- 運営しているクリエイター
#ファンタジー
虹のおと 3.あおやまどん
左の山は静かだった。濃紺の木々がうっそうと茂っていて、さやさやひそひそティナとホビーを見つめていた。斜面はゆるやかなカーブの連続で、なかなか頂上へつきそうになかった。だんだんと日が暮れ始めていた。
夕暮れはそれはそれは美しいものだった。山の中腹からながめる景色は、<しずく森>や<ふしぎ沼>、それから<たいこ岩の谷>も見えた。やがて夜のベールが幕をおろし、星達がきらきらと演奏を始めた。
夜だ
虹のおと 2.あかやまどん
2.あかやまどんティナが選んだのは、右のあかやまどんが住む山だった。急な斜面も、久々にきたお客を通すために道を開けた。真紅の木々がざわざわしている。そのくらい、あかやまどんに会いにくるお客が少ないのだ。あかやまどんは山の頂上に住んでいた。いつも怒っているような大声を出すので、恐れられていた。あかやまどんの背は山と同じぐらい大きくて、雲にも届きそうなくらいだという噂だった。爪はのびてとがっていたし、
もっとみる虹のおと 1.かけら
1.かけら そこは<しずくの森>という場所だった。青や青緑や水色のしずくの木々が生えていた。薄紫の霧がたちこめ、色の変わる<ふしぎ沼>があった。むらさきうさぎ、なないろ小人、ちょうちょう鳥、おばけガエル。そういった不思議でちいさな生き物たちが住んでいる森だった。
こども妖精のティナも<しずくの森>に住んでいた。ティナの家は<ふしぎ沼>のすぐ横にある切り株をくりぬいたものだった。ティナはそこにひと