さとしとさ

地方(愛知県)で商業映像の企画構成演出をやってます。技術や感性の加速にしがみつきながら…

さとしとさ

地方(愛知県)で商業映像の企画構成演出をやってます。技術や感性の加速にしがみつきながらもこの先どうなっちゃうんだろうと不安ばかり。で、思うんです。あの時は正しいと思ってやったことも時が経つとあれ?と。しょうがない。人間は変化する生き物だから。「その時」を記録していきます

マガジン

  • 臆病で控えめな自己主張 はじさらしな日記

    今日もまた、あんなことこんなことが気になって。あんまり深くは考えずさらっとひと息ついてます。妄想半分の控えめ自己主張日記。文章トレーニング兼ねてます。

  • 本と映画と、すてきないくつか

    今日も心をとらえて離さない本と映画と、それからいくつかのステキなものたち

最近の記事

おじさんを震わせるハニの「青い珊瑚礁」

大好きで大切だったいくつかをクッキーの空き缶に詰め込んで 校庭の隅っこに埋めたんだけど、いったいなに入れたんだっけ、 と忘れちゃっていて、  でもある日、  どこかの誰かが親切にも掘り起こしてくれて、  でもって、目の前に突然現れて、  ほら、  と蓋を開けて差し出された気分でございます。 そして今、好きなものを好きと素直に言えずに山で遭難した「あいつ」のために、「青い珊瑚礁」を歌う、「ラブレター」(岩井俊二19995年)での豊川悦司の顔を思い浮かべてしまう、 そんなわ

    • 映画を見る前にもう一度マンガの方を。「ルックバック」

      藤本タツキ「ルックバック」 このマンガの読み方を、「倍速」と絡めてみる。 1回目: マンガなので、大きなコマを中心に、ネーム優先で、倍速とまではいかないけれど、1.5倍速ぐらいの感じでぱらぱらと読んでみる。 うん? もしも〜だったら?のアナザーワールドを描いた作品なのか? でもなんかそれだけじゃないような…。 2回目: とりあえず読んだ、で本棚にしまってしまうにはなんか重要なものを見逃したような、もったいないような気がして、今度は一倍速でじっくりと読み返してみる。 二人の

      • 「マルホランド・ドライブ」制作日誌

        *月*日 第一回メインスタッフ・キャスト合同打ち合わせ。 予想通り中味について多くの疑問質問が飛び交う。 特に今回始めてキャスティングしたナオミ・ワッツとローラ・エレナ・ハリングからが多かった。 私たちは二役なんですか、それとも全くの別人な んですか。 前半の世界と後半の世界はリンクして いるんですか等々。 予想通りである。 しかし私はその種の疑問質問に対しては次のように応えるようにしている。 感じたままに演じろ、と。 なんという都合の良い言葉だ。自分自身説

        • 聴くものを読み。観るものを聴く。「蜜蜂と遠雷」から聴こえてくるもの

          役者の天才とその演技を文章で表現した「チョコレートコスモス」、そしてこの、天才たちの演奏を文章で描き分けた「蜂蜜と遠雷」 恩田陸という人は天才を描く天才ですね。 この小説、ただ数日間のコンクールに出場する数名の演奏者とその演奏を書いただけのシンプルなストーリー。 実はまだ読み終わっておらず途中なので、もしかして違うかもしれませんが、おそらくライバルの戦い、恋愛への発展、とんでもない謎、なんてものは今後出てこなさそうです。 なのになぜ、ぐいぐい引き込まれていくのか。 電車

        おじさんを震わせるハニの「青い珊瑚礁」

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          57本
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        記事

          その横顔が好き 2024年6月20日

          かつてリンゴスターは、「ベートーベンについてどう思いますか?」と聞かれ、こう答えた。 「いいね、とくに歌詞がいい」 そして私は、 「富士山についてどう思いますか?」と聞かれたら、こう答える。 「いいね、とくにその横顔が」

