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秋を感じながら4つの諏訪大社を巡るひとり旅【長野県】

9月は福岡・山口・広島、10月は宮城・福島の旅行をしました、もうお金がありません。
しかし、今月もまた旅に出てしまいました。
今回1泊2日で長野県諏訪市エリアと松本市エリアの観光をしました、山岳都市と言われるこの一帯、当然周りには山があり、その中心に街が栄えています。そのため平野ではなくなだらかな坂道が多いのですが、そのおかげで歩くたびに見える景色が変わりとても気持ちのいい旅ができました!
この記事では1日目の諏訪観光の様子を書いていきます。

まず私が何故諏訪観光をしようと思ったのかなんですが、それは現在集英社発刊、週刊少年ジャンプで絶賛連載中であり、2024年アニメ放送も決定している松井優征作『逃げ上手の若君』という漫画が大好きでアニメ前に聖地巡りをしたいと思っていたからです。

『逃げ上手の若君』について詳しく語っていきたいところですがざっくりとまとめると鎌倉時代末期、鎌倉を支配していた北条家が配下の足利家に大規模な謀反を起こされてしまい、足利家に与する者たちに殺されたり、自害を選び一家滅亡の危機になります。

しかし、北条家の生き残りで物語の主人公北条時行は逃げたり回避することが大好きで、戦で命を賭すことが武士の宿命であると命の重さが軽いとされている乱世を、その能力で必死で生き抜き、同士を集め足利家に反旗を翻していくという物語で、史実を基に作られた壮大なスケールで描かれた大河漫画なので本当におすすめです。

その北条時行が都である鎌倉から逃れ、匿われた場所というのが長野県にある諏訪で、物語では諏訪で息を顰めながら打倒足利家に向けて準備をしたり、諏訪大社の宮司や諏訪神党と組んで戦に臨んだというまさに北条時行にとって第二の故郷と呼ばれる地なのです。
物語の舞台になった場所に訪れることを聖地巡りと言いますが、実在していたこともあり本当の意味での聖地巡りになりました。

1日目の朝、諏訪までは新宿から上諏訪駅までバスで向かいます。

バスタ新宿をはじめて利用しました

バスは3時間で目的地に到着する予定だったのですが高速道路の工事や土曜日という事で大渋滞1時間の遅れが生じています。

車内からの景色は退屈しません

眺めが良くて飽きないのですが遅延でどんどんスケジュールが押している。
このバスは中央道のIC付近でバス停があり途中下車が可能になっているため上諏訪駅まで乗る予定でしたが諏訪ICから諏訪大社に歩いて向かった方がはやいと気がつき諏訪ICで途中下車しました。

諏訪IC付近

ところで途中下車して大丈夫なのかと不安になるスタート、しかも風が強くてめちゃ寒い。

私が今から向かう場所は諏訪市で有名な観光地である諏訪大社です。
ただ、諏訪大社は大きな神社が1社だけでなく全部で4社あります。
そもそも諏訪大社とは全国各地にある約25000社の諏訪神社をまとめる総本山であり、諏訪湖周辺にある4つの大社がすべて諏訪大社で、諏訪大社の中にも種類があります。
諏訪大社 上社 前宮
諏訪大社 上社 本宮
諏訪大社 下社 春宮
諏訪大社 下社 秋宮
とこんな名称です。
目標は4社すべて訪れることです。
まず私が向かったのは諏訪市南部にある諏訪大社上社本宮、1.5キロの徒歩移動をします。

本宮に到着、神社前の通りにはお土産屋や飲食店が立ち並び観光客が多いだけでなく、七五三シーズンなこともあり祭事で訪れる地元らしき方々もいました。

神様のための建物本殿がないというのが特徴ですが、巫女が舞っていたのに使われていた神楽殿や土俵が鎮座して広々としており、古さが感じられる大木があちこちにある神秘的な境内です。

神楽殿
サンクチュアリ!?


木が優先されている

布橋と言われる長廊を歩くことができるのもとてもいい。

このような神社があと諏訪に3社もあるとは、これからが楽しみです。
ただ、朝から何も食べてないのでお腹が空きました、少し早いですがお昼ご飯を食べます。

長野県で有名なグルメといえばおそば。それに、諏訪エリアではうなぎも有名だと旅行前に人から情報を得ていました。
お金がないのにそんなに奮発できない!と固く財布を閉じる決意はあったものの諏訪大社の前に「うなぎ」の看板を見つけた途端、私は導かれるままにそのお店に行ってしまった。
お金ないし、あんまり雰囲気ピンとこなかったら引き返そう、そう思ってお店の前まで到着。

駐車場は車でいっぱい

……この外観のお店はぜっっったいに美味しいに決まってる!
いつの間にか私はお店の扉を開けて、席に座っていました。

あったけえ雰囲気

店内の雰囲気も素晴らしい……お店の名前は『山佐屋』さん、諏訪大社本宮からは歩いて5分もかからない場所にあり、お客さんもたくさんいます。

名物は『やまさや御膳』という名物のうなぎとそばだけでなく天ぷらや刺身も盛られたよくばり御膳なんですが、頭の中がうなぎで一杯の私はうなぎ定食なるものを注文。

うなぎ定食はその名前の通り白飯とうなぎが別々に盛られた定食で1口(5口以上はある)そばがついたうなぎ欲を満たす定食。
うな重やうな丼みたいにご飯と一緒になった物は食べたことあるけどこうして別れていると何故かより上品に感じます。

