応募者は語らず。あるかもしれない「応募者の取り逃し」

企業が応募者を選考するように、応募者も企業を選考します。応募と選考のやりとりだけから、わかることは限られてくるだけに、価値観や仕事への姿勢などを、わずかなことから知り得ようとする気持ちは、両者に存在するはずです。互いに、本気度が増せば増すほど、慎重になり洞察力を上げてきます。


価値観や意識の違いを明確にするものは、とても小さなことだったりします。私が転職活動中に気になったことは、名前の書き間違えがあることでした。履歴書の返送封筒や選考結果通知の宛名などは、不採用者には、そこまで注意を払わないこともあるのかなと思えましたが、応募の問い合わせの返事での宛名は注意したほうが良いのではと感じました。「届ける。伝える。」と「届けば良い。伝われば良い。」は、全然違うからです。


チャンスを勝ち取れるか取れないか、信頼を得られるか得られないか、何かを築いていけるかどうかなど、仕事の中身と、その先の展開を左右するのは、そんな「小さなこと」だと考えます。宛名の書き間違えは少なくとも、「小さなことが大きな仕事に繋がっていることを心得ている人」の獲得を難しくします。


自分も含め誰でも間違えることがあります。私は結婚式の引き出物の、のし紙に印字する新婦様の名前を間違えるという信じられない失敗をしたことがあります。その時の上司は私にあたることもせず、ただ、お客様が気分が悪かったと言っていたことと、「引き出物の料金を無料にした。謝って許してもらったから大丈夫。」とだけ言いました。


「書き間違えただけ」たったそれだけのことと、引き換えるには値しない大きな損害があることを知りました。自分の手落ちがお客さまの気分を壊してしまうこと、自分で考えて失敗を無駄にしないこと、上司が部下の失敗の責任を背負うこと、失敗した部下の不安を軽減させることも、私は、この時、自分を責めなかった上司から学んだのかもしれません。


そんなこともあり、企業の宛名の書き間違えの許容範囲も広い私ですが、不採用通知などのフォーマートを使い、宛名だけを書きかえる時は、気をつけていただきたいのが本心です。企業と応募者が出会える機会が減ったり、企業の程度が間違って印象付いてしまうのは、もったいないからです。


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