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スペイン6 その時ならではの、お土産と思い出

旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

シャネルマドリード店へ

スペインの弟・ハビに連れられて、彼のお母様、おばあ様、おば様とゆったりお茶をしていると、時間があっという間に経った。
「あら!シャネルが閉まっちゃうから行かないと!」
「おばあちゃん、おばさん、Rinaはこのマドリードで、新しいシャネルの財布を買いたいんだって。僕らが一緒に選んであげるんだ」
「それは、いい記念になるわね。とびっきり素敵なものを選んであげなきゃ!」

ウィーンでの再会を誓いつつ(それは本当に、実現した!)おばあ様、おば様と別れ、ハビ、お母様、私はシャネルのシャネルマドリード店へと向かった。

「Rina、君のことを話してたら、絶対に君に会いたいっていう友達がいて、このシャネル店の前で待ち合わせをしてるんだ。日本のこと、いっぱい教えてあげてね」
スペインの弟、ハビはマドリードで、たくさんの人に日本の姉のことを自慢してくれていたようだ。

王侯貴族気分になれる、サマランカ地区

「サマランカ地区はね、歩くだけで背筋がシャンとして、シャネルやスペイン王侯貴族のような気分になれるのよ」
車から颯爽と降りるお母様は、確かにココ・シャネルのようなオーラがあった。
「こんにちは!彼女がRinaだね。初めまして、トーニョです!」
そこには、ハビが見せてくれる写真によく載っていた、品が良く優しそうな青年、トーニョがいた。
「Rinaです!トーニョ、ハビの写真でよく見せてもらってたよ」
「僕もいつも写真、ハビから見せてもらってたよ。やっと会えたね!」
写真やSNSの力は、やはり強い。

このトーニョもまた、シャネル入店に相応しいシックなコートを着て、髪も整えていた。
「さあ、僕らは4人ともセレブさ。さあ、扉を開けてもらおうよ」
「そうね、私の息子(=ハビ)。私もこの瞬間、大好きだわ」
気分に乗って歩く3人と歩調を合わせてドアを開けてもらうと、日本のシャネルに入店している時よりもずっと、映画女優気分に浸ることができた。
ドアがワッと開いた時に吹いた心地良い風は、昨日の様に思い出せる。

王侯貴族のお買い物


「せっかくだったら、長財布かな?」
「そうだなぁ……。ウィーンがスペインと同じなら、長財布は時に邪魔になるかも?」
私達は王宮貴族のように小さな声で、どの財布にするかを話し合った。
「Rina、これなんてどう?カードもたくさん入って、それでいてコンパクトよ」
「マンマ、さすがのチョイスだよ!」
「おいハビ、そんなに声を出したら王宮貴族から外れちゃうよ」
ハビとトーニョ、なかなか良いコンビだ。

「確かに、シャネルのロゴもお洒落に付いているし、日本人のRinaにぴったりだね!」
トーニョは大の日本好きで、日本女子の好みも直感で分かるようだった。
3人が意気投合して賛成してくれていると、そのコンパクトながらたくさんユーロが入りそうな財布がますます魅力的に見え、私はイザベル女王でもなったような気分で、すまして、その財布を買った。

「包装?もちろん、最高級のもので!」
ハビとお母様、トーニョは、最高のマネージャーのようだった。

マドリードのサッカースタジアムを、この目で

私がスペインサッカー、特にフェルナンド・トーレス が大好きだというと、トーニョも大のトーレス ファンだったようで、大喜びで私とハビを車に乗せて、サッカースタジアムに連れて行ってくれた。
トーレスを含むスペイン代表選手がそこで練習していると思うと、胸が熱くなり、私も音楽でこれから頑張ろうという気合いが増して来たのだった。

「もっと日本の文化や日本食について教えてほしいよ!ピアノも聴きたいな」
「トーニョも、日本が大好きだもんね。じゃあ、僕ら行きつけのお寿司屋に、再集合しよう!」

マドリードでSushi

私達はシャネルの財布をハビの家に置き、マドリードの中心に再び繰り出した。
ハビやトーニョが大好きな寿司屋「Miyama」は気さくなレストランで、私達は王宮貴族から一転、大学生として、これからどんなことを学びたいか、休みはどんなことをしたいか、など、夢を好き放題語り合った。
事業で成功をしている両親の希望で、ドイツ語で経済学を学ぶと決めてはいるものの、本当は別の業界で働きたいハビに、法律を学ぶトーニョ達は真剣にアドバイスをしていた。
男同士の友情は、日本でも世界でもまっすぐで、見ていてとても気持ちのいいものだった。

そして私は、寿司が出てくる度に
「この寿司は日本と同じ?」
「何点位?」
などと聞かれ、店員さんも耳を澄ましている中の批評はなかなか緊張した。
お米の種類は違うものの、質の高いネタを出すレストランだったと思う。

マドリードでスターバックス

「せっかくだから、マドリードのスターバックスにも行こう!」
大学生になりたての頃は特に、何かとスターバックスに行きたくなるものだ。
私達3人はスターバックスで、夜カフェも楽しんだ。
「王侯貴族、大学生と来て、今度は何モードにする?」
「せっかくピアニストと一緒なんだから、ミュージシャンモードだろう」
「まだなってないけどね。でも二人が応援してくれてるし、頑張るよ」
質のいいBGMを批評したりしながらマドリードの夜景を楽しんでいると、いつの間にかスペイン人になったような気分だった。

感動のサプライズプレゼント

「Rina、シャネルのお店からの車の中で、フラメンコが大好きになったって言ってたよね?」
「うん。ウィーンで、ハビの家族が来たら踊ってもらおうね」
「うん!特におばあちゃんは、最高のフラメンコダンサーなんだよ!」
「僕もウィーンに行けたらいいけど。とりあえずこれ、プレゼント」
トーニョは鞄から、CDを出して私に渡してくれた。

「え……?これ、トーニョが作ったの?」
「うん!」
「トーニョ、なんて速技!じゃあさ、これをかけてウィーンで、僕のおばあちゃんに踊ってもらおう。これで、君も絶対にウィーンに来ないといけないよ、トーニョ」
「ありがとう、トーニョ!ウィーンにいても、スペインのこと思い出すね」
このサプライズのプレゼントは、シャネルの財布と同じ位、大切なマドリードのお土産になった。

今でも大切にしている、マドリードのお土産

大学生活もあっという間に過ぎ、社会人になった今でも、このシャネルの財布を出したりフラメンコのCDを聞いたりすると、あの日のことを鮮明に思い出せるのだから、不思議だ。

その時ならではのお土産、そして思い出。
それぞれの場所でぜひ作って頂きたいし、私も作り続けて行きたい。

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