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サルコペニアになる4つの原因とはなんでしょう

『サルコペニア』という言葉は,私の学生時代はあまり聞くことのなかった言葉ですが,最近は臨床や学会でもよく耳にする言葉です.
臨床に出てから
友人「サルコペニアって知ってる?」
私「なにそれ?」

と答えたものです.

今は知らなければ,
「知らないの~」となってしまいますよね?
今更聞けないサルコペニア.

ということで,今回はサルコペニアに関するお話です.

ちょっと専門的な分野になりますので,勉強したい方ぜひ読み進めていただければと思います.

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サルコペニアとは?

サルコペニアは,”加齢に伴って骨格筋量が減少し,身体機能や筋力が低下してしまう状態”です.

サルコ+ペニア『sarx(筋肉)+penia(喪失)』※ギリシャ語
から名前がつけられています.

そのため,加齢が関係することは言うまでもありません.
しかし,年をとっても元気な人もいます.
加齢の他に何が原因になるのでしょうか?

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一次性サルコペニア:加齢性サルコペニア

歳をとるにつれて筋肉量は低下しやすくなります.
しかし,低下するのは筋肉量だけではありません.

・成長ホルモンの低下
・テストステロンの低下
・グレリンの分泌量の低下
・炎症性サイトカインの増加
・ミトコンドリア機能の低下
・マイオカイン(筋肉作動物質)の産生異常
・食欲低下による体重の減少
・筋衛星細胞の減少
・運動ニューロンの減少

などが影響をすると考えられています.
そのため筋肉が作りにくく,分解されやすくなります.

骨格筋を合成することを「同化」
骨格筋を分解することを「異化」
と言います.

つまり,高齢になれば「同化<異化」ということになるのでしょう.
年をとることは仕方がないことですが,加齢に抗いましょう.

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二次性サルコペニア①:不活動によるサルコペニア

安静の状態
不活動な生活習慣
体調不良
無重力状態

当然ですが,運動不足になれば筋力が低下します.
運動不足の生活スタイルや寝たきりの状態,身体活動が低下すれば,筋肉のタンパク合成は生じません.

筋肉の分解(異化)が進行し, 筋肉が痩せ細っていきます.
また,移動をしていたとしても筋肉に負荷がかかるような運動をすることがなければ,筋肉の肥大や筋力強化の効果は難しいと考えられます.
安静の状態を続けていると特に下肢の筋力が著しく低下するといわれています.
そのため,歩行などの移動能力が著しく低下します.
加齢による影響に加えて,不活動がサルコペニアを進行させます.

実際には,ただ歩くだけでは物足らないでしょう.
筋肉に負荷をかけなければなりません.

体力がない人は,運動に慣れるところから.
体力がある人は,少しずつ負荷をアップしていきましょう.
そうでないと頭打ちになってしまいます.

ちなみにこのブログを書いているとき,私の異化は亢進しています.
「運動しなければ・・・」

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二次性サルコペニア②:疾患によるサルコペニア

疾患を患うことによって筋力が低下することがあります.

炎症性疾患
臓器不全(心臓,肺,肝臓,腎臓,脳)
悪性腫瘍(がん)
内分泌疾患

に関連するものがあります.
悪性腫瘍によるがん悪液質や心臓疾患に伴う心臓悪液質なども骨格筋量の低下に関連すると考えられています.

2型糖尿病でもサルコペニアの有病率が高く,メタボリックシンドロームでもサルコペニア/サルコペニア肥満の有病率が高いと報告されています.

当然,加療(治療を施すこと)による安静によっても骨格筋量が低下します(不活動によるサルコペニア).
疾患を患ったときには安静が必要となりますが ,過度な安静には注意が必要です.

理学療法士なら誰でも知っていることですが,体の状態に合わせてできる範囲の運動をしていかなければなりません.

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二次性サルコペニア③:低栄養によるサルコペニア

トレーニングをしても低栄養の状態では,筋肉量の増大や筋力強化の期待はできません.
筋肉をつけるのには,元となる栄養も必要です.


・総タンパク質
・分枝鎖アミノ酸の摂取不足
・n-3系多価不飽和脂肪酸
・ビタミン類
・カロテノイド
などの抗酸化作用効果のある食品の摂取
が不十分だとサルコペニアに関連すると報告されています.

・摂食不良
・吸収不良
・食思不振


筋タンパク合成を促進するには運動栄養が必要です.

それは若い人の筋トレとも一緒です.
最近はプロテインやBCAAも流行っていますよね?

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身近な人がサルコペニアならないために

サルコペニアの有病率の研究は,その定義は対象者の属性(年齢や環境)よって影響を受けるため特定することが難しくなります.
大規模研究では,6~12%の人がサルコペニアであると言われています1~3).
疾患のある方や入院している方であれば有病率も多くなります.
自分の身近な人がサルコペニアにならないように注意してください.
1)Yoshida D,et al.2014;14:46-51.

2)Janssen I,et al.2002;50:889-96.

3)Castillo EM,et al.2003;25:226-31.

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