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ディスレクシア(読み書き障害)と私

(※この記事は、2018年に公開した記事です)


以前にもどこかで書いた気がするが、私はディスレクシアまたは読み書き障害である。

そもそも、ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは?

ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは、学習障害(以下、LD)の一つです。学習障害とは、「読む」「書く」「話す」「聞く」「計算する」などの学習行動の習得に著しい困難があり、努力してもなかなか学習成果が上がらないという特性を持つ障害です。

出典:ベネッセ 教育情報サイト
https://benesse.jp/kyouiku/201401/20140114-2.html

noteとかで散々文章を書いているが、私は読み書き障害なのだ。世間でいう大人にそろそろなる19歳の頃。「あなたは軽い読み書き障害ですね。本とか読めなかったでしょう?」と、当時の主治医に言われたのがキッカケ。そのときまでは本が嫌い人間としか私も家族も思ってなかった。

たしかに本を読むのにすごく時間がかかると感じていたが、それはみんなも同じくそういう状態でも本を読んでいると思っていたので「自分の努力が足りない」としか考えてなかった。けれども、そうじゃないと改めて気づいたとき、私の世界は変わっていった。


「あれ、音読ができない」と気づいた小学生の頃

そういえば、小学4年生辺りから徐々に国語の授業とかでの音読ができなくなっていた。いくら、家で練習しても段落を飛ばして読んでしまう。何度も何度も飛ばして読むので、授業で音読するときは存在を消して透明人間になるようにしていた。けど、透明人間のつもりでも、授業中で先生に「ここ、音読して。」と言われればしなきゃいけない。そう指名されて読むと、何度も何度も段落を飛ばして読んでしまう。先生も周りの生徒も、最初は笑ったりするが「あれ、なんかあったのかな?どうしたのかな?」と思うようになり、さーっと静まるのだ。流石によくないと先生が思い始めて「あれ、音読が苦手なの?じゃあ、今度からやめるね。」と察してくれて、音読をやらずに済んでいた。

けど、先生が変わるたびにこの確認をクラス人たちの前でされていた。

そんな経験をしていくと、次第に国語の授業が怖くなっていった。音読の時間になりそうなとき、手に汗を握り始め、身体中に緊張感が走る。「どうか、指されないように。指されないように。」と願いつつ、音読の時間は不安と緊張でいっぱいだった。



読み書き障害なのに読書感想文コンクールで賞状を貰う

小学生の頃からあまり読書が好きじゃなくて読書感想文とかつらかった。なぜかというと、本を読むのにすごく時間がかかり、字を追うので精一杯で中身なんて入ってこないからである。でも、幼い頃から読書に対して強い憧れを持っていた。だからなのか、図書委員になったりして、少しでも本の世界を楽しんでいた。

「もしかして、私って読書が苦手なのかも。」と悩み始めたのも、10歳あたりからだと思う。小学4年生辺りから中学受験にむけて塾に通ったりしたので、余計に文章とにらめっこする時間が増えたからである。

そんな環境でも、読書感想文はやってくる。毎年、読書感想文は憂鬱で課題図書中から好きなのを選ぶのも苦痛でしかなかった。ページ数が少なそうなやつを選んだりして、無意識のうちに負担を減らしていた。母も私のことを「本が嫌いな子」と思っていたため、一緒にページ数が少ない課題図書を毎年探してくれていた。

そうした理由で選んだ本を読書感想文のために読む。もちろん、最後まで読むのだが、先程書いたとおり中身なんて入ってこない。特に小学校の高学年になった頃は、文字数が多い小説などで書かないといけないため、大変だった。そこでどうするべきか悩んだ結果、本の後ろにあるあらすじと帯の謳い文句や目次欄などを上手く使い、適当に文章を作り上げて読書感想文を提出してみた。

ところが、その適当な方法で書いた読書感想文が、コンクールで選ばれてしまったのである。適当に仕上げた文章で貰う賞状。だから、素直に賞状を貰えたことに喜べなかった。「読書感想文なんて、本の感想を求めてないんだな。」と皮肉にも自分の経験を通して、すごく感じた。


国語の授業なんか放棄していいや

中学受験での国語はそれなりに楽しかった。ほとんど受験で問われる問題に対してどう答えるか覚えるだけだったため、読み書き障害でもそこまで苦労せずに済んだ。

しかし、中学生になると別である。

教科書を開いても読むのがつらく、入ってくる文字が痛く感じた。それでも、なんとか漢字を覚えようとかしたが、上手く書けない。それに国語以外にも期末テストなどでは他の教科のテスト勉強もしなきゃいけない。すると、「こんなに面倒なのに嫌いな国語の勉強なんてもうやりたくない。」とあっさり国語の勉強をやめた。それが、中学一年生の終わり頃。