          その横顔が好き 2024年6月20日

          厚く生きる、と書いて厚生年金とよむ2024年6月19日

          会社員でなくなってまもなく30年。てことはフリーランスになって30年。 いま会社ってどんな仕組みで動いているんだ。 あの頃と比べて 自由になっているのか 窮屈になっているのか 便利になっているのか 快適になっているのか 働きやすくなっているのか 人間関係の煩わしさから離れてホッとしている反面、ひとつだけ、手放して後悔しているものは、なんといっても厚生年金。 会社員の唯一といってもいいメリットは、厚生年金だと痛感している今日このごろです。

          厚く生きる、と書いて厚生年金とよむ2024年6月19日

          あなたの名前はなんですか?2024年6月18日

          6月18日の「虎に翼」。今日はみごとに名前の回でしたね。 はじめて顔をあわせた人を「おっさん」と呼ぶ者に名乗る必要はない、ではじまり かつての学友を紹介して、「よねさん、あなたが」ときて、 寅子は孤児の名を聞き取り、 はるさんは、家族の名前をひとりひとり読み上げ、道男にさりげなく家族を紹介して見せる。 誰もが、おっさんやおばさんではなく、名前という人格を持ち得ていることを示すという、ささやかながら大切なことを明らかにしてくれました。 「赤毛のアン」のアン・シャーリーがはじ

          あなたの名前はなんですか?2024年6月18日

          2020年6月9日の思い出

          届きました!  という今日の出来事について書こうとすると、 ついつい茶化しや皮肉や虫の死骸が混じってしまいそうになり、 そんなつもりはないよ、のつもりなんですが、 結果的に混じっていたら、そんなつもりがあったということで、ごめんなさい。 6月になりもう一気に季節は夏へ。  4月はじめに発表のあった布マスクが、夏の扉を開けて届きました。  なるほど「スピード感」  これ、「感」が大事。  「感」があることが重要。  スピードそのものではなく、感じ、ですからね。  実際に

          2020年6月9日の思い出

          「うむん」ってなに?「うまず」ってなに?言葉はまずは疑って、そして信じればいい

          少年は、母親がふとつぶやいた、その言葉の意味を知りたかった。 カードゲームに出てくるモンスターの名前?ううん、そんな名前のモンスターはいない。 辞書を引いても、その言葉は載っていない。 少年が探している言葉、それは「うむん」。 ある出版社の辞書編集部の大人たちは、協力して調べ始めた。 大中さまざまな辞書、方言辞典、百科事典を開いても載っていない。外国の地名でもない。 どういう時にその言葉を聞いたの? ヒントを得ようと、大人たちは少年に尋ねた。 少年は答えた。 お母さん

          「うむん」ってなに?「うまず」ってなに?言葉はまずは疑って、そして信じればいい

          「虎に翼」の参考文献じゃないか?と思えるほど強烈な「問題だらけの女性たち」

          もうホントに「虎に翼」が素晴らしくて、毎日数回録画を見直してはふかく感動のため息を繰り返しています。 弁護士となった祝賀会での寅子のワンカット演説の、「私たちはすごく起こっているんです」にはドキッとさせられました。 でもその怒りに対して、真から理解と共感を寄せることはどうしたってかないません。なんたって性別によってふるいにかけられてしまう、そんな立場には、男として生まれただけで自然と立っていないわけですから。もうただそれだけで、あの怒りの、深く重く滲むような源に気づくことさ

          「虎に翼」の参考文献じゃないか?と思えるほど強烈な「問題だらけの女性たち」

          4月14日 地球の悲鳴を聞きながら辞書を引いたら驚いた

          家電製品がなぜか同じ時期に壊れはじめるように、世界中の地面が悲鳴を上げている。 ニューヨークでも過去140年で最大規模の地震があったとか言うし。まじでちょっとこわい。 どんだけ頻繁に地震が続いているんだと、防犯アプリの地震履歴を覗いてみると、最近どころか、毎日毎時間毎分どこかで小さく地面が揺れ続いていた。 地球は小刻みに生きている。空白なんてものはないんだ。 ふと思って、いつも使っているブラウザの履歴を開いてみたら、同じように毎分さまざまなサイトを彷徨っている自分の落ち

