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民法#65 抵当権と物上代位

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【コラム 担保物権とその性質】
 担保物権は被担保債権を保全するために比較的簡易の手続きで担保目的物を換金し優先的に弁済を受けることができる。
 抵当権、質権、先取特権、留置権が法定されており、前者2つを約定担保物権、後者2つを法定担保物権という。
 また、原則的に担保物権は以下の性質をもつ。
①付従性 被担保債権に付従して権利が存在する。したがって、被担保債権が消滅すると担保物権も消滅する。
②随伴性 被担保債権が譲渡されればそれに伴って担保物権も随伴する。例えば、aが被担保債権をbに譲り渡し、抵当権を設定し、それと同時にcに対して二重譲渡し、確定日付のある証書により債務者に通知したなら、bが対抗関係にて勝ち、b登記を抹消しなくてはならない。
③不可分性 担保物権は分けることができない。したがって、たった100万の被担保債権の回収のために1000万の価値のある家屋を競売にかけることはありうる。※もちろん、回収できるのは100万のみ
④物上代位性
 今回のテーマとなります。

物上代位の序論


→担保物権はその目的物が売却や賃貸、滅失や損傷によって債務者が受けるべき金銭その他(価値変形物)に対して行使することができる。
→原則的に引渡しや払い渡しの前に差押えをしなければならない。
→競売による換価だけではなく、目的物の交換価値をなし崩し的に実現させることも可能。すなわち、賃料(法定果実)に物上代位することが可能。
【コラム 天然果実と抵当権】
基本的に抵当権は設定者に目的物を占有させ、使用させるものなので、債務不履行の後でなければ天然果実に抵当権は及ばない。

特定性維持説


→担保物権が目的物の価値変形物に効力を及ぼすのは当然で、差押えが必要な趣旨は価値変形物が債務者の一般財産に混入するのを防ぐためであるという説
→凡例はこの立場をとってとらず、抵当権者自身の差押えが必要

第三債務者と賃料


→賃貸人は賃借人に建物を貸していた。同時に建物に抵当権を設定していた。
 この場合、賃貸人(抵当権設定者)が債務不履行におちいっても、賃借人は賃料を賃貸人に支払えば問題ない。
 ただし、抵当権者が差し押さえて送達がきたなら、抵当権者に賃料を支払わなければならない。

抵当権の敷金


→賃貸人は賃借にんより敷金を預かっていた。賃貸人は同時に賃貸建物を目的として抵当権を設定していた。
 債務不履行により目的物が差押えられた場合、賃借人の未払いの賃料がある状態で賃貸借契約の解消により敷金は未払い賃料に充当される。
→すなわち、敷金は本来的に未払い賃料に対して担保するものであり、差押えした後でも抵当権者は直接効力を及ぼすことはできない。
→もちろん賃料債権は消滅する。

賃金債権の譲渡と物上代位


事例 aは抵当権設定者であり、己の家屋を抵当権目的物としている。抵当権は登記されている。また、同時に賃借人に貸している。
→aが賃料債権をbに譲渡した場合、抵当権者は譲渡された賃料にまで抵当権を及ぼすことができる。
→抵当権は公示されているため、それをみて判断できる譲受者は、このような例外でも不利益を講じない。
→物権化された賃借権及び賃料債権を譲渡できてそこに抵当権が及ぼせないとなると、制度自体の意義に関わる。譲渡者と譲受者でグルになることもできるのである。
→なお、このケースで賃借人がさらにcに転貸していたとした場合、抵当権の効力は賃借人のcに対する賃料債権にまでは及ばない。さすがに関係ないからである。しかし、賃借人とaが同一人とみなせる事情があればその限りではない。
 例えば賃借人はa,が代表をする法人であるといったケース。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①抵当権者は抵当不動産の賃料債権に対して抵当権を行使することができるので、これに準ずる供託賃料の還付請求権に抵当権を行使することができる。

→◯

②動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が、備えられた後においては、目的債権を差押えて物上代位権を行使することはできない。

→◯ 譲渡され、対抗要件まで備えられてはもはや物上代位できない。債務者が受けるべき金銭が存在しない。

③抵当権者が、物上代位により優先弁済を受けるためには自らが差押えをすることを要し、第三者による差押えによっては物上代位は認められないと判例はしている。

→◯ 他人が差押えをしても担保権者の特定性は維持されないとする。他人が差押えをしていても二重に差押えることにより優先弁済権を主張することができる。配当要求によっては主張できない。

④敷金がある抵当不動産の賃貸借契約に基づく賃料債権を抵当権者が物上代位権を行使して差押えた場合において、その賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は敷金の充当によりその限度で当然に消滅する。

→◯ 賃貸人が預かっている敷金について、賃貸人が抵当権者に優先し、抵当権者が物上代位できるのは賃料債権から敷金分を除いた部分である。

⑤物上代位の目的となる債権に対する転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が差押えをしなかったときでも抵当権者はその債権を差押えて物上代位権を行使することができる。

→✕ 抵当権者は転付命令が第三債務者に送達される時までに差押えを要する。

⑥抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差押えた後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって抵当権者に対抗することができない。

→◯

⑦抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除いて、賃借人が取得する転賃貸料債権に物上代位権を行使することができない。

→◯

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