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ひとつのセリフを発端とするモヤモヤ―連続テレビ小説『エール』から 【よもやま話・2297字】

 昨年、生まれて初めて、朝の連続テレビ小説を最初から最後まで全部観ることに成功しました。15分×120話、完走できました。『エール』全話、楽しく観ることができました。
 『エール』の中で、ちょっと気になったシーンがあったので、書き起こしてみました。

・『エール』第20週「栄冠は君に輝く」第97回

藤丸:半年ぐらい前、闇市でばったり出会ったの。最初は、誰だか分からなかった。
音:久志さん、何があったんです?
藤丸:農地改革で、福島の土地もお屋敷も取られてしまったみたいで。持ってた土地を二束三文で買いたたかれて、小作人も離れて、収入もなくなって、お父さんも亡くなられたって。あの人、戦争中は福島で慰問に回ったりしてたみたいだけど、お父さん亡くなってからは、歌もやめたみたい。こっち(東京)に来てからは、酒と博打でどうしようもない暮らしをしてるもんだから、時々、食事を差し入れたりしていたの・・・。


・このシーンの概略

 このシーンを簡単に説明します。
 まず、登場人物。
 「藤丸」は、げた屋の娘。芸者として歌手デビューし、その後、実際に芸者になったという人です。
 「音」は、主人公・小山裕一の妻です。
 「久志」は、小山裕一の同級生で、県議会議員をつとめる裕福な家の子です。久志は東京の音楽学校を卒業し、歌手になります。戦時(第二次世界大戦)中は、戦意高揚を目的とした歌を歌って人気を博していました。
 このシーンの時代背景は、戦争が終わってまだ間もない頃です。戦意高揚のための旗振りをしていた人たちは干されたわけで、久志もその一人です。やさぐれている久志を心配して藤丸がいろいろ世話をしようとするのですが、久志は聞き入れようとしません。困ってしまった藤丸が、古山家に相談をしに来たというシーンです。
 場所は、東京の古山邸です。


・ここが気になる

 「農地改革で、福島の土地もお屋敷も取られてしまった」「持ってた土地を二束三文で買いたたかれて」「小作人も離れて」、ここが気になりました。

 戦後すぐに、「自作農創設特別措置法」というのが出されたそうです。ネットですこしだけ検索してみました。

「自作農創設特別措置法」とは、〘名〙自作農の創設を目的とし、合わせて農地・未墾地などの買収・売渡しの要件、手続などを定めた法律。昭和二一年(一九四六)に制定され、農地改革の中心的な法律であったが、同二七年廃止。その趣旨は農地法に受け継がれた。(精選版日本国語大辞典、コトバンク)
「自作農創設特別措置法」とは、1946年10月21日公布された農地改革の中心法律
この法と農地調整法による改革は第2次農地改革といわれ,在村地主の小作地保有量は1町歩まで,不在地主の全所有地は国が強制買収。小作農は優先的に土地を買い,残った小作地の小作料は金納化された。(旺文社日本史事典三訂版、コトバンク)


 つまり、地主さんが持っていたでっかい土地を国が買い上げて、その畑を実際に耕していた小作人さんに分割して売ったということなのだと思います。ただ、なんかややこしいです。詳しいことは分からないです。
 「農地調整法(1938)」というのがあります。いつからなのかは分かりませんが、地主と小作人が揉めていたようです。その調整を図るために公布されたのが「農地調整法(1938)」で、この「農地調整法(1938)」と「自作農創設特別措置法(1946)」が統合されて、「農地法(1952)」になったということだそうです。ここまでは分かりました。ただ、その背景には、戦後になるとGHQとかも出てくるので、もうなんのこっちゃ分かりません。「農地法(1952)」は今に続いています。あまり評判のよくないイメージがあります。農業をやりたい人がいても農地はそう簡単に買えないし、後継者がいなくてもそう簡単に売れないというのをどこかで漏れ聞いたことがありますが、私にはよく分かりません。


 先に挙げた『エール』のシーンでは、地主が土地を「取られてしまった」「買いたたかれ」たと思っているということなのですかね。だとするならば、そういうふうに思っている人もいるのかぁ、と。いや、それとも、藤丸さんが勝手にそう思っているだけなのかな。地主と小作人という関係ではなくて、実際に畑を耕す人が自立的に農業を営むというほうがいいような気がしていたのですが、違うのかな。


・地目

 そもそも「農地」ってなに? と思いましたので、整理しました。日本の農地法では、農地は「耕作の目的に供される土地」と定義されている。地目(チモク)では、田か畑。地目とは、土地の用途による区分のことで、23種類あります。
 23種類とは、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地です。

 自作農創設特別措置法や農地法で言っているのは、この中の田と畑のことだと思うのですが、久志さんちは「農地改革で、福島の土地もお屋敷も取られてしまったみたいで」と。それはなんでなんだろ。

 『ポツンと一軒家』というテレビ番組をよく観ています。その中では時に、代々受け継がれている林業を営み、敷地は東京ドーム何個分みたいなお家が紹介されることがあります。そういうお家があるということは、戦後、地目が田・畑以外は特に「土地もお屋敷も取られてしまった」ということはなかったと考えていいのでしょうかね。

 うーん、分からない。何が分からないのかもまだちょっとよく分かっていません。もやもやしています。


まあ、分からないことは、分からないままでもいいのかな。



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