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刑法#41 放火罪

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放火罪


→社会的法益侵害の代表例
→具体的には公衆の生命や身体、財産の安全
→放火罪は抽象的危険犯
 すなわち、火をつけたという危ない行為に対して罪が問われるわけで、その考えにたつと、火をつけてすぐに消えたとしても罪に問えることになる※未遂

現住建造物等放火罪


→現に人が住居に使用し、または現に人がいる汽車や電車、艦船、鉱坑を焼損する。
※飛行機は含まれない

非現住建造物等放火罪


→現に人が住居に使用せず、かつ現に人がいない建造物、艦船、鉱坑を焼損する。
※他人の建造物が原則であるが、自己所有でも差し押さえや物権負担、賃貸借や配偶者居住権の設定があるものは他人所有の建造物として扱われる。また、火災保険のかかる自己所有の建造物も同様である。

放火罪の実行の着手


→媒介物に点火したとき
既遂時期には諸説あり
→独立燃焼説
※判例の立場
火が媒介物を離れて目的物にうつり、目的物が独立しときに成立
※主物が燃えたとき(木造柱や天井板)
※従物その他(畳やフスマ、布団など)が燃えても放火とはならない
公共危険罪としての考え方が強く反映されており、成立時期が早い。
→効用喪失説
物の使用価値の喪失、すなわち、使い物にならなくなった時点で成立。成立の時期が比較的遅く、財産罪としての側面が強い。

具体的危険犯となる場合


①自己所有の非現住建造物など
②他人所有の建造物以外のもの
③自己所有の建造物以外のもの

以上の場合は具体的に公共の危険が生じなくてはならない。
→公共の危険がなければ単なる器物損壊となる。
→公共の危険とは不特定または多数の人の生命、身体、財産に対する危険。特定した多数も含まれる。

延焼罪


①自己所有の非現住建造物から
→現住建造物や他人所有の非現住建造物に延焼
②自己所有の建造物以外から
→現住建造物に延焼
→他人所有の非現住建造物や建造物以外に延焼
※いずれも自己所有の物に火をはなち、他人のものに延焼すること

演習問題

次の問題に◯か✕かで回答せよ。

①Aは深夜に一階が空き部屋で二階にBがすんでいる二階建て木造家屋に放火して全焼させた。火をつける前にAが一階の窓から室内をのぞいたところ、誰も住んでいる様子はなかったのでAは空き家だと思っていた。この場合、Aには現住建造物等放火罪が成立する。

→✕ 事実の錯誤(抽象的事実の錯誤)であり、Aには現住建造物等放火罪の故意がない。非現住建造物等放火罪既遂である。

②知人が所有する木造倉庫に人がいないものと考え、当該木造倉庫を燃やす目的で、当該木造倉庫にあったダンボールの束に火をつけたところ、たまたま当該木造倉庫の中で寝ていた浮浪者がその木造柱に燃え移った火を発見して消化したため、当該木造柱が焼損した場合には、非現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

→◯ やはり抽象的事実の錯誤となる。

③Aは仲間のBCとともにバイクへの放火を共謀した。実行犯のBCは対立する暴走族グループのD宅の軒先でDのバイクを燃やした。しかし、AはDのバイクの所在場所には関知していなかった。この場合、Aに放火罪の共謀共同正犯が成立する。

→◯ 具体的危険犯である放火罪について公共の危険の認識を要しない。したがって、器物損壊罪ではなく建造物等以外放火罪の共謀共同正犯が成立する。

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