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虹のおと 8.別れ

 ティナとホビーとリューは、<とんがり山>を黙って降りた。もうゴロゴロ岩は降ってこなかった。ガウスの小屋を通ったときも、<悟りの崖>を渡ったときも、<ウンバの森>を抜けたときも3人は黙りこくっていた。
 別れのときが近づいているのだ。
 空に虹がもどり、リューとは里で別れなければならない。
<いつくしみの里>に戻ってきた。
 里長と里のみんながリューの帰りを待っていた。
「よくぞ務めを果たしもどってきた。リュー、次の里の長はお主じゃ」
「ありがたく長の名を頂戴いたします」
「おかえりなさい、リュー」
 リューはみんなに出迎えられてすこしはにかんでいた。ティナとホビーはリューに別れを告げた。
「あなたのおかげで長老様に会うことができたわ。ありがとう」
「ほんとすごいよ、リュー。里長になるんだね」
「ティナ、ホビー、あなたたちと旅したこと、私は生涯忘れないでしょう。気をつけて<しずくの森>まで帰ってください」
「ありがとう。さようなら、リュー、さようなら!」
 里から出て、<ふたご山>をのぼると、あおやまどんとあかやまどんが祭りをしていた。
「おまえ、虹なおした。きれいなおと聞こえた。美しいおとだ。おまえはすげえやつだなぁ」
 あおやまどんは珍しくにっこり笑っていた。
「おれたち、祝福されただ。赤も青もなかよくするんだ。祭りだ!祭りだ!」
 あかやまどんはいつもどおり、元気に大声をだしていた。
 赤い木も青い木も元気よくさやさや揺れていた。
 あんなに長かった旅も、<しずくの森>まで帰ってくると、あっという間の出来事のように感じられる。<しずくの森>は出てきたときと何一つかわらなかった。むらさきうさぎ、おばけガエル、ふしぎ沼、ホビーの家があるたいこ岩。
「じゃあ、ここでお別れね。ゆっくり休んで、また遊びましょ」
「うん、じゃあねティナ。おかえり、ティナ。さよなら、ティナ」
「さよなら、ホビー!」
 ティナはホビーと別れて自分の家に帰ってきた。
「長い長い旅も終わっちゃったわ。でも空の虹は元どおり。なんだか長い夢をみていたみたい。また明日から普通の日が始まるんだわ」
 ティナは自分のベットで布団にくるまった。
「とっても疲れちゃった。でもとっても楽しかったわ。おやすみなさい」
 ティナは静かに眠りにおちた。

 この物語は、これで、おわり。
 

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