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ひとりひとりが輝くこと|劇団四季ミュージカル『エルコスの祈り

 劇団四季が贈る子ども向けのミュージカルがこの夏、東京・浜松町の自由劇場で上演された。50年後の地球、自由な行動や発想を制限された子どもたちに、心を持ったロボットが人間の素晴らしさを与える、心温まるストーリーである。連日多くの観客を魅了し、東京での幕を下ろした本作は、全国ツアーでの幕を開けたばかりである。

 1984年のニッセイ名作劇場で初演となった本作。以来、数多くの再演を重ね、また時代と共に台詞の変更や演出の刷新を重ねてきた。2002年までは『エルリック・コスモスの239時間』という作品題であった。(それまでも『エルコスの祈り』として上演されたことがある)

 舞台は50年後の地球にあるユートピア学園。規律正しく生きることを強いられ、夢や生き甲斐を奪われた子供たちは笑顔を失っていた。そんな子どもたちから夢と笑顔を取り戻したいと強く願うストーン博士は、見た目は人間そっくりので、人間の「心」を持っているロボット、エルコスを発明する。学園の子どもたちはエルコスによって次第に個性を取り戻していくが、ロボットに育てられた子ども・ジョンはエルコスを受け入れることができなかった。エルコスはジョンに何を与えるのか、そしてエルコスが語りかける”ことば”ばとは。

 劇団四季の創設者であり、本作のオリジナル構成・演出である浅利慶太は、「生きることの素晴らしさ」を常に訴え続けてきた。その教訓とも言えるメッセージは、四季の作品群に散りばめられている。四季のファミリーミュージカルの歴史は深く、1964年にニッセイ名作劇場として上演された『はだかの王様』にはじまる。

 この作品にもそのメッセージは、たくさんの感動と共に多くの観客のこころに刻まれたことだろう。

「みんないいものを持っている。」

 この時代を生きるすべての人たちに問いたい。自分の持っている良さとは何だろうか。

 『エルコスの祈り』は全国での巡演をスタートした。ぜひお近くの劇場で、エルコスが語り掛けることばに注目されたい。

作品HP:https://www.shiki.jp/applause/elcos/

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