしてくださるパートナーが見つかったのが大きいです。「こんなのがあれば」という声があっても自分たちだけだと結局不平不満で終わってしまうけど、リンエイさまとタッグを組んだことによって、実際に形になって手元に届いて、それをかぶって喜んでくださる方とか、買って喜んでくださる方が生まれてくる、それが嬉しい。ヘルメットの完成品を事務所に持ってきていただいて、もう感動で、みんなに見せびらかしました。子ども用なのに大人にかぶせて、めっちゃ似合う!とか言って。インスタグラムにも早く載せたくて、ラリゴの読者モデルさんたちにヘルメットを送って、子どもさんがかぶった写真も早く送ってください!って。あとは、ラリゴは今まで洋服や小物を扱っていましたが、これができたことによって幅も広がりました。実際、ヘルメットのインスタの記事が1番保存数が伸びてます。反響がすごい!今までなかったものだから、みんないいと思って保存をしてくださってると思います。

堤:今回はリンエイじゃなくてラリゴの商品として出した、ラリゴっていうブランドにあえて乗っからせていただいたことで新しいチャネルができました。そのほかにもトリニティネットさんにはリンエイのお客様に対して毎月ニュースを配信してもらっていて、その反響もかなりあるんです。注文いただいたメールの返信でお客様から、素晴らしい取り組みをやってますねという意見をいただけるので、手ごたえを感じています。


ーー今後の展望を教えてください。

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堤:リンエイはこれからもロックなどのアクセサリー類も出し続けるので、そういった商品に関してもトリニティネットさんのご意見を伺ったり、コラボできれば。雨具なんかもいいかも。こんなものが欲しいという意見も伺えればと思いますね。

桐部:今回製品がこんな風にできてくるんだっていう私たちの学びにもなりましたし、それを手にとってくださる方にも、私たちの学びを発信をすることで、一つのものを大事にしていこうという環境の教育にもつながっていくと思います。だからまたコラボをさせていただける機会があったら、より消費や製造開発についての学びにつながるものができると嬉しいなと思っています。持続可能な社会のつくり手を私たちが育んでいく、また、自分たちが担い手にならないといけないので、その教育を製品で達成していく取り組みができると発信力も増えていくし、協業する意義がもっと生まれると思います。



[インタビュー 控え室]

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営業促進部 営業1課 課長 堤 直樹
リンエイ歴17年。営業、マーケティング、商品の企画開発など、色々担当しています。自由な発想でリンエイで扱う商材の領域をもっと広げていきたい。トリニティネットさんとの協業からは本当に刺激をたたくさんもらえますね。ちなみに僕はゴリラは怖いです(笑)。

NPO法人こどもトリニティネット 代表 桐部遥奈
やってみよう!と思ったことにはすぐに飛び込む性格。家畜の飼育員や営業職を経て、トリニティネットを創設しました。動物が好き、特にゴリラが大好きで、大学の卒論のテーマにしたほど。アパレルブランドの「ラリゴ」もゴリラの逆さ読み。ほんとは「ゴリラ」にしたかったのですが(笑)。

・NPO法人こどもトリニティネット  Instagram 
https://instagram.com/kodomo_tn
・larigo ECサイト
https://larigo.stores.jp/

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