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刑法#48 収賄罪・公務員職権濫用罪

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賄賂罪


→収賄罪と贈賄罪に別れる。前者は公務員の身分で賄賂を受ける、後者は公務員に賄賂を渡す事。
→保護法益は公務員の職務の不可買収性、及び職務行為の公正
 したがって、賄賂を貰った公務員が贈賄者の頼みをきかずに職務を公正に執行した場合、前者の法益は侵したが後者の法益は侵さなかったことになる。これだけでも収賄罪は成立するが、不正な職務行為まですれば収賄罪の範囲で罪が重くなる。
→まだ収賄までいかなくとも公務員が賄賂を求めたり約束させたりすれば賄賂要求罪や賄賂約束罪が成立する。
→収賄罪の行為とは公務員の行為に対して収受、要求、約束をすること。職務というには一般的及び抽象的な職務権限で足り、具体的であることまでは要しない。
 ※例えばロッキード事件では被告の田中角栄元総理は総理大臣として抽象的な職務権限があるので、運輸大臣に対する特定航空機機種を購入するよう指示したのは収賄罪が成立する。
→罪数は賄賂を要求し、約束し、収受したときは一つの収賄罪が成立する。不正な職務行為をすると、収賄罪の範囲内で罪が累積する。
→収賄罪は身分犯であり、公務員という身分を要する。したがって、公務員でない仲裁人などにはあてはまらない。

賄賂とは


→公務員への不正な報酬の一切である。
金品財物はもちろん、異性情交、身分の供与など無形報酬も含む。

単純収賄と受託収賄罪


→前者は請託すなわち、何かするよう具体的に見返りがあるわけではない。後者はそれを要するところに違いがある。当然、後者の方が罪が重い。

事前収賄罪


→公務員になろうとする者が、なる前に賄賂の収受、要求、約束をする収賄類型。当然、公務員になれなかったら不成立。よって、請託と公務員になるという身分が成立要件。

第三者供賄罪


→公務員が第三者に賄賂を供与させる収賄類型。請託が要件。

事後収賄罪
→公務員が退職後に賄賂の収受、要求、約束をする類型。在職中の請託と職務上の不正行為を要する。
 ※ある公務員が、役所内で別のセクションに出向した。前職について請託を受けて不正行為をし、業者から収賄した場合、事後収賄罪ではなく、通常の収賄罪とした判例がある。もし、前職で賄賂の要求や約束だけしかしていない、この場合では公務員に罪を問えないからである。

あっせん収賄罪


→公務員が業者の依頼で他の公務員を紹介する場合の紹介料を収受、要求、約束をする類型。請託と他の公務員へのあっせんが要件

収賄罪と没収


→収賄罪の没収は例外的に、必要的になされる。贈賄が提供されたが、収受されなかった場合は必要的没収となる。
→追徴もあるが、その価額は提供された賄賂の額であることを要する。したがって、その価額は賄賂が提供された当時の価額。

公務員職権濫用罪


→保護法益は国家の司法、行政作用と相手方の個人的法益
→身分犯であるので、公務員であることを要する
→行為とは職権を濫用して人に義務のないことを行わせ、権利の行使を妨害すること。職権とは一般的な職務権限に属する事項で、相手方に法律上、事実上の負担、不利益を生じさせるもの。
→属人主義をとり、国外でも成立する。

特別公務員職権濫用罪


→裁判、警察、検察の職務を行うものが逮捕や監禁を不正にした場合適用され、逮捕・監禁罪ではなくこちらが成立る。加重類型の関係にある。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①公務員職権濫用罪は日本国外においての行為でも成立する。

→◯

②特別公務員職権濫用罪が成立するときら、逮捕・監禁罪は成立しない。

→◯ 特別公務員職権濫用罪は逮捕・監禁罪の加重類型である。

③収賄罪の犯人が収受した賄賂は犯罪組成物に該当するが、情状により没収しないことにできる。

→✕ 付加刑である没収は原則的には裁判官の裁量で決定されるが犯人や第三者供賄における第三者が収受した賄賂は必要的に没収される。
なお、収受されなかった賄賂は任意的に没収されることがある。

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