おおとり璃句

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最近の記事

おおとり璃句 短歌置き場 その3

【2021年8月から、2021年10月までの作品より】 →「その1」はこちら →「その2」はこちら 唯一の旋律へ幾千万のことばを乗せた笹舟の群れ 這い出してにじんだ栞たしかめて2ページ戻りきょうを始める はちみつは色とりどりの揺りかごをゆっくりとろり忘れてセピア アゲハ、「ア」の高鳴りいちど飲み込んで、アゲハ、呼ぶこえ世界揺らした ひそやかな好意であざやかに包囲すみやかな勝利をしとやかに 雲のしたおなじ絵の具で描き足したように眩しさふくらみました 砂漠でも芽吹ける種を月

    • エッセイ「情緒の発達速度」(テーマ:初恋)

       世間には、「初恋は実らない」という常套句がある。想定する年齢が低ければ「おつき合いできなかった」ということになるだろうし、高校生以降となると「おつき合いしたものの、結婚まではいけなかった」という意味で使われる場合もあるように思う。  初恋をテーマとするにあたり、年齢順にいろいろ思い出してみる。以前のエッセイ(さつまいもチップス事件)で幼少時の記憶がかなり薄いということを書いたけれど、さすがに恋愛ごとの印象は強く、5歳のときのエピソードが部分的に残っていた。  幼稚園での最

      • エッセイ「さつまいもチップス事件」(テーマ:何故か覚えている記憶)

         他人と話をしていて気付かされるのは、自分は「人生記憶」が全体的に薄いほうだということ。  どうやら大抵の人達には、幼少時の記憶も豊富にあるらしい。わたしはと言えば、小学校四年生以前は霞がかかってほぼ白いモヤモヤ。五年生の時に引っ越し・転校という大変化があったからか、そこからは多少思い出しやすいものの、断続的でスッカスカ。そして中学も高校も、社会人になってからでさえ、何を体験してきたかあまり振り返ることができない。  学問や趣味領域についての知識の保持にはむしろ自信があるの

        • おおとり璃句 短歌置き場 その2

          【2021年5月から、2021年7月までの作品より】 →「その1」はこちら うなばらが空を旅する季節にはさかさの船ですすむひとびと この庭の紫陽花すべて蒼いこと非科学的に語ってみたい 道筋を逸れては母のまなざしが冷えた おまえは醜い名刺 家族の絵ならばなおさら止まらないマトリョーシカを解体する手 さん付けにつぼみの響き感じたらひらくまでつい目が離せない 摂取した悲恋の書物じゅうぶんだあの病にはかからないはず 鍛えだす表情筋と腹筋と胸の内部をキュンてする筋 なお、危険です

        おおとり璃句 短歌置き場 その3

          おおとり璃句 短歌置き場 その1

          【短歌を始めた2021年1月から、2021年4月までの作品より】 給食を同じ速さでかきこんで君を追うんだ秘密基地まで 3分の2を約分はできないと習ったけれどわたしが去れば ありがちに教室のなか殺し合い始まる予感きょうも当たらず 雑踏に影見分けたら下を向く頬と脚とが暴れないよう 飲み込んだ言葉のしずく瓶の底 液体勇気、追加注文 写真たてサヨナラ告げて振り向いてひとみ見つめて未来探して 服だけが行きと帰りで変わらない革命的な週末のあと 君となら千代に八千代に眠りたい新居の布

          おおとり璃句 短歌置き場 その1

          『けむりと生きる・追想』第2章

          『けむりと生きる・追想』(連作短歌+付属掌編小説) 連作短歌の全体像はこちら→ https://note.com/ricautoly/n/nf3878c47a95e 第1章はこちら→ https://note.com/ricautoly/n/n074c4ee61bb2 ■■第2章■■ ■風が吹きちょっとかがんで手を添えるあんな感じで守られたなら  あの国語教師は問題外だけど、3年生の時に新しく来た英語のレイコ先生は大好きになった。  堂々としてカッコイイ。厳しいときは厳

          『けむりと生きる・追想』第2章

          『けむりと生きる・追想』第1章

          『けむりと生きる・追想』(連作短歌+付属掌編小説) 連作短歌の全体像はこちら→ https://note.com/ricautoly/n/nf3878c47a95e ■■第1章■■ ■とうさんはじょうきをふいてめがひかるきかんしゃみたくおしごとしてた  わたしのおとうさんは、ごはんをたべたあとは、かばみたいにのっそりしています。  あそぼうっていっても、ぜんぜんうごきません。こんなときのおとうさんはかっこわるいです。  でも、おしごとのへやで、つくえにすわっているときは

          『けむりと生きる・追想』第1章

          連作短歌『けむりと生きる』

          『けむりと生きる』 (連作短歌26首) とうさんはじょうきをふいてめがひかるきかんしゃみたくおしごとしてた あの父がタバコをやめた妹のためで私のためではなくて 反抗は肺まで容れず浅はかに記号を纏うだけの時代さ 限りなく優しくという名を持った細いつるぎが似合っているね 風が吹きちょっとかがんで手を添えるあんな感じで守られたなら 金属の重みでガチリ響く音世界撃ち抜くような指先 「害がある」顔にはっきり書いてあるだけど会うのをやめられないわ 宵闇の川べりをゆく一匹の

          連作短歌『けむりと生きる』

          短歌から産まれる唄#2「無」さん

          おおとり璃句企画『短歌から産まれる唄』 短歌をもとに、少し歌詞として整え、旋律をつけました。 第2回は「無」さん( https://twitter.com/naknar32 )の作品から。 痛みを歌いながらも、それだけでは終わりません! 原作短歌:無 ( https://twitter.com/naknar32 ) 企画/補作詞/作曲:おおとり璃句 ( https://twitter.com/ricautoly ) 補作曲/編曲:D.鳴楼 ( https://twit

          短歌から産まれる唄#2「無」さん

          短歌から産まれる唄#1「音麻」さん

          おおとり璃句企画『短歌から産まれる唄』 短歌をもとに、少し歌詞として整え、旋律をつけました。 第1回は「音麻」さん( https://twitter.com/uranoko_u )の作品から。 独自の空気感を持つ推し歌人です! みんな注目! 原作短歌:音麻 ( https://twitter.com/uranoko_u ) 企画/補作詞/作曲:おおとり璃句 ( https://twitter.com/ricautoly ) 補作曲/編曲:D.鳴楼 ( https://t

          短歌から産まれる唄#1「音麻」さん