見出し画像

民法#30 時効①

本気で合格目指すなら❗オススメ資格スクール


Twitter

ブログ

時効


→取得時効と消滅時効がある。
「法は権利の上に眠れる者を保護せず」

民法162条(取得時効)


20年間、所有の意思をもって、平穏、かつ公然と他人のも物を占有した者は、その所有権を取得する。

①20年間
→継続しての占有であることを要する。
→始点と終点において占有があればその間継続して占有されたと推定される。
→旅行にいっていた程度では占有は失われない。
→直接占有はもちろん間接占有(代理占有)でも占有は継続する。
→占有を不法に奪われた場合、占有訴権に基づく回収の訴えを提起して回収できれば時効は中断しない。

②所有の意思
→つまりは自主占有であることを要する。つまり、賃借のような他主占有では認められない。そのような権原は客観的に判断される。

③平穏
④公然
→所有の意思や善意とともに基本的には推定される。

⑤他人の物
→判例によると、自己の物も時効取得することができる。
 例えば、占有はあるが、登記も売買契約書もない不動産の所有を争う場合などである。

ケーススタディ
①二重譲渡された不動産において、一方の譲受人は登記なし引渡し(占有)ありで取得時効の要件をそなえている。もう一方は登記ありで占有なし。どちらが勝つか。
→前者の時効取得が成り立つ。なお、引渡しされた時が占有の起算点である。
 ※これは「自己のものを時効取得する場合」でもある。

②転用認可を受けていない農地を譲り受けた場合(引渡しあり)、時効取得することはできるか。
→認可がない農地を譲り受けた場合でも、引渡しの時を起算点として占有要件を満たせば時効取得は可能とする判例がある。

③公物を時効取得できるか
→原則はできないが、公用廃止がされているか、それが黙示されていれば可能である。
黙示の公用廃止は例えば、長年の間、公共の目的に供用されることなく放置されていた場合などである。

④他人の土地に勝手に樹木を植えた場合、さの樹木に対して時効取得できるか。
→時効取得できる。なお、基本的には樹木は土地に対する従物とされる。

⑤一筆の土地の一部の時効取得
→可能であるとするのが判例である。

短期取得時効 162条2項
10年間、所有の意思をもって、平穏、かつ公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかった時はその所有権を取得する。
→占有の開始の時に善意無過失の要件が取得時効に追加されれば10年で時効取得が成立する。
→なお、自主占有、平穏公然、善意は推定されるため、援用者は期間と過失がないことを証明すれば足りる。
→無過失要件は、売買契約後の取得時効援用など、売買時に過失があるとは考えにくい場合では188条占有者の権利適法推定がかかる。
※権利適法推定は占有者は占有している物に適法に権利を行使するという推定

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①農地を転用目的で買い受けた者は、農地法5条の許可を得るための手続を執らなかったとしても、特段の事情がない限り、代金の支払をして農地の引き渡しを受けたときに、所有の意思をもって農地の占有をはじめたといえる。

→◯ 最高裁判決H13.10.26

②他人のものだけでなく自己の物も時効取得することができる。

→◯

③即時取得と時効取得につき、その過失要件につき、どちらも推定される。

→✕ それぞれ占有により、善意および、平穏、公然は推定されるが、過失に関しては即時取得では推定される、すなわち立証責任がないが、取得事項については過失は推定されない。

④被相続人を複数の相続人が相続する場合、相続分の限度においてのみ、それぞれの相続人は時効を援用することができる。

→◯ 最高裁判決平成13.7.10

⑤地上権、永小作権権、地役権はすべて時効取得できるが、通行地役権につき、時効取得するためには要益地の所有者が自ら通路を開設してそれを通行していることが要件となる。

→◯

⑥ある者は元の所有者から不動産を購入して引き渡しを受けた。しかし、元の所有者は別の購入者にも二重譲渡してしまい、後者において所有権移転登記をした。前者の購入者がその後も当該不動産を占有し続けた場合、要件を満たせば当該不動産を時効取得することができる。

→◯ 最高裁判決昭和46.11.5

⑦他人の所有地に無権限で自己所有の樹木を植栽した者は、その植え付けの時から所有の意思をもって平穏公然に20年間占有したときは、その立木の所有権を時効取得する。

⑧権利能力なき社団が不動産を占有し、法人格を取得した後もその占有を継続したときは、法人格を取得した日を起算日とする時効取得をすることができる。

→◯ 最高裁判決H1.12.22

⑨被相続人の占有に属したものは、特別の事情がない限り、当然に被相続人の占有にうつる。

→◯ 最高裁判決S44.10.30 
 被相続人と相続人が同居しておらず、占有されていない期間があっても、原則的には当然に相続人が占有を引き継ぐ。

#司法書士 #行政書士 #宅建 #公務員試験 #法学 #講座 #聞き流し


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?