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南仏ホームステイとポルトガル一人旅~パリ編④~

おまけでつけたパリ観光もいよいよ今日で最終日、明日はリスボンへ移動。最終日のパリはどんな一日になるのか。

最終日のショッピングが…

私はパリに到着した日に買い逃したものや家族や友人のお土産を買うため、再びマレに行くことにした。

ところが…マレに着いてびっくり!なんとほとんどのお店が閉まっていた。日曜はキリスト教で安息日。労働が禁止されているフランスでは、スーパーや百貨店などほとんどの店舗がお休み。やっているのはアラブ系か中華系の店舗だけ。私はすっかりそのことを忘れていたのだ。

パリの寮に到着したのが日曜日で困った話

前回のパリ滞在の初日もちょうど日曜日だった。日本から寮に到着し、受付でカギをもらった。夕食付きの寮だったのでどこで食事をするか受付で尋ねると、今日は日曜だから食事はないと告げられた。

私は途方に暮れた。駅からこの寮に来る道すがら、レストランやスーパーらしきものは見かけなかった。電車でどこかに出かけるのもおっくうだ。

そうだ、日本人に聞いてみようと思い立ち、寮の各階にある名簿を見て日本人らしき名前が記載されている部屋をノックした。

中から出てきた日本人女性に自己紹介し、近所のレストランかスーパーを教えてほしいと頼んだ。

「スーパーは近くにあるけど今日は日曜日だからどこも閉まってると思うよ。中華街ならあいてるけど、ここから20分ほど歩くし…よかったら私たちも今から夕飯だから一緒に食べない?」

私は夕食を分けてもらうことにした。中にいた彼女の友だちと一緒に3人で食べた。同じ日本人とはいえ、初めて会う人の中に入って夕食を食べるのは気まずかった。日曜日のパリには気を付けようとその時強く思った。

最近はフランスのデパートも日曜日に営業するようになったと聞いた。私は日曜日のパリの町の閑散とした様子が好きだった。スーパーもデパートもほぼ定休日がなくコンビニは24時間あいている日本と違い、どの店も閉めてしまうフランスの潔さが好きだった。不便さもまたパリの魅力の一つだ。

再びマレで途方に暮れた私は気を取り直し、午後から行く予定だったギュスターブモロー美術館へ向かった。

螺旋階段が素敵で幻想的な美術館

ギュスターブ・モロー。神話や宗教を題材にしながらも、宗教画にとどまらない独特の世界観を描く画家。幻想的で繊細で美しくありながらも見る人の心に不協和音を鳴り響かせる作品の数々。美術に造詣のなかった私はパリに来て初めて彼の作品を知った。同じ寮で生活していた友人がギュスターブ・モロー美術館勧めてくれたのがきっかけだ。

ロマンチックでありながら残酷。

モローの絵を観た最初の印象。一角獣や竜が描かれた独特の世界観や美しいのにどこかシュールな印象を与える作品の数々に夢中になった。

美術館の内部にある美しい螺旋階段が優雅だ。ピンクとオレンジの中間色に塗られた壁に並ぶモローの絵の数々に圧倒されながら、いつまでもこの世界を味わっていたいと思った。小さいながらもモローの素晴らしさが詰め込まれた宝石のような美術館だ。

モロー美術館を満喫すると、カフェで軽くサンドイッチをかじってからオペラ座に向かった。

オペラ座の天井画が大好き

オペラ座はパリに来たら必ず訪れる場所。金色と赤で統一された劇場内は華やかで優雅。観劇を楽しむだけでなく、社交の場でもあったことを感じさせる。そしてなんといっても素晴らしいのは天井画。シャガールによって描かれた天井画は淡い色遣いが美しく幻想的。羽をつけてふわふわと今すぐにでも夜のパリに飛んでいけるような気持ちになる。シャガールの頭の中ではきっとパリはこのように見えたのだろう。

深夜の恋のお悩み相談は続く…

その後、ヒロシにゆずってもらったチケットでピカソのバレエ公演を楽しんで私はホステルに帰った。

一言感想とお礼を言おうかなと思っていたら、ちょうどカフェスペースでヒロシがPCを操作しているのが見えた。私が声をかける前にヒロシが私に気づいた。

「バレエどうだった?よかったらカフェでいっぱい飲もうよ。」


私は部屋に戻らずそのままカフェスペースでヒロシとの会話を楽しんだ。話は途中からまたヒロシの恋愛相談になり、その話は延々と続いた。

今日でヒロシともお別れだ。とことん恋のお悩み相談に付き合おう!そう腹をくくってみたものの、ヒロシの話は同じ話を行ったり来たりで話を終わらせることを恐れているように感じられた。

この人はきっとさみしいのだろう。一人旅に慣れている旅人でも孤独なのだ。いや、孤独だからこそ旅に出るのかもしれない。旅に出て同胞である日本人や言葉の通じるスペイン語圏の旅人に声をかけて孤独を癒すため旅をしているのかもしれない。人は誰もみな孤独なのだ。

12時を回ったころ、明日早いからとヒロシに伝えて切り上げた。彼は「元気でね、一人旅楽しんで!」と言い、私たちは握手して別れた。

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