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商業出版する方法#100〜語学・学習参考書系の商業本を目指すあなたへ伝えたいこと。

元KADOKAWAの編集者で、ビジネス・実用書のコンサルタントでもある渡邉です。

先日私のクライアントさんで、商業本が決定しました。
「渡邉さま。

こんばんは!また夜分にすみません…

通ったみたいです!!!
渡邉さんのおかげです。
取り急ぎ、ご報告まで…」

とメールが夜の8時半頃に飛び込んできました。

夜だろうが早朝だろうが、「出版が決まりました!」といったメールは随時受け付けておりますよー!
素直に、嬉しいことでもありますしね。

で。今回決定したクライアント様のジャンルは・・

>学習参考書

です。

なんと、渡邉はビジネス書や実用書の領域の編集者であり出版コンサルではありますが・・・。

ぶっちゃけ学習参考書のジャンルは、KADOKAWA時代に一つも手がけたことはございません。

でもね。基本的な出版戦略の考え方としては同じことかな〜とも、今回携わってみて思いました。

そこでこの度は「学習参考書」や「語学系」の商業本を目指すあなたへのトピック&出版のヒントをお伝えしようと思います。


1)狙い目はレッドオーシャンと「これから伸びるのでは?」という仮説が立てられる領域で企画を考えること

今回のクライアント様、仮にKさん、としますが、Kさんのビジネスジャンル(=強み)は「中学受験」でした。

それも私立ではなく、最近社会的にも注目を浴びつつある「中高公立一貫校」への受験に特化したノウハウを、コミュニティやSNSなどで広く頒布しているビジネス実績がありました。

学習参考書のジャンルにおいても、「中学受験」あるいは「受験全般」に関する本は結構売れている&ベストセラーになっている本は多く、類書も増えています。その意味で、今やレッドオーシャン市場に成長しています。

また、小子化の波にものって「学習参考書」や「受験」に関するテキストや関連書籍への注目度や売り上げは倍々状態。
私が3年前にKADOKAWAにいた時でも、学習参考書・語学関連の部署の書籍(商品)売上は群を抜いており、経営陣からも一目置かれていたほどです。

とにかく「子供の教育には、今も昔も変わらずお金をかける!」それも「塾よりも安い本ならなおさら!」というところでしょうか。
子供が買うというより、親が買うので、余計に売り上げも鰻登り・・といった感覚です。
電子本よりも、紙の本が売れやすいのも、このジャンルの特徴ではないかな、と思います。

その中でKさんの強みは、(繰り返しますが)今新たに国がらみで注目が高まっている「中高公立一貫校」への受験にまつわるノウハウ。
受験、というジャンルの本では「私立受験本」が多く出回っていますが、「中高公立一貫校受験に関する本」はぶっちゃけまだまだ「希少部類」です。

要は・・これから社会的に注目度もますます高まってくるジャンルにおいて、未だそれにまつわるノウハウやハウツーに関する本(コンテンツ)が出ていない!といった”スキマ”の状態。

これは「ビジネス」視点で捉えても、純粋にビジネスチャンスに繋がりますよね?
潜在ニーズは高まりつつあるが、それに充てられる商品がまだない、ってことですからそれはもう「出すしかない」って考え方ですよ。

だからこそ、私は出版コンサルで支援させていただくことができたし、今回この企画を無事に引き受けてくれる出版社にも出会うことができました。



2)学習参考書でも考え方は同じ。市場性が高いテーマであるか、その中でまだ「意外にもこれまでにあるようで無い”新しさ”」があるかが重要

学習参考書であろうが、結局は「実用書」の部類に入ります。その意味でも考え方は一緒。

まずは「市場性があるかどうか」が大事です。類書が5冊も出ていないテーマやジャンルで、出版企画を立てようとするとリスクは相当高いです。

要は「読者需要が本当にあるのか?」を疑って罹らざるを得ないからです。
読者需要が低いのよりも、高い方で本を出す方が「当たりやすい」し、売れやすい。だから出版社も採用しやすいです。

