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【実施レポート】「提案先に課題を聞きに行くのではなく、自分達が一緒になって何をしたいのか」長期多業種合同プログラム:Field Academy 2021第2回(前編)

お世話になっております!リディラバの石井です。

このnoteでは、リディラバが主催する多業種合同の越境プログラム「Field Academy(フィールドアカデミー)」の、2021年第2回開催分にて今まさに実施している内容を、余すところなくお伝えします。

「"社会課題の現場"と"リーダー育成"が結びつかない・・・」
「越境学習は聞いたことあるものの、実際のイメージが湧かない・・・」
「今期の参加、逃してしまった・・・!」

といった方々、ご参考になれば幸いです。

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Field Academy2021第2回のセッション構成は?

Field Academyとは、3カ月(延べ8日間)を通して徹底的に課題解決と向き合う、長期・出張型プログラムです。
「会社の次世代を担うリーダー層に、強烈な自己変革の機会を!」といったコンセプトで、実際に起きている社会課題の解決にゼロベースで挑む構成となっています。

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セッションは全5回構成です。キックオフに始まり、糟谷さんをはじめとするシンクハピネス関係者へのヒアリングを行う1stセッション、地域・コミュニティを作るプレイヤーでもあり、糟谷さんの盟友でもある方へのヒアリングと、糟谷さんへの仮説をぶつける2ndセッションを前半に。
後半には、現場フロントランナーである糟谷さんほか、ソーシャルセクターの風雲児であるリディラバ安部と、社会性・事業性を兼ね備えるビジネスセクターの名手を講評者とした中間発表とフィードバックを実施。最終発表を踏まえ、提案の実施採択を決定する構成になっています。

「医療福祉とライフデザイン」テーマの意義

今回のテーマは「医療福祉とライフデザイン」
東京は府中を拠点に、「“いま”のしあわせを創る」というビジョンの下に訪問介護事業を柱にしつつ、多磨霊園地域に新たな村づくりを行う、株式会社シンクハピネス糟谷 明憲さんを今回のパートナーに迎えて、開催しております!

かつては公助や共助で支援されてきた困っている人が、都市一極集中や核家族化に端を発して地域社会が衰退する中で、医療を始めとする社会保障のセーフティネットから漏れ、助けを求められない現状があります。

助けが必要であるにも関わらず、情報やサービスに対してアクセスができない人がいる。

その現状に対し、「看護やリハビリテーション、ケアマネジメントなどの医療・福祉の領域だけではなく、公共機関、教育機関、医療機関、地域資源、地域で暮らすみんなと一緒に、枠にとらわれない、新しい在宅看護・リハビリテーション・ケアマネジメントのかたちを作る」事で、糟谷さんは社会変革のアクションを行っています。

今回参加者が実施するのは、単に多磨霊園地域の訪問介護の課題解決とも、パートナーであるシンクハピネスの課題解決とも少々異なります。

実際に訪問看護を中心に地域で取り組みを行う糟谷さんやシンクハピネスの面々、シンクハピネスと協働する人や地元の方、そしてシンクハピネスと志を共にする地域づくりに携わる他事業者等の複数の方々と現地現物で触れ合い、感じ、結局はこの社会の現状を見て参加者自身が何を思い、取り組みたいと考えるのかを徹底的に向き合い、形にしてもらう事。これが、今回のField Academyで参加者が実践する事です。

-キックオフ-プログラム全てのリフレクションの起点

7月21日、6社14名の錚々たるメンバーが集い、2021年第2回目となるField Academyのキックオフが開催されました。

キックオフの射程は、チームビルディング、課題テーマに関するインプット・ヒアリングセッションです。主に3カ月という長期に渡ってプログラムを共にする仲間とのチーム形成、そして課題の全体像について概要把握を行っていきます。

Field Academy/Field Academy LITEは多業種が一堂に介してチームを組成します。IT、通信、自動車部品、化粧品販売、小売、化学製品製造販売,,,このような複数の企業メンバー3-4名を1チームとして、運営がチーム分類をします。同じチームには、誰一人として同じ会社の人はいません。年齢も、言語も、常識も異なる他人とチームを組み、答えのない社会課題に踏み込み、合意形成を行うことで、自社の常識が通用しない領域でトライ&エラーを経験してもらいます。

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また、キックオフでは、リディラバが社会課題に向き合う際に使うフレームワークである「構造化」についての解説や過去プログラム卒業生のアドバイスセッション、そして経済産業省ヘルスケア産業課の藤岡雅美さんをゲストに基調講演を開催し、全容のつかみづらい「医療福祉とライフデザイン」という今回のテーマに向き合う素地を作りました。

-1stセッション-「問題を探しにいくのでも、課題を無理に設定するのでもなく、自分が一緒になって何がしたいのか、できるか。」問われた、社会課題への向き合い方

続く1stセッションでは、シンクハピネスや糟谷さんの関係者へのセッションを中心に現地現物に触れる現場訪問・ヒアリング・グループワークを実施する「課題の実情を掴む」セッションです。

残念ながら緊急事態宣言下につき、参加企業送り出し元と相談の上、最大限「現地現物の臨場感・リアル」を感じられる体験にするため、オンライン中継を通して参加者に体感してもらう設計で開催しました。

多磨霊園からの街並み歩きに始まり、参加者とゲストのいる現場を繋ぎ、ヒアリングセッションを実施しました。

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2日の開催を通したヒアリングゲストはなんと総勢8名!(糟谷さん除く)現地に行き、濃密な現場体験ができない分、より多くの方の視点からみたシンクハピネスや課題の現状について、ゲスト選択式でセッションを開催しました。

