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「日常に月を感じていてほしい」クリエイター、土谷美咲さんへインタビュー。

「澁谷さんっていい意味でギャップあるよね。」
仕事の先輩として出会った土谷美咲さん(以下、つっちー)から、その言葉を受けてとても嬉しく思いました。

人の両面を知ることに興味を持ち、私の両面を知ろうとしてくれる人。
彼女とはプライベートで話すのは初めてなのですが、同じ仕事先で3ヶ月だけ一緒に働き、同じような価値観を持っていることに気付きました。

今回のインタビューは、オリジナルブランドのことをもっと知りたいと思ったのが依頼のきっかけだったのですが、ブランド含めとっても広い話題でお話を聴くことができました。

▼つっちープロフィール

土谷 美咲(つちや みさき)
・愛称:つっちー
・経歴:ウエディングプランナー、商品撮影、ブランドデザイン

ー2020年ブランド「日常と月」立ち上げ、カフェや百貨店、中心に作品を展示・販売。
現在はオンラインショップのみで注文を受け付けている。

ー経歴とオリジナルブランドの関係性は?

スタートがウエディングプランナーで、次が商品撮影のフリーカメラマン。
結婚式に携わるなかで使用するフラワーシャワーを作ったり、「自分だったら透明感あるコースターがほしい」と作り始めたらブランドが出来上がって、今に至る。

ープランナー時代も物作りに興味があった?

というよりは、プランナー時代に装飾を作っていて、“作る楽しさ”を初めて知ったんだ。
新郎新婦が求めるものが売っていないなら、自分たちで作ろうという環境だった。

結婚式の仕事から離れた途端に、自分が欲しいものを作る仕事がしたいと思ったのがきっかけ。

ーもともと、物作りの知識はあった?

全くない!
水彩画のような淡い色が好きだから、画用紙を用意して水を浸して…水彩絵の具をつけて…なんてして。透明感もなくて美しくなかった。
次はアクリル板で挟んでみたら、接着部分がうまくいかなくて。(笑)

カメラマンの仕事をしつつ、いろいろ調べていたら良さそうな絵の具が見つかって今の形に着地した。

あとは地元の友達からのストレートな意見を聞いて、リクエストに応えているとレパートリーが増えてきたから、販売に繋がった感じだったかな。

ー「ないなら自分で作る」ってすごい。

こういうのがほしい、そういうものを集めよう、かけあわせてみよう…。販売するならブランド名つけよう、撮るのが好きだし撮影しよう…。
って思いのまま動いてみたら形になった。

ネットよりも直接お客様に会って、思いを話して買っていただく喜びが好きで。
好きな雰囲気のカフェやスペースにアポイントを取ってポップアップを開いてきた。

ー営業も全て一人で大変だった?

カフェとブランドの雰囲気が合うかが大切だから…。
「こういうブランドをしています。こういう風なポップアップができるんですけど、どうですか?」って交渉してきた。
ウエディングプランナーの経験から、装飾のイメージをして場所を探したりで楽しかったよ。

ーつっちー自身に“透明・白”とイメージがあるけど、いつ頃から?

ブランドのポップアップを始めた頃から。

もともとは希望の色味ができるか聞いてくれた方にだけオーダーメイドで販売していたんだ。
その後カラーパレットを用意して、オーダーメイドできますって発信するように変えた。
そこでもし、私が「黄色が好き」と全面に出すとお客様が色を選ぶときに影響するんだよね。

オーダーメイドするときはデザイナーやブランドの推す色に左右してほしくなくて。
私が白か黒に振り切れば、お客様は本当に好きな色を選べると思ったことがきっかけで、私は白のほうが好きだから全身白やクリアカラーを身につけるようになった。

色物を作品意外に使ってしまうとその装飾も作品って見えてしまったりもするから、ポップアップで使うテーブルや什器も無彩色にしているよ。

ー「日常と月」というブランド名の由来は?

結論は、日常に月を感じてほしい

中学生時代の彼がフィリピンとのハーフだったんだけど、フィリピンに帰ってしまったとき、当時は外国ってすごく遠い存在だったから不安だった。

そんなとき電話越しで「空見て。月見える?」って言ってくれて。
「気温や天気は違うけれど、月は同じ形をしている唯一の物体だから寂しくなったら月を見てね」という言葉で、月がすごく安心できる存在になった。

一人暮らしをしたり、家族ができたり、時には寂しくなって病んでしまったり。
いろいろな人生があるけれど、月を見て一人じゃないと気付いてほしい。
知ってる人もこれから出会う人も、月を見ているかもしれない。
安堵感を覚えてもらえたら命を落とす人も減るかもしれないなと思って。

日常に月を感じていてほしいという思いをそれを発信したいから、この名前にした。
デザインも、月とリンクするデザインにしている。

ーブランドの第一フェーズみたいなところはどこにある?または超えた?

