おおとり璃句 短歌置き場 その1

【短歌を始めた2021年1月から、2021年4月までの作品より】


給食を同じ速さでかきこんで君を追うんだ秘密基地まで
3分の2を約分はできないと習ったけれどわたしが去れば
ありがちに教室のなか殺し合い始まる予感きょうも当たらず

雑踏に影見分けたら下を向く頬と脚とが暴れないよう
飲み込んだ言葉のしずく瓶の底 液体勇気、追加注文
写真たてサヨナラ告げて振り向いてひとみ見つめて未来探して
服だけが行きと帰りで変わらない革命的な週末のあと

君となら千代に八千代に眠りたい新居の布団ふかふかみどり
わたしたち血にまみれたりしたくない 林檎はいつも堂々と赤
この夜が最後であると知っているついでだからと玉葱を切る
届かない場所へ合鍵投げ込んですべて一方通行の朝
やあどうも霜柱さん見ていてよ涙が凍るまでの時間を

駅を出て幾多の別れ乗り越えてそっと息づいている裏路地
常温で長期保存が可能です防災用にどうですか、愛
ふたりとも悪人指数50です 相性指数100となります
『飽きる』とは世界かき混ぜ熱くするための機能だ、たぶんね。やだね。
歴代の恋人くれた雑貨とかまだ使ってる あなたの以外

陽光に爛れそう、本、取り出そう 鞄のなかの闇がいとしい
ころげ出た子等の輝き蹴りかえす枷が砕けた足を見つめる
時計捨て眠れぬ夜は伸び縮み 無限と遊び ほら、夢うつつ
重要度低い骨から燃料にかえて走っているがどこまで

挫折して仕舞いこまれた楽器たち今夜一斉蜂起しないか
天国をまたぐ通信障害で仏壇すべて機能しない日
残響でやっと姿が見えました美しいですその命乞い
革命に逆利用せよ普及した小型の思考停止装置を

雪のない国では雪のある国のきれいな痛みもう遠すぎる
人間語喋れる魔法かけてみた犬の一言目が「泣かないで」
崩壊を語り継ぐ者すらなくてひずんだ音のラジオ体操
おもいだしわらいをふふふそういえばわたしはなんのどうぶつだった




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