それから、国語だけいつも赤点ぎりぎりだった。けど、どこかしらか罪悪感を感じていたのか、何かしようと思った。じゃあ、国語を勉強しないかわりに本を読んでいればいいんじゃないかと思い、本屋さんへ行く。ライトノベルのコーナーに置いてあった桜庭一樹さんの本を買って。読むのにすごく時間がかかったし、読むのに疲れてきって中身がほとんど入ってこない。けれども、たくさんの文字に触れていれば、そのうち周りの人達と同じように読めるはずと思い込んで、余裕があるときは本にたくさん触れていた。

でも、やっぱりそれも続かなかった。


「もう、本を読みたくない」と諦めた瞬間

高校一年生のときに音読をしたときだった。小学生の頃よりももっと文章が難しく、最初から音読する箇所を間違えてしまう。国語の授業では透明人間になっておかげで、音読されずに済んでいた。けど、このときは運が悪く、音読をするはめになる。ただの音読で間違いまくる私。音読が苦手いう事情を一切知らないため、クラスの人たちも「あいつ、どうした?ずっと間違えているよ、やばくない?」みたいな空気に変化していく。先生から「音読が苦手なのか?」と聞かれるまで、本当に恥ずかしくて教室から逃げたかった。

国語の先生は、私を心配してか「音読が苦手なら、次から指名しないから安心しなさい。他にも苦手なのがあったら遠慮なく言いなさいね。」と優しく言ってくれた。

けど、この音読の失敗により、本が嫌いになった。今まではなんとなく本に触れていたが、本を読まなくたって生きている人間もいるし、音読すると段落飛ばすし、読むのも疲れるし、もう本に触れるのもやめようと決めたのだった。みんなのように本を読んでみたかったけど、本当はすごく憧れていた読書を「無理なんだ」と思い込ませて諦めたのだ。



読み書き障害で出来た私の世界

そうして、数年間は本にあまり触れずに過ごして。そのあと、ディスレクシア(読み書き障害)と医者に言われたのである。なんだ、生まれつきなのか。私の努力が足りないとかそういうのじゃなくて、みんなにはそういうのがないだけかと言われた当時は思った。

ディスレクシアと言っても人によって違うのであるが、私の場合は文字を読むときの困難が多い。私の世界は、こういう感じだ。

(右上の画像は正常な状態、他3つが混ざり合っているのが私)

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みんなにはこういうのがなく、普通に読めるというのが想像できない。普通に読めるってどんな感じなのかな?文字読んで痛くならないってどういう感じなのかな?時間さえあれば、好きな本をずっと読めるのかな?

でも、この現状には変わりはない。ずっと、このままだ。そう思った瞬間、「じゃあ、どうやって文字と触れていくべきか」と脳内会議が始まる。

今まで読んでいて「そのような症状があるのに何故、文章を書けるのか?」と思う人もいるだろう。たしかに文字を見るのは痛い。だが、スマホやパソコンで見る文字は、本の中に印刷されている文字より負担が少ない。しかも、縦書きよりも横書きのが負担が少ない。だから、文章が書きやすかったりもする。私の文章は誤字脱字が多いし、助詞とか漢字などの打ち間違いが多い。けど、そういうのを気にしないで書くと決めているので、そこも大きいと思う。


生まれつきだからって、諦めなくていい


私は今まで病気などのせいで強制シャットダウンされ、その道に行くのを阻止されることが多い。どうしても行きたいのにその先に行こうとするとエラーが発生して行けなくなる。開き直りや諦めが時には大切、というよりその選択をしなくてはいけない。諦めることが嫌な私にとっては辛い選択なのだが、どうしようもない。「生まれつきのもので〜。」とか言われてしまったら、その道をまっすぐ歩くのは不可能である。

だが、別のルートで目的地までたどり着くことは不可能だと言われてない。開き直りしちゃえば、別のルートが見えてくるものだ。



文字を読むのは人より困難でハードル高いが、読むことが困難だから読むのを諦めないといけないとまで言われてない。スマホなどから見れば少しはマシに読めたりする。人よりは遥かに読むのは遅いが、科学がもう少し進歩したり、私が何かしらのベストな方法を見つければ、今よりもっと楽に読めるかもしれない。

まだ私は諦めない。何せ、諦めるのが嫌いな人間だからだ。

そういう今も、諦めたくないからと読書にチャレンジして、前よりも読めるようになった。最近になって、自分なりの読書のコツを掴んで読んでいる。読むのはすごく大変だが、読んでいて中身がわかるようになったし、読むのが大変でも読んでいて楽しいのだ。

私はどんなことがあっても、諦めたくない。
どんなに生まれつきで駄目だと言われても、本を読みたいからだ。

だって、本当は文字がすごく好きだから。



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