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愛はエゴか

■投稿企画に参加してみました。
#映画感想分文

とても美しい映画を観ました。
あ、劇場でではなく、お決まりの自宅WOWOWでww
つい昨年に劇場公開されたので、ご存知の方や実際劇場に行かれた方も多いかもしれません。
原作本もあるので、既読の方もおられるかも。


【エゴイスト】


★★★以下、ややネタバレあり★★★

ゲイである浩輔は、自分がゲイだということを隠し、日々の虚しさを感じながら、それでもファッション業界という華やかな世界で生きていました。
ある日、友人の紹介でパーソナルトレーナーの龍太と知り合い、二人はすぐに惹かれ合い、恋に落ちます。ひとときの幸せな日々を過ごすのだけれど、龍太から突然の別れ話。
聞けば、貧乏母子家庭で母親が病気になり、お金がたくさん必要。

「パーソナルトレーナーをしながら男娼の仕事をしていたのだけれども、アナタと出会ってから他の男に抱かれるのが辛くなった。
男娼を続けるうえで、これ以上アナタと会うのは辛すぎる。そういう訳で別れましょう」

まぁ、こんな理由。その時は既に、浩輔も龍太のことをとても大切に想ってたので、ひとつの提案をします。

「僕が君を買う。僕が君の専属の客になる。それでどう?」

悩んだ挙げ句に龍太はその提案を受け入れ、足りない金額はガテン系の仕事に転職して男娼から足を洗った。

浩輔は、大切に想う人が幸せであるように手を尽くします。

自分の愛する人である龍太はもちろん、その周り、龍太の病気の母親、全てが幸せであるように手を尽くします。
その状況が、浩輔自身を幸せにしてくれる。
それで浩輔自身が「幸せだ」と実感出来る。

そんな幸せな日々との別れは、突然やってきます。
浩輔は龍太が残したモノを、龍太を愛するように愛し、尽くそうとします。
でもなんでしょう、満たされない。
ある場面で、浩輔は龍太の母親にこう言われます。

「息子をたくさん愛してくれてありがとう」

けれども浩輔は答えます。

「僕は、愛が何なのか分からないのです」

愛する人を愛する、ということ。
それはつまり自分を満たすこと。
愛する人が幸せであれば自分も幸せ。
愛する人が苦しんでいれば自分も苦しい。
だから、自分が幸せでいたいから、愛する人を幸せにする。
自分の幸せのために愛する人を幸せにする。
果たしてそれは、愛なのか?
それはエゴではないのか。
自分が幸せになるためのエゴなのではないか。

浩輔は、龍太に男娼を辞めさせた事やお金を渡してた事を悔やむんです。
自分のエゴのために他人の人生を変えてしまった、と。

愛とは何だ。
まさに愛とは自己愛、エゴイズム。
恋愛にしろ家族愛にしろ、地球環境にしろ、自分が心地良く幸せだと思える環境を整えるために、人は対象物に心を寄せる。

じゃあこの世界には愛なんて無くて、あるのはエゴだけなのか。

愛が何なのか分からないと言う浩輔の言葉に
「受け手が愛と感じれば、それは愛なんじゃないかしら」
と答えたお母さんの言葉に、なにか救われた気がしました。

★★★★★★

【美しい男性が美しく絡み合う美しい映像に、ちょっとお洒落なタイトルをつけてみました】みたいな感じの、単なるスタイリッシュ映画なのかなとナメて観たら、とんでもなかった。
この映画のタイトルも、言い得て妙。
なるほど、このタイトル以外考えられない!
とても考えさせられちゃう、美しくて儚くて、優しくて悲しくて、哲学的で素敵な物語でした。

俳優さん皆さん本当に素晴らしいお芝居だったのですが、中でもやはり群を抜いて素晴らしかったのが、主人公である浩輔役の鈴木亮平さんでした。
彼の芝居には唸ったね。
もうホント、芝居じゃないみたい。まるで【浩輔】その人。

日本映画、素晴らしい映画がたくさんあって嬉しいなぁと思った逸作でした。

興味があったら観てみて!

濡れ場満載のR指定ですけど!!!www



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