どこにでもいる人間の半生11
相談日当日、私は緊張と不安の中にいた。
息が苦しい、胸が苦しい。
旦那が手を握ってリードしてくれた。
私はずっとうつむいて連れられるままに歩いた。
しばらく歩くと相談センターに着いたようで、受付の方と旦那がやりとりをしているのが聞こえた。
案内されるがままに部屋へ入ると、テーブルを挟んだ向かいに精神科医であろう先生、左には電話で対応して下さった方、右には臨床心理士さん、そして私の隣に旦那、と言うように並んでいた。
着席し、聞かれるがままに話が始まる。
否定されたらどうしよう
私はやはり甘えていると言われるのか
私にとっての人生、全てを否定されるのだろうか
恐怖が一段と増す、緊張感が高まる。
話を始めると間も無く、私は涙が溢れてしまった。
到底細かな話など出来なかったと思う。
旦那がかわりに私の様子やきっかけになったであろう事、家族構成などを話てくれた。
30分ほどだったのだろうか、先生は言った。
過去にかかった精神科の先生はヤブ医者ですね、気にすることはない。
あなたはうつ病だと思われる、きっと当時からそうだったのでしょう。
ただでさえ子どもを5人も産み育てるなんて並大抵のメンタルでは難しいのに、あなたはタフでしたね。
普通ならもっと早くに不調を起こしていてもおかしくないですよ。
引け目に感じることなんて一つもない。
うつ病は誰でもかかりうる病気で、しかし、かからなければその辛さはわからないやっかいな病気。
あなたはすぐに治療を始める方が良い、私の病院でもいいから、すぐに診察にきなさい。
このような言葉に、私は数年前に受けた精神科でのトラウマを一蹴し打ち破ってくれたと同時に、自ら選んだこの人生を否定される事なく、むしろ労ってくれた事に大変救われた。
そして次の週、その先生が副院長を務める精神科を受診した、もちろん、担当医はこの先生である。
そこでもう少し詳しい事を話した。
生い立ちから、親も含めた家族構成など、私がどうしてうつ病になったのか。
アームカットをしてしまった話もそこで初めてした。
話終わり、職場や保育園に提出するのに必要でしょう?と診断書をくれた。
それから、精神科医療費負担が1割になると言う申請書類などの事、障害年金の事も教えて下さった。
私は現状、入院を要する程度の重度のうつ病だと言う事だった。
しかし、子ども達が多くいるため、家庭で療養した方が良いでしょう、と言う事で自宅療養となった。
薬を処方された。
サインバルタ20mg
レクサプロ10mg
エチゾラム1mg
ロゼレム8mg
不安は消えないが、少し安堵した自分がいた。
私の人生は否定されなかった。
それから1週間後、次は2週間後、今は28日毎に受診をしている。
先生は毎回言う、子どもを5人産んだ事を引け目に感じる必要なんかないよ、立派な事だよ。
その一言に救われる。
薬は今は
サインバルタ30mg2錠
レクサプロ10mg2錠
エチゾラム1mg3錠
フルニトラゼパム1mg
ロゼレム8mg
を毎日飲んでいる、少しずつだが良くなっているように思う。
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