土でつながる、新しい都会のコミュニティ。表参道の「1.2 mile community compost」
外出自粛生活で家で過ごす時間が増え、毎日の暮らし方を見直したという人も多いのではないでしょうか?
特に近頃、私の周りでよく耳にするのは「コンポスト」の話題です。
そもそも、コンポストって?
コンポストとは、生ごみを微生物や虫の力で分解・堆肥化すること。
家庭ごみのうち、もっとも多くを占める生ごみは「燃えるごみ」として捨てる人が多いですが、生ごみは水分が多いため焼却処分にたくさんの重油が必要なほか、焼却時にCO2も発生します。
野菜のヘタや皮、傷んでしまった食材など、食べられずに捨ててしまうものが持っている栄養を土に還元できるコンポストは、家で気軽に取り組めるごみの減量方法として実践者も増えています(筆者も昨年末から実践していて、その簡単さはお墨付き)。
コンポスト生活を提案するLFCコンポストが挙げる「コンポストをするメリット」は以下の通り。
●生ごみを捨てる手間がなくなる
●生ごみを捨てるときに使うビニール袋が必要なくなる
●栄養豊富な堆肥を自作することができる
●できた堆肥は家庭菜園や花の栽培に活用できる
●堆肥でできた野菜や果物はおいしく、安心して食べられる
●ごみが減るので、ゴミ袋代を節約できる
●環境などに関心を持つきっかけになるなど、エコ活動として気軽に参加できる
このように、良いこと尽くしのようなコンポスト。
しかし、実践してみると多くの人がぶち当たる壁は・・・できあがった堆肥を使いきれない!
また、堆肥の状態の見極めや虫対策など、ネットで調べても色んな情報がありすぎて少し困ってしまうことも。
そんななか、東京・表参道で新たに始まったのが「1.2 mile community compost」という取り組みです。
表参道でコミュニティコンポスト
「1.2 mile community compost」は、生分解性のサトウキビ製ストローを流通・回収・堆肥化する4Natureと、先に紹介したLFCコンポストを手がけるNPO法人循環生活研究所による取り組み。
家庭で作ったコンポストを持ち寄って、共同でひとつの大きなコンポストを完成させ、使いたい分だけ家庭に持ち帰ってガーデニングに使ったり、コミュニティメンバーと共同で野菜やハーブを育てたりと、コンポストが資源として地域へ還元することを目的としています。
小型飲食店やシェアオフィスが集まる「COMMUNE」というスペースの一角にコンポスト・ステーション(回収地点)を設け、コミュニティへの参加対象者はCOMMUNEより半径2km(約1.2マイル)を生活圏とする人。
生ごみの削減や堆肥を使った都市の緑化といった自然環境へのメリットだけでなく、都会で希薄になりがちな「お隣さん」とのつながりを、コンポストをきっかけとして深めるねらいもあります。
コミュニティコンポストが出来上がるまで
海外のコミュニティコンポストは、家庭で出た生ごみを直接コンポスト・ステーションに持って行くスタイルが多いように思いますが、表参道のコミュニティコンポストは各家庭でコンポストを行います。
後者のスタイルの方が面倒なのでは?と思われるかもしれませんが、実際に自分の出した生ごみが土に還っていく過程や、微生物のはたらきによってコンポストが温かくなるようすを体験することで、自然の循環の一部を感じることができます。都会で自然に触れる機会の少ない生活をしている人にとっては、新鮮で楽しいプロセスなのではないでしょうか?
また、LFCコンポストは基材と耐水性の紙袋に加えて、ペットボトルのリサイクル素材で作られたファスナー付きバッグがセットになっているので、コンポスト初心者でもすぐ簡単に始められます。
果物や野菜の皮、ハーブティーの出し殻、使い古したヘチマ製の食器用スポンジを細切れにしてコンポストへ。
そうして、およそ1〜2ヶ月(日々の生ごみの量によって異なります)生ごみを入れ続け、堆肥全体が黒くべったりした質感になり、生ごみの分解が遅くなってきたら熟成に移るサイン。
家庭で数日間、生ごみの追加をやめて熟成をスタートしたら、いよいよCOMMUNEのコンポスト・ステーションに持参します。LFCコンポストの容器はバッグ型なので、持ち運びも簡単。
このように熟成しはじめた家庭のコンポストを、ステーションにある大きなコンポストバッグ(家庭サイズの4〜5倍ぐらい?)に投入!
ここで他のコミュニティメンバーのコンポストと一緒に、水分の追加や切り返し(*混ぜること)を適度にしながら、堆肥として使える状態まで最終熟成を行います。出来上がると、必要な分だけ家庭に持ち帰ったり、コミュニティの活動として野菜やハーブを育てる際に土に混ぜたりと、活用されていきます。
自分の周りでもコミュニティをつくってみよう
2020年10月現在、4NatureとNPO法人循環生活研究所が手がけているコミュニティコンポストは表参道のみですが、例えばご近所さんとコンポストを実践し、一緒に市民農園で堆肥を使って畑を始めてみるなど、小さな規模でも自分の周りでコミュニティコンポストを始めることはできそうです。
あなたなりの形で試してみてはいかがでしょうか?
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◎1.2 mile community compostについてもっと知る
・公式ページ
・4Nature(note)
・NPO法人循環生活研究所
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