【実録】上海生活#3(スジで考える日本人と量で考える中国人)
自分自身の慣れ親しんだ判断基準とズレている相手を「出来が悪い」と思ってしまうことがある。
無理もない部分もあるが、相手のことを「出来が悪い」と思っていたのでは人間関係はうまくいかない。
ぼくも海外で生活をしてみる前は、ものごとを判断する際に、例えば前回までの話の中では、「道路はおしゃべりしながら横並びに走ったり歩いたりするところではない」という自分の中の「普遍の原則」を基準にし、それが世界人類共通の真理だと思っていた。だからそういう発想をしない中国人のことを「出来が悪い」と思ってしまう。
一方、中国人は、その場の状況を的確に認識し、どういう行動を取るのが最も合理的か(他人が道路をための道幅はどれくらいあったらいいか)を瞬時に判断して、臨機応変な行動をするべきだと思っている。そして彼らは彼らでそれが全人類普遍の真理だと考える。
だから、どんな状況であっても原則にこだわる日本人を頑固で頭の回転が遅い「出来が悪い人間だと思いやすい。
ぼくも当初は、あなたはいつものんびりしている感じで何を考えているかわからないと言われた。
ぼくからすれば、十分に想定できることならば事前に備えることが常識なわけで、例えば、道路を横並びに走っていれば、後ろからバイクが来たら邪魔になるわけだし、ほぼ100%クラクションを鳴らされる。それなら、初めから少し端に寄った上でゆっくり自分たちのペースで走ればいいじゃん、って思うわけです。
このへんは、なかなか難しいだけど、要はお互いに悪意があるわけではないし、もちろん双方とも「出来が悪い」わけではない。
どういう角度からものごとをみるクセがついているのか」が違う「だけ」なのである。
このような「ものの見方の違い」から、日本人と中国人は次のような行動様式の違いが見えてくる。そしてそこには、メリットとデメリットがある。
「スジ」から入る日本人は、まだ現実に発生していないことでも
頭の中で「本来あるべき姿」を頭の中に描く習性があるように思う。
そして先回りして対策を立てようとする。
先ほどの「後ろからバイクが来てクラクションを鳴らされることがわかっているならはじめから端を走れば良い」はまさにまだ起きてないことに先回りして対策を講じているわけだ。
スジと量のメリット・デメリット
「スジ」で考える場合
◯メリット
・行動が計画的
・仕事の「前始末」をするので、スムーズに進むことが多い
・行動後の問題発生率が低い
✖️デメリット
・決断に時間がかかる
・前例に捉われやすく変化しにくい
・心配過多で杞憂に終わることが多い。結果的にムダも出る。
一方、中国人は「原則」そのものよりも「量」つまり「現実」を優先する。状況に応じて判断していく思考様式なので、「現時点で見えていないこと」には興味が湧かない。「そもそも論」には関心が薄い。
「量」で考える場合
◯メリット
・決断がはやい
・現状の変化に対応し、臨機応変な行動をする
(結果的に)効率的な場合もある
・うまくいっている間はムダな行動がない
✖️デメリット
・規範性が低い。人によって、状況によっていうことが変わる
・継続性に乏しい。一つのことを続ける根気に欠ける
・ものごとの本質を追求する姿勢が弱い
・同じ失敗を繰り返しやすい
中国人と仕事をしていると、何かトラブルが起きた時の対応には目をみはるものがある。寄ってたかって何とかする。だが、トラブルを発生させないための対策には、からっきし弱い。
とにかくスタートさせて、やりながら軌道修正をする感じ。
一方、日本人は、スタートまでに検討に検討を重ねて完璧を目指すためにとにかく時間がかかり、スタート地点にたどり着くまでに疲弊してしまうこともある。
こういうのは、まさに双方の発想や行動様式の違いが極端に出ている現象だと思う。
経験しているぼくの個人的な感覚は、双方のちょうど真ん中くらいがメンタル的にも優しいスピード感がいいかなぁ・・・。
次回に続く・・・。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
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