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刑法#19 教唆①

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単独犯と共犯


→犯罪は故意の単独犯を想定しているが、二人以上の犯罪実行で共犯が成立することがある。
→実行共同正犯と共謀共同正犯は広義の共犯という。ちなみに、前者は現場に正犯がいて共に相互的補完的に利用しあって犯罪実行しているが、後者は共謀に参加しているが、現場にはいない。
→教唆犯と幇助犯を狭義の共犯という。前者は犯罪の意思がない者に決意させ、後者はすでに決意したものに対する行為であることに違いがある。

教唆


→他人に犯罪を決意させて犯罪をするようそそのかすこと。正犯と同じ罪となる。また、正犯が実行しなければ成立しない考えられる。
→漠然としたそそのかしではなく、特定の犯罪であることを要する。場所や日時など、詳細でなくてもよい。
→既に犯罪を決意している者への教唆は成立しない。その場合ら幇助犯が問題となる。
→教唆を教唆することを間接教唆という。もしくは順次教唆ともいう。間接教唆者がさらに別の者へ教唆することを再間接教唆という。いづれにせよ、教唆犯が成立する。また、幇助犯にも同様に成立する。

教唆と間接正犯、共謀共同正犯
→間接正犯の道具とされる者は意思がない。
→教唆と共謀共同正犯には、犯罪を決意する前か後かで違いがある。

共犯従属性説


→狭義の共犯が成立するためには、犯罪を決意させ、実行するという要件があり、実行はどの程度までされれば成立するかという論点がある。通説や判例は、犯罪が実行されれば狭義の共犯が成立するという共犯従属性説にたつ。
→共犯独立性説という、教唆だけで、実行の有無に関わらず犯罪が成立するという異端説もある。

①制限従属性説
共犯従属性説の通説。構成要件に該当する違法行為を実行すれば狭義の共犯が成立するとする。

例えば13歳の少年を盗みに決意させ実行すれば、当人は窃盗の正犯、教唆者は窃盗の教唆犯である。
※なお、少年に決意させたのではなくて、指揮命令関係や共謀があれば共同正犯、暴力などで脅して意思を抑圧している場合などら間接正犯となる。

②極端従属性説
実行行為が、構成要件と違法性だけでなく責任も阻却されない場合に教唆なども成立するという説。この場合、上記の少年の例では、少年が刑事未成年であり責任阻却されるため、教唆犯は成立しない。

教唆未遂と未遂の教唆


→教唆未遂
たとえば、殺人を教唆をした者は、正犯が未遂に終わった場合、教唆者も殺人未遂の教唆犯にとどまる。
→未遂の教唆
たとえば、殺人の教唆をした者が、その者が死なないことをわかっていて正犯が実行行為をしても、教唆が成立するというのが通説。

予備犯の共同正犯


 予備とは本来、実行行為の前にあるものである。共同正犯とら刑法60条より「二人以上共同して犯罪を実行した者はすべて正犯とする」とあり、実行行為を前提としている。したがって、文理解釈としては、予備犯の共同正犯は成立しえないのである。
 しかし、判例は予備犯の共同正犯を肯定している。60条の実行した者とは処罰範囲のことをさしており、予備や未遂を定めた43条の実行は処罰対象となる時期をさしていて、相対的に違うことであるからである。

【コラム 親族相盗例】
配偶者、直系血族、同居の親族の間では窃盗罪を犯した者はその刑が免除される。法は家庭に入らず、という法理。
※刑が免除されても、犯罪自体は成立することに注意。

法定符号説と重なりあいの限度論


→前者は構成要件を成立させるなら、対象に錯誤があっても犯罪は成立するという通説。教唆や幇助でも適用。
※同じ構成要件間で成立
→後者は正犯に錯誤があった場合では、教唆内容と重なりあう中で軽い犯罪が教唆犯として成立するということ。
※異なる構成要件間で成立

犯罪の隠避


→犯罪者が自ら逃げた場合は期待可能性がないため、犯人隠避罪は成立しない。
→他人に逃亡や隠れることを求めた場合は期待可能性が考えられるため、犯人隠避罪の教唆犯である。※頼まれた他人はもちろん正犯

【コラム 犯人隠避罪】
罰金以上、又は拘禁されている者を逃がしたり匿ったりする犯罪

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①極端従属性説に立脚すると、是非弁別能力が十分に認められる13歳の子供が盗みをした場合、これを唆した者は窃盗教唆罪の成立を認めないことになる。

→◯ 極端従属性説は正犯が構成要件に該当、違法、有責な行為をすれば狭義の正犯が成立するとする説。13歳の少年には責任能力がないから教唆犯は成立しない。したがって、間接正犯の問題となる。

②詐欺罪を犯した者が自ら行方をくらましても犯人隠避罪は成立しないが、他人を教唆して事故をかくまわせたときは犯人隠避罪の教唆犯が成立する。

→◯ 犯人隠避罪は罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を隠避することにより成立する。

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