つながらない権利
最近、ネットニュースでこんな記事を見た。建設業でつながらない権利を守る動き。「つながらない権利」とは、休日や終業後など業務時間外に仕事の連絡に返答しないといったものである。
建設業の実態は知らないが、この権利が著しく奪われている業種がある。
飲食業である。特に社員が少なくアルバイトやパートばかりで構成されている業種、ファストフードやファミレス、チェーン展開されている飲食店ではこの傾向が強い。個人店は、個人オーナーであり社長や個人事業主であるからまた別だと思うけど、サラリーマン飲食業の方にはわかっていただけるのではないか。
当然、月給で働いている店長は1日8時間、週40時間の労働基準法が適用されていると一般の方は思うはずである。否、そんなことはない。
自身の勤務時間以外も店は運営されているのである。
営業時間が長ければ長いほど、つながらない権利は著しく奪われていくのである。
平社員ならいざしらず(なかには責任感持って働いている人もいるがパート・アルバイトの労働時間が長いだけの社員も多い)店長ともなると、店の営業時間=仕事時間(待機時間)である。
これが分かってない(見ないふり)経営者が多すぎるしマスコミや労働運動している団体や活動家もここには踏み込まない。いつも、なんでだろうと思っている。新しい飯の種はここにあるよって。弁護士さんたちも過払い、残業代、B型肝炎に続く案件に育て上げて欲しいものだ。
具体的に説明していこう。
店でなんらかのトラブルが起こるとする、トラブルの内容は多岐に渡る。アルバイトやパートが来ない、遅刻や欠勤があった場合、アルバイトやパートが怪我をした場合、店の機器や備品が故障して商品の提供出来ない場合、本社や上司からの急な会議招集や資料提出を求められた場合、ランドオーナーやフロア担当者からの急な呼び出しや資料提出求められた場合、売上状況に応じて原材料が足りなくなった時の手配や運搬する場合、お客様(クレーマー)からの呼び出し(責任者を呼べと言われがち)があった場合などである。これ以外にもアルバイトやパートの今日の報告という名の愚痴や不満を聞かされる電話やLINEがくることも稀ではない。
言ってしまえば、休みだから、勤務時間以外だからという理由で連絡を遮断できない状況は常態化しているのである。
アルバイトやパートの中にはしっかりした人がいて留守を守ってくれる人もたまにはいるが、いたとしてもわからないこと、困ったことは最終的には店長に投げられてくるからゼロにはならない。
この状況をなんとかしようとしない、活動家や市民団体、法律家、労働基準監督署は見てないのか見えないふりをしているのかこれでいいと思っているのか、いつも理解に苦しむのである。
飲食店の店長の平均年収は400万ちょぼちょぼらしい。そんな金額で、営業時間の全てに待機命令がでているようなもの。
たまに、営業時間外は電話に出ない、LINEも見ないという強い気な店長がいる。しかし、そういうことするとパートやアルバイトからは頼りにならない店長と言われ、本社や本部からは無責任な社員のレッテルを貼られて評価されないのである。
もちろん、店長であるから責任もたないといけない、全てかぶる必要があるのは理解できるが、それに見合う待遇を与えてもらいたい。
昔、日本マクドナルドの社長だった藤田田さんは店長は飲食店の店長は、激務だから待遇もあげるのだと、他の飲食店よりも高待遇にするのだと年収700万くらいだった。数十年前の話。
今の飲食店運営している会社で、店長にそれだけの待遇与えている会社はないだろう。あったら教えて欲しいものだ。経営者は自身の待遇と、自身の生活にしか興味ないんだろうなとしか思わないのである。
最近のカスハラ排除の動きを見ていると、次はこの時間外労働問題、つながらない権利侵害されている問題にメスをいれてくれる企業や法律家、マスコミ、活動家に期待している。
名もなき私はこうやって拙い文章を書くくらいしか出来ないが。
バス、トラック運転手の待遇改善、宅配ドライバーの待遇改善、保育士の待遇改善、教師の待遇改善、このあたりはマスコミやニュースによく取り上げられているのに飲食店の店長問題がとりあげられないのは何故かなといつも思うのである。