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くるりの英語表記「QURULI」の理由

梅雨はいつ開けるんでしょうか。本当に日々多湿すぎて、家に置いている除湿剤はすぐゼリー状になってしまいキリがないです。この日本特有の環境をメリットとして転用できるアイデアを誰か教えてください。「きのこが育ちやすい」とかは受け付けません。
今回は僕も好きなバンド「くるり」の英語表記についてです。結構話が大きくなります。

競合の少ない場所を見つける

くるりってクリエイターの人たちで好きな人多いですよね。くるりの魅力って何なんですかね…。言語化が難しいです。言葉にできたらまた書こうと思います。突然ですが「くるり」を英語表記にするとなんて書くか知っている人はいますでしょうか。まぁ普通に書くと「KURULI」ってなりそうですよね。でもボーカルの岸田さんは「QURULI」にしたそうです。「K」じゃなくて「Q」です。その理由としてバンド名のブルーオーシャンのポジションになれるという理由が挙げられます。

いまは配信、サブスクがメジャーなので、この考え方は応用しにくいですが、CDがメジャーだった時代、お客さんがCDに触れる機会がある場所はTSUTAYAなどの販売店だったと思います。そこではCDがAtoZに並べられていました。("あ~ん"の方がメジャーですかね…)その中で「Q」は他のアルファベットに比べて、アーティスト名の先頭に持ってくるアーティストがあまりいませんでした。なので競合が少なかったのです。店頭での競合が少ないと、まず目立つし、棚に並んだときに見つけてもらいやすくなるし、既に知っている人からしたら探す手間が省けてストレスが少ない。ちゃんと店頭に並んだときから、それを買ってくれるときまで想像してユーザー体験を考える。もうめちゃくちゃメジャーになって、出しているCDがたくさんあるアーティストからしたら棚の中である程度の幅を持てるのであんまり考える必要はないけども、駆け出しのバンドからしたら結構大事ですよね。モノを作って一番悲しいのは人に届いていないときです。届かないと始まってすらいません。

アーティスト名に限らず、「競合相手の少ない場所を見つける」ってのは物事を設計する上で割と大事なことです。映画監督のクリストファー・ノーランはIMAX70mmフィルムで撮影していることで有名です。『ダークナイト』とか有名なので観たことある人もいるかもしれませんがあれもIMAXです。IMAX70mmフィルムの特徴は、まず超高画質かつフィルム独自の質感があるということと、アスペクト比が1:1.43という既存の枠を逸脱した画なので全く新しい映像体験を提供できるという点です。ただデメリットはめちゃくちゃ金がかかる、重すぎて撮影できる場面が限られるということです。なので他の監督はほとんど使用していません。けどもノーランはあえて使用することで圧倒的な高画質を獲得し、観客の想像を超える映像体験を生み出すことで競合相手を少なくしています。そしてこれはブランドになるので「映画の内容は興味ないけど、あの映像体験ができるなら観に行こう」となります。

自分にもブランドをつける

くるりのバンド名の話からブランドの話になってますが、一応つながっているつもりです。このまま進めます。競合相手の少ない場所を見つける→ブランドがつくの流れは職業にも当てはめられます。例えば僕の今の職業は一応、グラフィックデザイナーという形になると思いますが、グラフィックデザイナーという職業はおそらく日本中で一番生まれているデザイナーです。なので競合相手が多いです。先人の数も多いので横にも縦にも競合がいる世界です。この世界である程度名をあげようと思ったら、血反吐を吐くほど努力をするか、サノスみたいに指パッチンするしかありません。(サノス?と思った方は『アベンジャーズ』を観てください)
でもそれって時間もかかるし楽じゃないですよね。なのでグラフィックデザイナーかつ、他にもできることを自分に足すことで競合相手を少なくすることができます。例えばグラフィックデザイナーだけどビジネススキルもあるとどうでしょうか。商品の売り方も考えつつ、そのプランに合ったデザインを提案できる。さらにテクノロジーのスキルもあるとその希少性はさらに高くなります。これはそのまま自分のブランドにつながります。ブランドがつくと「あの人にしかこれはできないから多少高くてもあの人に頼もう」となるんです。ビジネスとかテクノロジーじゃなくても、「ホラー映画に死ぬほど詳しい」とか「年間300食ラーメン食べる」とか何でもいいと思います。年間300食のラーメンを食べるグラフィックデザイナーって日本においては多分いないと思います。そんだけ食べてればラーメン関係の仕事とか来そうです。

環境を整える

これまで話した通り、競合相手を少なくして希少性を高めることが重要と書きましたがそれを実現するために、何かプロジェクトなりを始めるときはそれを実現できる環境の設計をまずした方がいいと思ってます。100kgのマグロを捌いて寿司を振る舞おうとなったら、100kgのマグロを捌ける包丁とそれを載せるまな板、場合によっては人が何人か必要かもしれない。それらの環境を整えて、ようやくマグロに刃を入れられるわけです。さっきのグラフィックデザイナー×ラーメンを目指すとなると、ラーメンを年間300食を食べるので、1週間に6~7食は食べないといけないですよね。最初はいいかもしれないですけどいずれ地元のラーメン屋は食べ尽くして、どこにどういうラーメン屋があるかリサーチしないといけないし、そうなると時間も必要でしょう。そしたら本業はある程度働いて、1日の半分くらいの時間はラーメンに費やさないといけなくなる。それって明日からパッと切り替えてできることじゃないので、これも環境を整える必要があります。ノーランの映画だってそれだけ高額なフィルムで撮影するための予算を引っ張ってこなくちゃいけません。予算がないと、たくさんの監督が使用しているカメラと同じカメラで撮影することになり差別化できません。

くるりの「Q」の話から大きく飛躍してしまいましたが、まとめると差別化するにはどうしたらいいか、その差別化するにはどういう環境を整えなくちゃいけないかをまず考えることがモノを作る上で重要なんじゃないかと思ってます。今回は以上です!


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