残念ながら、今はもう一人一台スマホの時代。情報なんて無料でいつでもどこでも得られます。
かつての昭和のように厳然とした「身分格差」「情報格差」ってものはありません。近代におけるマスコミは、そもそも「身分や社会的立場において情報が不公平に発信され届けられ、公平さなど微塵もなかった」という・・・今ではとても考えられないような状況を打破する役目でした。
ゆえに「本」というアイテムは戦後の憲法に乗っ取り、公平性と情報の浸透性を主とした役割を持って、人々の知的好奇心を満たしてきた商品と言っても過言では無いです。

が!今はもうそういう時代でも無くなりました。

再度繰り返しますが、誰でもどこでもいつでも公平に「欲しい情報が無料で瞬時に取れる」時代。
だからこそ、書き手(および本の作り手)は「プロダクトアウト」の発想ではなく「マーケットイン」の思想で、出版企画を考え企画書に落とし込み、本という商品を作る意識でないと、うまくいかないことが多いのが現実です。

なので

>市場性はあるか。高いか

は何よりも第一ですね。

加えて

>「まだ意外と出ていない新しいノウハウやスキルであるかどうか」

がキモです。

むろん、その新しいスキルやノウハウは「臨床実験済み」=実績として出ているか・・・もマストです
何も世に出すことなく、お客さんに売ることもなく、ただあなたの頭の中で考えていることは本になることは絶対ありません。
本(商業本)は「実績が出ている」コンテンツでしか対象になりません。
すなわち、臨床も済んでおらず安全性の実証も確認されていないワクチンを商品化して、多くの人に販売し、人体に打ち込むようなリスクと同等なのですから。

これまでに無い新しさを持ってしても、クライアントを多く確保しているとか、たくさんのお客さんに受け入れられている無形商品であるかどうかは大切です。

Kさんの場合、上記2点をクリアしており、ある意味において「売れている事業家」でもあったからこそ、出版があっさり決まったと言っても良いのですよね。

簡単に言えば、ビジネスを行っているのであれば「まだ世に広く頒布はされていないけど、あなたの専属ビジネスジャンルではすでに売れっこであいるか」が大切でもあるってことです。


3)語学書に関してはどのように考えれば良いか?

私は語学書を編集したことがないので、その意味ではあまり具体的なアドバイスはできない可能性が高いですが・・・(笑。

ただ語学書も今非常に市場性が高く、「アツい」ジャンルです。

本によっては100万部を売るようなものも登場しています。

でも100万部を売るような本は、基本的に「ターゲットが曖昧」なことが多いですけどね。要は、老若男女誰でもが楽しめる本である、ということがめちゃくちゃ大事。

その意味でも語学をビジネスにしている人で、自らの語学関連のコンテンツを商業本にしよう・・・と思うのなら、まさに「今までにあるようでない」コンテンツをビジネスの段階で繰り出し、実績を出しておいてもらうことが大事かな、と思います。

そして、語学の関連本を扱う出版社は数多くありません。
よって、語学関連で売れている本を出している出版社の動向を探ったりそれこそ類書をしっかりリサーチしてもらうなどのマーケティングや、戦略を練ることがかなり大事です。

英語の本を出したいなーと漠然と考えるのではなく、どういう英語の本を誰に向けて、どう出したいのか。それは市場性が高いのかどうか。また著者となりうるであろう、あなた自身のビジネスの実績は十分であるかどうか。この辺をしっかり固めてまずは考えてみましょう。

本は「ジャストアイデア」で、出すことはできません。
商業本を狙うなら出版社の支援がどうしても必要になります。
出版社が投資したくなるような、企画コンテンツをあなた自身が作って運用し、社会・対外的にも公表したり販売したりして信頼を積んでおかないと「企画書を上手に書く方法」とやらを出版セミナーや塾で学んでもどうしようもありません。

その意味では、語学書もビジネス・実用書の出版企画を立てる思考と全く同じですね。

あなた自身の「語学書業界におけるブランディング」
「語学書業界における著者としてのポジショニング」
「コンテンツメイキング」

ここの地歩を確立させ固めておいてください。

ということで、何か参考になれば幸いです。


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