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【日本語教師の本棚3】 「ビジネスで一番大事な心理学の教養」を、日本語教師目線で読む その2

この記事の所要時間:3分

先週末に読んだ「ビジネスで一番大事な心理学の教養」をさらに日本語教師目線で読み直すと、まだまだ使える知識がありました。使える知識のいくつかを、私のアウトプットもかねてnoteにしたいと思います。

生徒を評価しほめるときに使える知識

ストローク

「ストローク」とは直接には「たたく」とか「なでる」を意味します。心理学的には「相手の存在にふれる」という意味があります。ほめるにしても間違いを指摘するにしても、相手にわかりやすい仕方で「ストローク」することが大切ですね。

特に、今は多くの授業がオンラインになっていますし、教室で授業する場合でもソーシャルディスタンスになっていますから、実際に相手に直接ふれる機会は減っています。それで、オンライン授業の「ストローク」についても考える必要があると思いました。

この知識、日本語教師はどう使う?

オンラインでは特に相手を評価し、褒める面で「わかりやすく」「伝わりやすい」表現方法が必要だと思います。

例えば以前、私は学生の発話に対し

いいですね! いいですよ〜

などと反応していました。

ただ、この「いいですよ」も、相手にとっての「ストローク」になっているかというとそうでもないかなと、感じています。というのも、やや訂正が必要な表現を、学生が使っているときなども「それもいいですが」とか、「まあ、いいですね」など、まあまあのときにも「いいです」という言葉は出てきます。

それで、私は「いいね!」とFacebookなどのGood「いいね」のジェスチャーをして、褒めるようにしています。「いいね」で右腕だけ、「とってもいいね」で両腕で、というふうに。

最初はいろいろ身振りをいれるのが恥ずかしい場合もありますが、オンラインで相手にしっかりメッセージが伝わるのが大切だ、と「いいね」を使うようにしてます。

ちなみに、「おもしろいね!」や「上手だね」というときには拍手するようにしています。画面上で先生がいろいろリアクションしてくれると、生徒の方もどんどん発話するようになります。

逆に、訂正が必要なときにBadの身振りは使ったことはありません。「〜とは言いません」、「〜と言ったほうがいいですよ」などと、「間違えたな」と学生に伝わればいいかなと考えています。伝わってなければ、はっきりいいますが、厳しく言う必要はないかなと。このあたりは、まだまだ勉強中です。

「ストローク」、「褒め方」に関する参考書

「会話授業」に使える知識

「対話」

「対話」とは、一般的には「会話」に近い意味に使われます。ただ、心理学的には「テーマに基づいて、聞き手と話し手によって行われる創造的なコミュニケーション行為」と定義されています。

この点、「雑談」と「対話」、そして「議論」とは違うという点も注意が必要です。

対話 = <雰囲気:自由なムード> + <話の内容:真剣>
議論 = <雰囲気:緊迫したムード> + <話の内容:真剣>
雑談 = <雰囲気:自由なムード> + <話の内容:たわむれ>

この知識、日本語教師はどう使う?

授業での会話は、「インターアクション」を目指します。ロングの提唱した「インターアクション仮説」でも「意味交渉」の必要性について言われています。ただし、単なる「雑談」にもそれなりに意味があると考えると、「インターアクション」にも「真剣さ」に応じていろいろなレベルがある、と考えることができそうです。

それで、授業中の会話(インターアクション)の中で、「これは対話かな?それとも雑談かな?」と考えておく必要はあるかと思います。

授業が始まってすぐは「雑談」ですね。ちょっとした挨拶、「最近どうですか?」などといった軽い会話でウォーミングアップしていきます。ただ、ずっとその程度の真剣だと、生徒の側もだんだんつまらなくなってしまいます。生徒がある程度会話に乗ってきたようなら「対話」に切り替えます。「生徒が真剣に話せる話題」を選んで「対話」することで、「盛り上がる会話授業が作れる」と思いました。

場合によっては生徒同士が真剣に「議論(ディスカッション)」できる話題を探してもいいかなと思います。その場合も、政治的なことやプライベートな内容は避けて当たり障りのない話題でディスカッションできますね。

この面で、教師は生徒の話を引き出すために、「どうしてそう思ったんですが?」、「どう感じたんですか?」など、質問を上手に使うことで、「真剣に話せる話題作り」ができるかなと思いました。

「対話」、「会話授業」に関する参考書


まとめ

今日は「ストローク」と「対話」に絞って、考えてみました。ぜひ、皆さんの授業にお役立てください。

まだの方は、第一弾もぜひ参考にしてみてください。

#日本語教師 #オンライン授業 #読書感想文 #心理学


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