刑法#10 正当防衛①
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正当防衛
犯罪とは「構成要件に該当し、違法かつ有責な行為」である。したがって、構成要件に該当すれば違法性は原則推定される。違法性が阻却される例外的なケースを学ぶのが違法性の論点である。
→正当防衛 正対不正
→緊急避難 正対正
【コラム 法益の均衡】
正当防衛ではもともとが正対不正であるため守られるべき法益の程度が正当防衛により侵害された程度より軽い場合でも成立する。
なお、緊急避難の場合は正対正であるため、守られる法益が侵害される法益より重くないと成立しない。
①刑事未成年や心身喪失者などが自己の法益の侵害に対して応戦した場合、正当防衛が成立する。
→もちろん刑事無責任者を罰することはできないが。
②確実に起きる侵害について予想できるとき、それに対して準備することは正当防衛が成立する。侵害その瞬間については急迫不正であるからである。
→例えば、襲撃を予想して高圧電線を張ってまちかまえている場合。
→ただし、予想できる法益侵害を契機として相手を痛め付けようとしている場合はもはや急迫不正とは言えず、正当防衛は成立しない。
③一度占有を奪われた自己の物を奪い返す行為は窃盗の構成要件を満たすが、違法性が阻却される場合がある。
→自救行為といい、条文明記はないが、判例で認められている超法規的行為である。
→ただし、認めていない判例もある。
※自己の建物を増築するため、敷地内に越境していた他人の軒先を切り取った場合、自救行為として違法性が阻却されず、建造物損壊罪となった。 S30.11.11
④けんかは基本的に不正対不正であるため正当防衛は成立しないが、バランスが崩れた場合、認められる余地がある。
→素手で殴りあっていたのに、一方が拳銃を持ち出してきた場合など。
よって、ケンカというのはまったくもって正当防衛が認められないわけではなく、瞬間的な部分ではなく、全体をみないといけない。
→自招防衛は正当防衛として認めれない。
自分が先に手を出して、それに対して攻撃したことに対して、攻撃することは正当防衛として認められない。
⑤相手を殺した時、たまたま相手も自分を殺そうとしていた、偶然防衛は正当防衛とは認められない。
→防衛の意志がないため。
※防衛の意志は攻撃の意志が併存していたり、憤激が伴っていても認容される。
⑥酩酊した男が女に執拗に絡んだ。危機を感じた女は男を突飛ばし、線路に落ちて電車に轢かれた。この場合、女は正当防衛として違法性阻却される。
→男の生命と女の身の安全という法益を比較するが、正当防衛は必ずしも厳密な法益均衡を要件としない。
→正当防衛が成立するためには「必要やむを得ない」ことを要する。
→結果の相当ではなく、行為の相当性を有する。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為は罰しない。
→◯ 正当防衛であり、代表的な違法性阻却事由の一つである。急迫とは、事がさしせまっている様子。
②13歳の少年がいきなりナイフで襲ってきた。抵抗をして、少年がケガをした場合、正当防衛は認められる。
→◯ なお、刑事未成年者である少年は処罰できない。
③正当防衛は侵害が確実に予期されている場合には侵害の急迫性は失われるため、成立しない。
→✕ たとえば、ある者は襲撃があることを予測して自宅の周囲に高圧電流を張り巡らせた。その後に襲撃者が高圧電流によりけがをした場合、たとえ予期された侵害であっても実際に襲撃された瞬間の急迫性は認められる。
④ある者はバイクを盗まれた。その後に、バイクの隠し場所を探しだしてこれを取り戻した。この場合、正当防衛は成立する。
→✕ 急迫性がないため正当防衛は成立しない。自救行為が認められる余地がある。
⑤けんかでも正当防衛は成立するのが原則であるが、場合によっては成立する余地がある。
→◯ ケンカでは正当防衛は原則的に成立しない。不正対不正であるからである。ただし、対等であったケンカのバランスが崩れて一方的な場合では認められる余地がある。殴りあっていたが、一方が拳銃を持ち出した場合である。
⑥ある者は対象者を射殺した。しかし、気づいていなかったが、このときに対象者も拳銃を発砲しようとしていた。この場合、ある者には正当防衛が成立する。
→✕ 正当防衛には急迫不正の行為に対する防衛の意思を要する。
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