          4月14日 地球の悲鳴を聞きながら辞書を引いたら驚いた

          桜星人に乗っ取られてピンクに染まる

          桜ってどうしてピンク色してるかわかる? そりゃあ、あれだけたくさんの人に見つめられ、Amazing、Beautifulとつぶやかれ、パチパチシャッキッとシャッターを押されて一斉に注目されたら、血管が花びらに集中して、ピンク色に染まるわな。 と言ったのは、坂口安吾だか梶井基次郎だか。(ウソ) 桜さくらサクラSAKURA テレビを点ければ日本中の桜の森の満開の下で誰も彼もがはしゃいでいる。 花見という宴から遠く離れては早ン十年。まだまだ夜は寒いのに元気だなみんな。トイレが近

          桜星人に乗っ取られてピンクに染まる

          「居る?」「要る?」どっち?

          ずっと前の、(たしか)ほぼ日の「言いまつがい」で見かけた投稿だけど、数年経ってもいまだしっかりと記憶に残っている。良かった。まだボケてない。 この投稿をはじめて読んだとき笑ってしまったけど、よくよく考えてみると、かなり深く、この家庭の状況を深み読みしたくもなってしまいます。 父は本当にボケていて、この家庭における「ボケ」とはボケている父、のことだという暗黙の共通認識なのか。 それとも母は、いわゆる漫才でいう「ボケ」のつもりで父と電話を変わったのか。 「居る?」なのか「要る

          「居る?」「要る?」どっち?

          想像もできない<現実>と向き合えるのか〜「正欲」

          この映画の彼女は、もうガッキーなんかじゃない。女優・新垣結衣なのだ。 ラスト数分の、稲垣吾郎と対峙する彼女の眼差しは、諦めと失望と自棄と、そして孤抱だけが残った無気力さで、凄まじかった。 多様性という言葉は、現実の範囲をぐんと広げていく。 広がった現実も受け入れますよ、と扉を開ける。 でも、それはあくまでも、想像の範囲の現実。 この物語にあるように、想像もできない<現実>がぽんと目の前に現れてしまったとき、それも多様性のひとつとして広い心で受け入れられるか、というと、自信

          想像もできない<現実>と向き合えるのか〜「正欲」

          三月十日の記憶

          スマホ、つまりはiPhone、をはじめて手にしたのはいつだったのか。 そんなの記録を見ればすぐにわかるけれど、今日は記録じゃなく記憶にぶらさがります。 いつからか、はまったく覚えていない。でも、あのとき確実に持っていなかったことは覚えている。 あのとき。 なにが、なにが起きてるの、と震えながら覗き込んでいたのは、ガラケーの画質の荒いワンセグ画面だったから。そんな自分自身の行動はしっかりと覚えている。 2011年3月11日。 そこはオフライン専用の編集室の小さなスペー

          三月十日の記憶

          お調子者に支配されている世界で生きていくしかないのか

          いつだったか誰だったかのFacebookのタイムライン上に、生牡蠣の写真と「生牡蠣うめぇ〜」てな記事があがっていました。 思わず舌なめずりをしてしまうそのシズルに誘われコメント欄をクリックしてみたら、こんなコメントがありました。 「わたしは◯◯勤務なので生牡蠣禁止令が会社からでていまーす」 (◯◯はいわゆるサービス業を当てはめていただければいいです) なるほど。禁じられた美食なるものが大人にはあるんだ。 就活生は給料や休日や働き方ばかりに気を取られていると、「聞いてな

          お調子者に支配されている世界で生きていくしかないのか