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民法#48 盗品又は遺失物の回復

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盗品又は遺失物の回復

通常、即時取得が成立する場合、元の持ち主に何らかの帰責事由がある場合が多いが、盗難や遺失の場合は元の持ち主に帰責できない。
→なお、横領は横領する者に占有を許諾している点で元の所有者に帰責性がある。

【コラム 即時取得の要件】
①動産
②占有の移転※占有改定
③善意 無過失 平穏 公然※なおすべて推定される
④無権利者からの占有の移転
⑤取引があること※売買や譲渡など

動産は登記のような公示制度がないため、占有すなわち外観を信じて取引に入った者を保護する必要があり、要件を満たした占有に公信性を認めている。それが即時取得である。

しかし、利益衡量の観点から、盗品や遺失物の場合は193条により調整されている。

前条→192条の即時取得
占有物が盗品か遺失物→横領物は含まれない
盗難又は遺失の時から二年→盗難や遺失を知ってからではないことに注意

【復習 除斥期間】
一定の期間が経過すれば法的効力がなくなること。消滅時効と似て非なる概念で
①更新や完成猶予がない
②援用を要しない
③特に遡及するわけでもない
という点で異なる。盗品又は遺失物の回復における二年間は除斥期間の典型例である。

194条
盗品又は遺失物の占有者が競売や公の市場、同種の物を販売する商人から購入した場合は支払った代金を弁償しなければその物を回復することができない。
→したがって、弁償を受けるまで占有者は占有物を普通に使用することができる。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①他人所有の動産を自己の所有物と誤信して占有を開始した場合は即時取得は認められず、その者から善意・無過失で当該動産を買い受けた者についても即時取得は認められない。

→✕ 転得者は要件を満たせば即時取得をすることができる。

②無権利者が伐採した木を譲り受けた場合、伐採前の立木を無権利者から譲り受けた者が自ら伐採する場合と大差ないので即時取得は認められない。

→✕ 伐採した木は動産であるため、設問の場合は即時取得が可能である。なお、立木自体は土地に付属している存在で動産ではない。

③A所有の甲時計が盗まれ、その事実について善意無過失のBが、公の市場において甲時計を買い受けた。この場合において、BはAから甲時計の回復を求められたとしても、代価の弁償があるまで無償で使用する権限を有する。 

④無権利者から善意・無過失で土地上の立木を買い受け、これを伐採した者は、その伐木を即時取得することができる。

→✕ 取引の時に立木が土地の一部であるため即時取得はできない。

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