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英語圏未訳SFの探求者・耿輝さんインタビュー part.2
テッド・チャンやケン・リュウをはじめ、日本未邦訳のSF作家の翻訳も数多く手掛ける気鋭の英中翻訳家・耿輝さん(Gěng Huī: 耿辉)にインタビューしました。Part.1はこちらです。
本記事は、2020年7月に英語でメールインタビューしたものの翻訳となります。英語原文はこちらです。なお本記事で使用した画像は、耿輝さんからご提供いただいたものを引用しています(橋本輝幸)
Q1. 作家のオクタヴ
劉慈欣発、オクテイヴィア・E・バトラー行――英語圏未訳SFの探求者・耿輝さん part.1
いつものようにインターネットをさまよい、SF情報を漁っていた筆者はある日、英中SF翻訳者の耿辉(ゲン フイ)さんの存在に気づいた。
耿辉氏は、日本で知られている作家でいえばケン・リュウやテッド・チャンを翻訳している。しかし、彼の真に驚嘆すべきところは常に新しい作品を発掘し、タイムリーに様々な媒体へ翻訳を載せ続けているところだ。氏はヒューゴー賞やネビュラ賞の受賞作や候補作、Tor.comやLig
新刊海外SFと、私たちがそれを語る言葉を持たない話
2019年12月刊のSF小説2作をレビューする。(文:橋本輝幸)
チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』(吉川凪・訳、集英社)
マーサ・ウェルズ『マーダーボット・ダイアリー』(上下巻、中原尚哉・訳、創元SF文庫)
チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』(吉川凪・訳、集英社)
韓国の作家のSF短編集。巻頭の掌篇「デザート」を読んで、まず面食らうかもしれない。語り手の友人Kは、次々変わる彼氏をデ
東京で世界SFの授業を開く:早大准教授パウ・ピタルク・フェルナンデスさんインタビュー(その2)
その1の続きです。日本文学者からうかがうSFの話です。
2.東アジアのSFについて
PPF 最近は興味深い中国SFがたくさん出ていますね。(英語の無料ウェブジンである)Clarkesworld誌は(Storycom aka 微像国际文化传播との)提携に基づいて、1号につき最低1作の中国SFを掲載しています。私は韓国SFについてはあまり知りませんが、今度Readymade Bodhisatt
東京で世界SFの授業を開く:早大准教授パウ・ピタルク・フェルナンデスさんインタビュー(その1)
カタルーニャ語とスペイン語を母国語とするパウ・ピタルク・フェルナンデス博士は現在、早稲田大学文化構想学部で准教授を務めています。ご専門は日本文学です。日本文学に関するスペイン語ウェブサイトKappa Bunkoのメンバーでもあり、同サイトで日本のSF賞情報を紹介していました。2018年後期、ピタルク・フェルナンデス博士は早大の文化構想学部で「グローバルSF」の授業を開講されました。
今回は来歴や、
名古屋SFシンポジウム2019レポ
2019年9月28日(土) 午後1~6時開催
文:橋本輝幸
今年で第6回となる名古屋SFシンポジウムのレポートである。私は今年初めて参加した。今回のテーマは「SF周辺散歩」で、SF小説そのもの以外が特集された。
スタッフの皆さんには圧倒的な安定感があったがそれもそのはず、かつての日本SF大会から、名古屋SF読書会まで幅広いスケールのイベントを運営してきた歴戦のつわものぞろいである。
会場は
博士課程で日本SFを研究 - シカゴ大学のブライアン・ホワイトさんの場合
シカゴ大学の博士課程に在籍するブライアン・ホワイトさんは、博論のために日本SFを研究している。私が最初に彼の名前を見たのは、批評家の小谷真理さんによるツイートで、カナダのヴィクトリア大学で開催されたカンファレンスで飛浩隆をテーマに発表を行ったという内容だった。そのときも米国でどのように日本SFの資料研究を行うのか気になっていたのだが、幸運にもその後、早稲田大学の准教授であるパウ・ピタルク・フェルナ
もっとみる韓国におけるジャンルSF受容:作家ソン・ジサンさんインタビュー
今回は韓国の作家ソン・ジサンさん(1986-)にお話をうかがった。韓国では2017年後半に、プロ小説家団体である韓国SF作家連帯(Science Fiction Writers Union of the Republic of Korea; SFWUK)と、韓国SF協会(Korea Science Fiction Association; 小説家以外も加入可能)が設立され、改めてSFを盛り上げて
もっとみる韓国のSF作家チョン・ソヨンさんの短篇を英訳で読んだ
韓国のSF作家チョン・ソヨンさん(정소연, 1983-)の作品を2篇、英訳で読みました。
ひとつは宇宙に行くのが長らくの夢だった女性が、実現間際に悲劇的な事件に阻まれながらもなお夢を追求する「宇宙碁」です。主人公が正攻法ではなく迂遠に目的を達成するのと、宇宙を夢見る話であるのを武宮正樹棋士の棋風「宇宙流」にかけた題名だそうです。(英訳:キンバリー・チュン)
これは今年刊行された韓国SFのアン
日本語では読めない日本人作家? オガワユキミさんインタビュー
*English translation is available here!
東京在住のオガワ・ユキミさんは大学時代は英語を専攻し、現在は会社員生活のかたわら英語で小説を執筆している。彼女の作品はFantasy & Science Fiction、Strange HorizonsやClarkes Worldといった英語圏のSF・ファンタジー雑誌に掲載されてきた。”Town’s End”(20
ジャスティン・アイシスさんインタビュー
まずは、日本にいながら英国の小出版社で活動を続けるジャスティン・アイシスさんのインタビューを掲載する。
10年ほど日本にお住まいのジャスティン・アイシスさんは昼間はローカライズ関連の仕事を続ける一方、夜は作家・編集者として暗躍している。彼はChômu PressとSnuggly Booksという英国を本拠地とする小出版社に深く関わるメンバーだ。これまでにモデル、ラッパー、動画アーティスト、黒
SFウェブジンを創刊します
こんにちは。橋本輝幸と申します。一時期はSFライター/レビュアーをしていた、しがない会社員です。(過去の仕事について詳しくはこちら)
今週からnoteでSF小説に関わる記事を更新していきます。発行形態は無料公開です。
今やヒューゴー賞やローカス賞といった主要SF賞の短編部門で候補になるのはオンライン雑誌ーーウェブジンばかりです。2000年末期以降に台頭してきたウェブジンはいまや欠かせない