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さて、この1stセッションを通して、1名の方が投げた疑問が、参加者や運営を含め、大きな波紋を広げました。

セッションを通して、当事者意識というのは難しいと感じた。なんというか、現場への寄り添いはわからない。第3者視点を持ってみるのも大事だが、ここでは第3者ではなく、疑似体験・当事者のつもりになる事が大切だと思う。
シンクハピネスの課題を探すのではなく、一緒にどうしていきたいのか、どうすることがベストなのかを考えたい。問題を探しにいくのでも、課題を無理に設定するのでもなく、自分が一緒になって何がしたいのか/できるか、を問われているのでは。

まさにその通り。実際に課題を取り巻く方に「課題は何ですか?」「あなたはどんなものを望んで、その要件は何ですか?」と問うたところで、誰一人明確な答えを持っているわけではありません。大切なのは」と問うたところで、誰一人明確な答えを持っているわけではないのです。「あなたは何をしたいのか?」。課題の現場・実情を見てあなたは何を思い、誰の姿を想像して、他人が何と言おうとあなたは何をしたいのか。

社会課題に越境をする上で、最も大切な考え方の"気づき"を得た瞬間が垣間見えた1stセッションでした。

-2ndセッション-「その問いの"主語"は誰なのか?」対峙を迫られる、参加者自身の思い描く理想

そして2ndセッションでは「課題の構造を掴む」事を射程に開催。1日目には糟谷さんの盟友であり、街づくり地域づくりの課題に取り組む2名をゲストに迎えたヒアリングセッションを、2日目には次の中間発表に向けたグループの持つ仮説を直接糟谷さんへぶつけるセッションを実施しました。

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エンパブリック広石さんへは地域コミュニティの理想の在り方や維持運用、新たな人が遅延コミュニティに関わるためにはといった事を中心に、東京R不動産林さんへは特定地域におけるコミュニティ創生活動やタマレの「地域インフラとしてのコミュニティ」が持つ不動産価値の側面等のお話を伺いました。

中でもお二方が共通して仰っていたのは、コミュニティづくりのアプローチの仕方について、糟谷さんをはじめお二方の取り組みはまだマーケットが形成されていない中で、新たな価値観を掲げる個人の「熱」である事を強く訴えていました。

大企業の多くは、一定量のニーズが見込まれる、勝機のあるマーケットに対して追随をしていく手法を取ることから、参加者の多くも当初はどのようにアプローチをするか情報を集めていたのに対し、「自分が何をなしたいか」という個人の思いを中心としたこの取り組み方は、日頃の常識を打ち破られる、まさにカルチャーショックな体験だったと伺えました。

一方、2日目の糟谷さんへの仮説構築ヒアリングでは、各グループが糟谷さんがシンクハピネスを、タマレをどうしていきたいのかという問いが多く見受けられました。プログラムを通して「社会課題に『正しい進め方』『正しい答え』はない」事、そして「自分達は何をすべきか?何をしたいか?を問う」事に薄々気づきつつも、行動にまで落としきることに難しさを感じる参加者達ではありました。

しかし、改めて、「問いの主語は糟谷さんではなく、参加者個々人にあり、参加者は何をしたいのか」を伝えたました。多くの方が、普段の仕事の中で自社・もしくは誰かを主語に据えて業務を行うことが多い現状に対し、この考え方の転換は非常に新鮮だったようです。この後、各グループは糟谷さんの考えや価値観から一旦解き放たれ、参加者自身が考える、困っているが助けを呼ぶことができない人への想起を基に、各チームは新たな仮説を作り上げたところで2ndセッションは幕を閉じました。

次回、中間発表編!!!

さて、次回は中間発表です。ここまで構築した仮説を基に、「参加者自身が、誰に対して、何をしたいのか」、その理想のために「シンクハピネスをどう巻きこむのか」を提案してもらいます。

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講評者は、パートナーであるシンクハピネス糟谷さんとリディラバ代表安部敏樹に加え、投資型医療の実現を推進する株式会社ミナケア代表取締役の山本雄二さんの3名で講評を行います!

「それ、本当にあなたがしたいことなの?」
誰のための提案か、見えている?」
総花的で何を実現したいのか、全く伝わらないよ」

例年、参加者に対してこのような非常に辛口なフィードバックを頂き、参加者の多くは"大企業的思考"から脱却する、「ガツンと頭を殴られる」様な経験と、後々話してくれます。

さて、今回はどんな結果になるのか?次回、中間発表編、乞うご期待!

終わりに

Field Academy2021第2回「医療福祉とライフデザイン」前編、いかがでしたでしょうか。

本文中に何度も出てきますが、明確な答えのない社会課題という領域では、「あなた自身が(誰かのために)何をしたいのか」という強い思いが、解決や前進の糸口になります。その姿勢へ切り替えていく事は、今回参加されてない多くの企業の方も同様に直面しているのではないでしょうか。

GAFA、テクノロジーの進歩、コロナ。今までの正攻法(How)では太刀打ちができなくなります。一方、マネー資本主義の枠組みでは解決ができないとされた領域は未だあり、未だに多くの人が困りごとを抱えている。
「あなたは何をやりたいか、何故それをやりたいのか」(What, Why)。目の前にある現状を変えるのは、個人の熱に他なりません。
社会課題の現場を通し、あなたは誰のために、何をしたいのか。

「心に火を灯した、新たなリーダーを育成したい。」
そんな思いにご賛同いただける企業の担当の方々へ。
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