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民法#51 占有権②

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占有訴権


→占有という事実状態に基づき裁判所に提起できる権利。本権の訴えとは別物である(物権的請求権)。したがって、本権も占有権もある場合は選択的に提訴することができる。
→占有回収の訴え、占有保持の訴え、占有保全の訴えがある。

占有回収の訴え


→その占有を奪われた場合に提訴できるため、騙された場合はできない。
→提訴は占有を奪われてから一年以内に提起しなければならない。占有を奪われたことを知った時が起算点ではない。
→占有回収の訴えに対して本権で対抗することはできないが、反訴することは可能である。したがって、占有回収の訴えで勝って、本権に基づく訴えで負けることはありうる。両者は別物である。
→賃貸借により、相手に任意にわたした場合は奪われたとはみなされない。
→法人の代表者がある法人の動産を所持している場合、特別な事情がない限りはその代表者個人ではなく法人の名で占有回収の訴えをするべきである。なお、基本的には法人の代表者の動産占有は法人の直接占有とされる。
→強制執行により占有がなくなった場合は基本的には占有回収の訴えはできない。しかし、強制執行が著しく違法など特別な事情がある場合はこの限りではない。

占有の承継人への返還請求


①aはbに動産を貸して引き渡した。cがそれを盗んだ
→aはbを媒介として代理占有をしているためcに占有回収の訴えを提起することができる。
→代理占有権が生まれる賃貸借契約などに瑕疵があっても、代理占有権の有無などには影響しない。
→ある動産に賃貸借関係がある。しかし、賃貸人が真の所有者でない場合、真の所有者が時効の更新の手続きをする場合、直接占有している賃借人にすればよく、賃貸人にも併せてする必要はない。

【用語 占有の種類】
代理占有と自己占有
前者は賃借人や受寄者などを通じて間接的に占有すること。後者は自分が直接的に占有すること。

間接占有と直接占有
前者は代理占有のこと。後者は自己占有のこと。

他主占有と自主占有
前者は他人所有のものを占有すること。後者は自分所有のものを占有すること。

善意占有と悪意占有
本権のない占有のうち、前者は自分に本権があると信じてする占有。後者は自分に本権がないことがわかっていてする占有。

→賃貸借関係などにおいて、期間が終了したからといって代理占有者の占有権がそれによって消滅することはない。しかし、自己占有者が自主占有であることを主張すると、代理占有権は消滅する。よって、本権による訴えなどで対抗せざるを得ない。

【コラム 代理占有権の消滅事由】
①本人が代理人に占有させる意思を放棄したこと
②代理人が本人に対して、以後自己または第三者のために占有物を所持する意思表示をしたこと
③代理人が占有物の所持を失ったこと

占有の承継人への返還請求


②aがbに動産を貸し出して引き渡した。cはそれを盗んだ。aやb,はc,が第三者dに売却した場合に占有回収の訴えを提起することができるか。
→dが善意であればできない。盗品遺失物における即時取得の話になる。
→なお、善意のdが悪意のeにさらに転売した場合もaやbはeに占有回収の訴えをすることができない。

【復習 即時取得と盗品遺失物】
即時取得の要件は
①動産であり
②取引があり(売買や競売、代物弁済、使用貸借、贈与)※相続は含まれない。
③占有の移転があり※占有改定は不可
④処分権限のない者からの移転であり
⑤善意 無過失 平穏 公然
であることである。

これによって得た動産にも遺失物や盗品の場合には例外があり
①盗品や遺失物で
②盗まれたり遺失してから二年以内で
あれば即時取得者から回復請求をすることができる。なお、競売や公の市場、同種の品を扱う商人から購入した即時取得者には、その価格を償還しなくてはならない。また、支払いがあるまで、使用や留置も可能である。

占有の承継人への返還請求


③aがbに動産を貸してcに盗まれた。cが志望してdが相続した場合
→dはcを包括承継、すなわち当該動産だけでなくcの地位も併せて承継するためaとcはdに占有回収の訴えを提起することができる。もちろん包括承継者の善意や悪意は問わない。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。

→◯ 民法202条2項。ただし、本権に基づく反訴は可能である。

②法人の代表者が法人の業務として動産甲を所持する場合には、代表者個人のためにも甲を所持するものと認める特別の事情がない限り、代表者個人が甲の占有者であるとして占有回収の訴えにより甲の返還を請求することはできない。

→◯ 法人の代表者の行為は法人そのものの行為と同視されるため、特別の事情がなければ、法人の代表者による占有は法人自体の直接占有とみなされる。

③甲がある動産を乙に占有させている場合、甲が乙に所有権に基づいてその動産の引渡しを請求したところ、乙が自己の所有であることを理由にその引き渡しを拒んだ場合は甲は占有権を失う。

→◯ 占有代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示した場合、代理占有権は失われる。本権に基づき訴えを提起することになる。

④AがBに対して甲動産を貸し渡しているが、AB間の甲動産の貸借は錯誤に基づくものであった。この場合には、AはBから甲動産を盗みとったCに対して占有回収の訴えを提起することができる。

→◯ Aは代理占有権をもつ。錯誤による瑕疵については別論であり、占有は事実状態により判断される。

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