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ひとりひとりが輝くこと|劇団四季ミュージカル『エルコスの祈り
劇団四季が贈る子ども向けのミュージカルがこの夏、東京・浜松町の自由劇場で上演された。50年後の地球、自由な行動や発想を制限された子どもたちに、心を持ったロボットが人間の素晴らしさを与える、心温まるストーリーである。連日多くの観客を魅了し、東京での幕を下ろした本作は、全国ツアーでの幕を開けたばかりである。
1984年のニッセイ名作劇場で初演となった本作。以来、数多くの再演を重ね、また時代と共に
【備忘録】わたしの演劇〔2023年春編〕
わたしが思う「演劇」をツラツラと書き残しておく。あくまでもいま、2023年3月時点での話である。少しずつ考え方が変わるだろうから、備忘録程度に。
2023年に入ってから色んな演劇に出会った。もっとも、一番観ているのはミュージカルだが、四季以外の興行も触れているのだから、少しは成長したのだろうか?(いや、4月からは四季に浸かる予定)
わたしと演劇の出会い。それはミュージカルだった。もともと
ありふれた日常と「自由」|東京演劇道場『わが町』
混乱の世の中。ある場所では戦争があり、ある場所では疫病が流行り、ある場所では、、、。激動の時代を生きる私たちにとって、日常とは何か。そんな深い問題を突き付けられた舞台だった。
1月25日、東京芸術劇場・シアターイーストにてソーントン・ワイルダーによる『わが町(原題:Our Town)』が幕を開けた。同劇場が主催し、野田秀樹を中心とした芝居創作を行う東京演劇道場のメンバーが挑むこの舞台。演出は
この世界を見渡す|演劇ユニット・にもじ『こうさてん』
演劇的行為とは何だろうか。面白い戯曲、あっと驚く演出、思わず感情移入してしまう芝居。たしかにこれらの要素が「おもしろい演劇」を創っているが、もっと大切な存在がいる。それは「観客」だ。
皆さまは[ワークインプログレス]という言葉をご存じだろうか?これは「制作中の作品」を指し、完成した作品ではなく未完成の作品を上演する形態のことだ。このワークインプログレスに挑戦しているのが、演劇ユニット・にもじ
ひとりでは生きられない|劇団久遠旗揚げ公演『象の王様と天使の筆』
エネルギーに満ち溢れた舞台が、新たな旅を始めている。
日本大学芸術学部の学生、浅賀香太(代表)・上村陽太郎・丹羽駿介ら3人により旗揚げされた劇団久遠の公演が、23日(水・祝)に東京・高円寺のアトリエファンファーレ高円寺で幕を開けた。
原田章生によるストップモーションアニメ『ゾウの王様と天使の筆』を原作に、丹羽駿介が台本を書き下ろした。演出は上村陽太郎による。
舞台は、乱暴で自分以外に興
生きようとする私たち|コーポ指『みおさめ』
姉妹の絆、友情の証。違う2人、同じ人間。忘れてしまった、人とのつながりを強く感じさせる舞台がここにある。
11月3日(木・祝)から同月4日(金)まで、日本大学芸術学部の学園祭企画として、演劇団体「コーポ指」が公演を行った。本公演で旗揚げとなった同団体。記念すべき初公演は、作=福島さや乃・演出=工藤咲喜による『みおさめ』である。
急逝した長女・夢原光希の葬儀をひかえたある日。光希の妹で次女
言葉が生きる舞台~愛が生んだ1日の悲劇~|浅利演出事務所『アンドロマック』
究極のせりふ劇がここにある。浅利演出事務所による『アンドロマック』が、今月22日(土)に東京・浜松町の自由劇場で幕開けした。フランス古典主義を代表する悲劇作家、ジャン・ラシーヌによるこの戯曲。オリジナル演出は2018年に亡くなった浅利慶太によるが、今回の再演に際し、タイトルロールを務める野村玲子が演出も担う。
舞台はトロイア戦争が終結したギリシア。戦争をギリシア側の勝利に導いたエピール国王・