最高の昼ごはん

身を箸で1口台につまみ取り口に運ぶ、蒸してから焼く関東スタイルのうなぎはふっくらとしていて口の中で身がほろほろと溶けていく。
身につまった旨味とうなぎのあぶら、そして甘じょっぱいたれが口の中で広がり白米が止まりません。

最高……だけど4000円以上するよ?
1日目のランチからこんな贅沢なもの食べていいの?
旅行だからいいんだよ(大ダメージ)

小鉢でついてきたそばは風味を強く感じますがつゆは濃いうなぎに邪魔しないさっぱりとした味付けになっていて良い脇役になっています。
もう一つ小鉢でついている豆腐も水が美味しいためかめちゃくちゃうまい。

うなぎを食べて元気満タン、モチベーションが上がりました。
諏訪大社上社前宮まで約2.5km、もちろん歩いて向かいます。

前宮は4社の中で唯一諏訪市でなく隣の茅野市にあります。街から離れた高台の地にあり、普通に観光で歩いていたら通らない場所で、観光地というより本当に古からその場所を見守っているような渋い神社です。

いい意味で境内があまり整備されていなく、イチョウの落ち葉がそのままになっておりそれが絨毯の様になっていてとても綺麗、この旅で一番秋を感じられる場所になっていました。
また、北条時行と共に戦ったと言われる諏訪大社の宮司、諏訪照雲頼重の供養塔があり『逃げ上手の若君』要素を感じられます。

説明掲示板には時行と頼重の行く末が書かれているのでネタバレが嫌な方はじっくり見ないで下さい。

じっくり観光をしておみくじも引いてから出発。
残りの諏訪2社は諏訪市北部にあり一度茅野駅まで行って電車に乗り、下諏訪駅まで行く必要があるので1時間に1本しかない電車に間に合うように急いで駅に向かいます。

茅野駅に着きました、とても静かでかつては栄えていただろうと感じさせる駅の雰囲気が素晴らしい。

出発までまだ時間があるので観光。
駅前には『ベルビア』という複合型商業施設がありクリスマスシーズンに向けて吹き抜けにはクリスマスツリーがあったのですが、本格的ではなくイベントにとりあえず乗っかっている感がして好意が持てる。

年季の入った建物の雰囲気も最高である

茅野駅から下諏訪駅まで中央本線で移動、途中にある上諏訪駅は6月に公開された是枝裕和×坂元裕二で話題になった『怪物』の舞台になっており、序盤の火事現場が撮影された駅前や湊と依里が通っていた学校があるみたいでめちゃくちゃ行きたかったのですが、時間がないので歯を食いしばって諦めました。

下諏訪駅に到着、残すは下社の秋宮と春宮とかっこいいネーミングがつく諏訪大社です。
それにしても下諏訪は上諏訪より位置的に北にあり(下社も上社より北にある)日本地図から考えれば下諏訪の方が上諏訪だろうと思うのが普通なのに逆の名称がついている、そこにどんなルーツがあるのか謎です。
誰か教えてください。

そんなことを考えながら諏訪大社下社秋宮に到着、鳥居のあたりが工事されていてやっているのか?と思いましたが入口が少し狭くなっているだけで境内は静かでとても広々としています。

しめ縄の太さといい、狛犬の大きさといいかなり権威高い神社だと感じます。

広さは4社の中では一番だと感じます。また宝物殿という展示館もあり駆け足で巡りましたがその地の歴史を楽しめるスポットもあります。

神社前の池の周りにある木々がちょうど紅葉になろうとしている時期でコントラストが美しい。

秋宮の観光を終え、春宮に向かいます。
諏訪大社巡りも残すところあと1社、4社すべて巡り終わったら諏訪湖を眺めてゆっくりしようと思っていましたが道中とんでもない誘惑に駆られます。

遊泉ハウス児湯さん

温泉です。
オンセンダイスキ!
この日気温は10度前後とかなり寒く、ここまですでに6km以上は歩いていたので疲労も溜まっていました。
まさに温泉に入るにはベストコンディション、この条件が揃ってしまったら行くしかないでしょう。

『遊泉ハウス児湯』観光客というより市民が日常的に利用していそうな場所ですが、これがいい。
なんと、入浴料が破格の280円……うそでしょ!?
バスタオルとシャンプーを持参していないため、その利用券も購入しましたがそれでも合計880円と安い。
受付にいる女将さんにバスタオルとシャンプーを借ります。

