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ギルティ



私の愛した人は、深い、深い底にいました

とても、冷たくて
とても、温かくて
とても、残酷な人でした

それでも、あなたからもらった
溢れるほどの言葉は忘れられないものです


世界の普通が分からないと嘆いていた

僕のしてきたことを間違いだと言われても
理解できずにいたと話した

僕は、みんなの言う普通を
何一つ出来なかったと話した

“正解は、なんなの?僕に教えて欲しい”

そう、泣きながら何度も私に縋った

“君は、みんなが言う普通の存在なの?”


その壊れた身体を抱きしめたあの頃の私は、
優越感と劣等感に気持ちをせめぎ合わせていた

僕のことを理解しようとしないで欲しい

これ以上側に来ないでほしい

そう、突き放すあなたは何度も何度も言った
“君は、僕とは違う。
僕とは生きている世界が違う”と

これ以上一緒にいたら、
僕は君を底に引きずり込むから、離れて

そう口にした、
あの瞬間だけは時が止まったようだった


美しいものに触れたかった

私の心も美しいと信じたかった…


それを否定されたような感情が
込み上げてきたから


私も、涙が流れたのです。


神様…、お願いです。
私には導けなかった正解を、
彼だけの正解を見せてあげてほしいのです



今日も、あしたも、綺麗な心が
荒んでいかないように…

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