もう超えた!

一人でできる限界が見えたこと。
カフェやスペースだけじゃなく、百貨店とアパレルショップでポップアップを開くということの着地点をクリアした。
1年間ブランドだけで生活もできたし、好きなことで生活したいという私の中ではそこで満足。

拡大したければ投資しないと保たないし、ルーティンが苦手だから着地したことで満足した。
人を雇って上に立ちたいと全く思っていなくて、一人での限界を知ってしまったからこそ、違う人のブランドをサポートしたい気持ちが強くなった。

ースキルアップとして就職を選んだ?

今のメンバーと大きいことができたらいいなと思ってインテリア関係の会社を選んだ。

会社ではもちろん材料費は経費で、販売・発信も得意とする人が担当している。
作ることだけに特化して時間を割ける環境って私にとってすごくありがたいから、良い選択だった。

ー物作りで一番大事にしていること。

自分自身がわくわくするか、欲しいと思うかどうか。
完成品を見て「欲しい」と思ってときめかないと、誰もときめかないし好きにならない。

ーコミュニケーションスキルの根源は?

高校時代、どこかの輪に属することがいやだったんだよね。
そこで音楽好きだったからライブハウスに行って、知り合った子たちと仲良くなって地方のライブに一緒に行ったりした。
大人や学生関係なく交流していて、こういう人と価値観が合うんだって思ったり、学校という枠じゃなくても楽しい場所があるって思えて安心したんだよね。

そうしているうちにコミュニケーションスキルがついたり偏見がなくなった。
当時好きだったバンドがタトゥー入ってたんだけど、タトゥーに対する世の中の偏見も不思議だったな。

ーどんな本を読む?

自分で選ばずに、人に勧められた本を読む。

私のことを理解してくれている友人と喫茶店で集合して、その友人が私に選んでくれた本を読む。
私だけと思っていた価値観が文章になっていて安心したり。

自信家に見られがちだけど、自信ない点はとことん持てなくて。
誰かが言葉で表記してくれていることで、自分らしさを変えずにいられる。

ーInstagramでは言葉の発信を?

文章発信することで、Instagramのアカウントが伸びるか伸びないかなんて考えたくない。
そうじゃなくて自分のありのままで楽しみたい。

どちらかと言えば投稿したい写真を選んで、写真をみて伝えたいことをそのまま言葉にしている。
心の紐解きのようで、言葉の構成が得意じゃないってわかっているから、勉強にもなってる。

ーオープンマインドな第一印象と、良い意味でギャップがあります。

両極端っていうのかな?明るくて社交的な自分と、相手からの一言で凹んで消化できない自分がいる。
だからこそどちらのタイプの人も理解できるんだよね。

人に対しても両方を知りたい。
どんなに明るい子でも、人と話すのが苦手な子でも、何で心がときめいてどんなことに繊細なのかを知りたい。

片面だけで人を知ろうと思わない。

適当に集うのが苦手、コミュニケーションは1対1のほうが好きかな。

ー次のステージは?

経験の底上げ。
ウエディングプランナーのアシスタントとして今も現場に入ったりしているから、経験を積んでマーケティングも学びたい。

あとは撮影の仕事も伸ばすこと。
商品撮影に特化してきて、照明やカメラもレベルを上げられてきた。
周りの人から「つっちーの撮った人物写真を見たい」と言っていただけることが増えたから、レベルを上げて人物撮影に繋げていきたいな。

日常っぽい感じで人にフォーカス当てていくイメージ。
日常は、数十年後にはただの記憶でしかなくなってしまう。
その瞬間が写真に残っていたらすごくいいと思うし、結婚式の仕事をしていて日常の切り取りの価値を知った。

ー日常で大事にしていること。

人を見下さない。尊敬すること。
どんな人からも生活、仕事、考え方…何の軸はわからないけど、学ぶことがある。
相手から何か学ぼう、吸収しようと思っても尊敬してないとできないから。

そして、会いたい人に会うこと。
どんなに疲れてても元気が出るし、会えた瞬時の喜びや話してる時間でどんどん解放されていく。
会いたい人に会うって、とても大事なこと!

ーつっちー、ありがとうございました!


同い年ということで、お互いに学生時代や20代前半の話しては共感ばかりで楽しい時間でした。
そして、つっちーの好きを突き通して生きていく力に刺激を受けました。

次のステップへ進み、パワーアップしていくつっちーを心から応援しています!

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