見出し画像

商業出版する方法#80〜エース編集者になれなかった私。

渡邉です。今日はちょっと視点を変えたお話をシェアします。

今から10年くらい前によく聞かれた言葉。それが「エース編集者」


起業家や経営者がイベントやセミナーなどで、編集者にゲスト登壇を依頼したり、講演会などで話をする際の「紹介言葉」としてこういう言葉が多用されたりしたもんです。 


まあ、ヒットやベストセラーを手がける編集者、何かSNSで目立ってて活躍している編集者のことをも指して使われてたりしてたけど(最近はめっきり見なくなりましたね)。


この言葉がよく使われてた10年ほど前は、それこそ私もまだまだ若かった。

何か”人に・世の中に認められるため”には「エース編集者にならないといけないな」って承認欲求バリバリで、それなりに頑張ってたものです。


でも、こういうのに囚われてやればやるほど空回るし、何せ同僚・同業者にはアホみたいに優秀で頭角を表すすごい連中がゴマンと溢れているから、正直私が「頑張った」ところで上には上がどんどん出てくるわけで。


>もっと頑張ればよかったんだよ。
>限界ギリギリまで追い込みが足りんわ。


との声も聞こえてきそうだけど、そういうのを間に受けてやればやるほど、心身がすり減ったな、と。


エース編集者とともに言われているのが「カリスマ編集者」。
今でも、カリスマ編集者(編集長)の人はゴマンといるし、出版社OGで活躍している人もたくさんいるよね。
ほんーっと、すごいなーって思う。
みんな「頭良すぎ」なのですよねえ。


私は、元F出版の編集長だったN倉氏のような1100万部なんて発行部数はイメージできないし、「◯◯ドラ」とか「嫌○○る勇気」みたいな本は作れない・・・のですよね。


というか、・・「興味がないんだよね」。
ぶっちゃけいえば(爆。


ホリ◯◯モンを担当しようと思わなかったし(私でなくても誰かやるし)、もうすでに売れに売れちゃっている著者さんも、どうしても担当しなければってな時もあったけど、めちゃくちゃ気分落ちまくりでやってましたよ(だから、ぜーんぜん本売れなかった。思い出したくもない)。 
だからその意味では、「エース編集者」になれなかったなあ。

しかしnote界隈の人たちは、エースだのカリスマだの、やっぱそういうの好きですよね。
そういう人から教えてもらわないと!って、上昇志向バリバリというかw。
(え、違う?)

でもね。
本って面白いもので、ありとあらゆる人の「言論」を映し出す鏡みたいなものでもある。
世の中は「上昇思考」だの「意識高い系」とかいう人ばかりじゃないんだよ。
ダメでどうしようもない人もいるし、ダメでも上昇系でもない、平々凡々として日々を過ごしている人もいる。
日々の機微を丁寧に感じながら、生きることがいい!って人もいるし。
そういう人たちを体現したかのように「いろんなタイプの編集者」がいるものだし、「いろんな考え方の編集者」がいるのです。


人格的に「は?!」と思うような”合わない”人もいる(た)し、気に入らねえなあ、と感じる人もいる(た)ものです。
いっぽうで、面白くってしょうがない思考をする編集者もいるし、それこそ「変人だぜー」って感じの人も多くいたものです。
そういう人が独自に手がける本や、そういう編集者が立てた企画に呼応して執筆いただける著者に対して「支持者」が新たに現れたり、読者の熱狂が増えたりもする。
ここが出版の面白さだと思います。
計算しているのようで、計算通りにいかない感じ。
それが関係者にも本にも現れているから、出版不況だと言われようが、本は出続けるし業界が消えて無くならないのですよねぇ。

かつ、何も「エース編集者」と言われる人でなくても、よのため人のための本って出せたりする編集者も大勢いるし、いてよいものだよね、って感じることも多かった。


まー何が言いたいかというと、SNS見ていると確かに「すごいな」「すごすぎて、私引く・・」みたいなことってあると思う。
みんながスゴイように見えてしまうと思う。
私だって、「羨ましいな〜」って感じることあるんですよ。
編集者ってみんな、頭いいもん!KADOKAWAの編集者なんて、頭良すぎでキレすぎで、そんな考え思いもよらんわ。そういう戦略で本つくれんわー、って思うこともしばしばあったんです。
かといって、私はその「スゴイ編集者」にはなれないことは、何よりも私がわかっていたので・・・。


スゴイ編集者を見習おうとか思わないんですか?って言われたこともあるけど、「えー、別に」って感じなんですよね。
あの人はあの人。私は私だし・・・って(爆。


それでもね、私を必要としてくれる人や手掛けられるコンテンツがあるんであれば、そこを一つ一つでも向き合ってみるのもいいんじゃないかな、って感じています。 
そして、そういう編集者にいかに出会うか!というのも商業出版の醍醐味であります。何もカリスマ編集者に手掛けてもらわなければ売れる本にならない、ってことはないです。
実際カリスマ編集者でも「全然売れてない、端にも棒にもかからない本」って作ってますからね(目立たないだけ)。

出版は「相性」です。
私のクライアントでも、大手出版社のオファーをあえて蹴って「自分と相性の良い編集担当者・出版社」と組んだことで、良い成果をあげている人もいらっしゃる。
カリスマとかエース編集者とかはやっぱり関係なくて。日々、実直に本を作り続けていて、あなたのコンテンツを真摯に応援しながら本作りしてもらえる編集者と出会うための活動をしていってください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?