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刑法#42 放火罪 補足・判例

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抽象的危険犯と具体的危険犯


前者→公共の危険がなくとも、危険な行為があるだけで、犯罪が成り立つ。例えば、火をつけてすぐに消えてもそれだけで未遂となる。
※現住建造物、他人の非現住建造物等の放火

後者→公共の危険があり、具体的な危険がある場合に成立
※自己の非現住建造物、自己または他人の建造物以外
※未遂の規定もなし

公共の危険

 
最高裁判決H15.4.14
→建造物などの延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定または多数の生命、身体、財産が、危険となること。※特定された多数も含まれる。
最高裁判決S60.3.28
→放火罪の成立として特定のものを焼損する認識は要するが、その結果公共の危険が生じる認識までは要さない。

集合住宅と放火


→一室に対して放火をしても一棟に対して危険が生じたとみなされる。
→マンションのエレベーターへの放火も現住建造物放火罪となる H1.7.7

独立燃焼説と効用喪失説


→前者は判例の立場である。大審院M43.3.4
焼損とは犯人が点けた火が媒介を離れて建造物などにうつり、独立してその燃焼を継続すること。この時、放火は既遂となる。
※S23.11.2
押し入れから放火して天井板の一部を焼損しても放火は認められる。
→布団や畳、フスマなど従物を焼損しただけでは放火とは認められない。

建造物の現住性


H1.7.14
神社の本殿、礼拝所、事務所などが回廊により接続され、夜間も宿直した者のいた社殿は全体として一個の現住建造物となる。
H9.10.21
かわりばわりである家屋を複数人で占有している場合で、去ったものも一定期間後に戻ってくる認識があった。この占有された家屋は現住建造物として認められる。

人がいるとわかっている建物に放火した場合は現住建造物等放火罪の故意があったとされる。人のいる認識がないが、実際はいた場合、故意がないため非現住建造物等放火罪となる。

→後者は効用が喪失した時に放火が既遂となる説で、比較的既遂となる時期が遅い。


→自分所有の非現住建造物や建造物以外から、他人所有の非現住建造物や建造物以外、現住建造物に延焼して成立する。

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