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脳卒中リハビリをする上で知っておくべきワード①


脳血管疾患をみるうえで必要だと思われるワードや知識をざっくりと解説していきます。
ふだん中枢疾患をみない方でも知っておいた方がいい基礎知識となるので、ぜひ目を通してください。

今回はメジカルビュー社の「脳卒中理学療法マネジメント」という本を参考に解説していきます。

まずは脳の機能について

脳幹(生存脳)


脳幹〜視床下部にかけてをその役割から生存脳と表現される。
別名「爬虫類脳」ともいい生物としての生存機能(生命維持)を担います。
そのため、脳幹部分の大きな損傷は生命の危険を伴います。

大脳辺縁系(情動脳)


生存脳の周りを囲むようにして発達。
生存を脅かす存在に対して警報を鳴らし回避するための役割があります。
別名「旧哺乳類脳」と言われ情動に関わる。

大脳


大脳は脳幹や辺縁系を取りかこみ、理性や知性を司る。
大脳は前・横・上・後にそれぞれ別の機能を持った部位が存在することになります。

それぞれの部位は役割ごとに大きく2つに分けられる。

  • 意を司る前頭葉

  • 周囲を認知するための後頭葉、側頭葉、頭頂葉

ここまでをまとめると・・・

  1. 脳幹が生命を維持

  2. 周囲の状況を後頭葉、側頭葉で感じ取り頭頂葉で統合

  3. その情報をもとに辺縁系で感情を作り、前頭葉でそれに合った行動を起こす

それぞれの脳がネットワークでつながりバランスを常に取り合っている状態=社会的問題を起こさない状態で

脳の障害が生じるとこれらのバランスが崩れる。

それが高次脳機能障害となり表出してしまうことがあります。

いま患者さんの脳がどのような状態か考えることがヒントになるかもしれません。

半球間抑制


左右の脳を繋ぐのは脳梁という部分


我々が左右の手をうまく使って協調した動作を行えるのもこの脳梁が対側の脳機能を一部抑制しているからだと想定されています。

では脳卒中などで片側の脳が障害されるとどうなるでしょうか?


まず障害側から健側脳への抑制が弱まる
そのため非麻痺側上下肢の運動ばっかりをしていると、健側脳が活発化し障害側への抑制を強めていくことになります。


リハビリテーションを行う上で療法士が麻痺側上下肢を使わない動作を教えることは回復の可能性を潰しかねないことを覚えておくべきだと考えます。

反対に、これをうまく活用しエビデンスが構築されはじめているのが
経頭蓋磁気刺激やCI療法


どちらも健側脳の活動を抑制しながら障害側の脳を活動させていくような効果が期待できますね。

脳機能の階層構造


脳機能を階層構造で表現すると以下のようになります。

脳卒中理学療法マネジメント p28より引用

下層から上層にかけて高度な機能となる
下層の障害が残存すると上層に影響していきます。


わかりやすいのが運動や感覚
感覚障害や運動麻痺が残存した場合、それらを用いた動作のレベルでエラーが生じるのが容易に想像できます。

おわり

難しい内容ばっかりですが
脳を理解することで見えてくることも多いと思います。

今回はここまで
お疲れ様でした。

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