「お客さんここはじめて?」
「はい、観光できました」
「温泉、44℃もあって熱いからゆっくり馴らしてから入るんだよ」
(よよよ、44℃!?!?!?)
私は動揺しましたが、ビビってると思われたくないので。
「ああ、それはいいっすね」
「それと、これバスタオルね」
「ありがとうございます、使ったらどこに戻せばいいですか?」
「持って帰って」
「ええ!」
(500円でバスタオルもらえるの!?)
ただただ、驚かされっぱなし、情報量が多すぎるってこの温泉。

そんなこんなで温泉に浸かってきましたが、極楽でした。
44℃もあると聞いて完全にビビりながら入浴しました。
確かに体験したことない熱さでしたが女将さんの言う通りゆっくりと足から胸に浸かれば問題なし。熱いお湯が全身にうにゅうにゅと刺激するような熱さでむしろめちゃくちゃ癖になる。
露天風呂もありそこは40℃くらいの快適な温度でしたが、熱い温泉に肌が馴れてしまったせいで物足りねえ!って体になってしまうくらいハマりました。

入浴が終わり八ヶ岳牛乳で一服、うますぎる。

バスタオルも手に入れたところで残すは1社諏訪大社春宮に向かいます。
町の高い場所にあり、陽が沈む時間帯に訪れたため眺めが最高、遠くにある山々や諏訪湖が見えます。

諏訪大社巡り最後の1社諏訪大社春宮に到着。

諏訪大社下社春宮の境内は秋宮とほぼ同じです、その理由が当時、神社を建立しようとした藩が同時期に大工に同じ図面を渡していたため、結果ほぼ同時に建立されたという経緯があるそうです。しかし、流派の違う宮大工が手掛けていたため細部の彫刻がされているとか。

また、境内には立派な御柱がそびえたっており、不思議な魅力を放っています。諏訪地方は御柱祭という大木を山の上に運び、参加者と共に下へ滑降するという大変豪快で危険なお祭りが7年に1度行われていることで知られており山岳地方ということもあり木と人が密接に結びついています。

これにて諏訪大社4社の歴訪が完了しました。特に御朱印を集めている訳ではなく写真で収めただけですが満足感があります。

陽が沈むのがほんとはやくなった

さて1日諏訪観光をしていて1つだけ心残りなのは諏訪湖をまともに見ていないことです。これまで電車の中で少しだけと春宮へ行く途中にしか見ていません。是非近くまで行って諏訪湖を眺めてホテルを予約している松本市へ向かいたい。

今いる春宮から諏訪湖まで歩いて30分程、電車の時刻を調べながらとりあえず諏訪湖方面を目指します。

下諏訪駅まで戻ってきて、さらに南下して諏訪湖を目指そうとした時、とあることが頭に浮かびました。
(……休みたい)
諏訪ICからスタートしたこの旅、思えば歩きで神社を巡り気がついたら8~9km歩いています。

溜まっていた疲労は温泉で取ることが出来ましたが、温泉に入ったことにより体が温まり眠気がやってきました。
さらにもう一つ、温泉に入ったことにより出た欲がありました。
(……ビール飲みたい)
テレビ番組プロフェッショナルでよくある演出の「トゥーン」という効果音に黒背景の白テロップが頭をよぎります。

諏訪湖はもう見たことにして電車がくるまでの時間で1杯やろう、そう決めました。あとはお店を探すだけです。
そんな時、こんな状態の私のために用意されていたかのような欲求ぶっささりのバーを見つけました。
場所は下諏訪駅からほど近い、クラフトビールバー『駄菓子とビールとコーヒーのお店 ちいとこ商店』です。

店名から分かる通り、駄菓子を食べながらお酒やコーヒーが楽しめるバーになっています。
バーと言っても入りにくい雰囲気は一切なく和や木を基調としたぬくもりのある場所で素晴らしいお店でした。
私が注文したのはクラフトビールの中のスイートバニラスタウトという銘柄。真っ黒いのが特徴です。

駄菓子は入口にコーナーが設けてあり、好きなだけとってから会計をするシステムで駄菓子屋さんみたい、昔から大好きなよっちゃんいかとヤングドーナツを選びました。
スイートバニラスタウトはビールののど越しと旨味がありながらバニラの風味と後味にはチョコの風味がして上質なバニラチョコレートを食べているような気分にもなれます。

体感した事のない味がして新鮮だし、味がめちゃくちゃうまい。
奇跡的によっちゃんイカとヤングドーナツとの相性も良かった。

マスターさんの人柄がとてもよく、何故クラフトビールバーを下諏訪で始めようと思ったのかや、私の旅行の話が弾み、電車の時間の都合であまり滞在できませんでしたが大変楽しい時間を過ごせました。
またゆっくり時間が出来た時に行きたいです。

そうして下諏訪駅から中央本線で松本駅まで行って松本市内で1泊、夜や翌日の様子は次回の記事で書いていきますが、諏訪を旅をして思ったのはとてもやさしい人が多いなという印象です。

もちろんどこに行っても優しい人はいますが、うなぎ屋さんや温泉、バーでいろんな方と話すことが出来て地域の人と交流が出来て特に温かみを感じることが出来ました。
この後の松本観光の様子も記事にします!

11/25更新 松本観光の様子を記事にしました!

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