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寒い日にイラン料理店に行った

空はものすごく青いけれど、なんだかとても寒い。日が出ていて直射日光はあたたかいのだが、放射冷却のほうが勝っているらしい。曇っている日の方がかえって気温が高かったりする高地砂漠マジック。噴水も凍っている。

こちらにきて3ヶ月になるが、最も仲良くしているのがホストの先生で、次がイラン人の院生さんなのだが、なんとも皮肉な時代である。実は、イラン人を紹介されたときにビザを隣国に取りに行かなければならなかったのだと聞いたときは「なんだっけハテ?」と政治音痴ぶりを発揮していたが、イランとアメリカは国交断絶中なのであった。なのでイランにはアメリカ大使館がなくてビザが国内では取れなかったというわけ。とはいえビザが発給されないわけではなかった。

しかし新しい大統領が、中東のイスラム系の国の人の入国を禁ずるとかなんとか言い出して、さっそく中東の研究者が航空会社にアメリカ行きの便に乗せてもらえず足止めを食っていたり、アメリカの名だたる大学や企業が外国に出張に行ってる人はとにかく早く帰ってこいと言ったりしている。

イラン人の院生さんも、一度国に帰ったら二度と帰って来れないだろう、と学位が取れるまで家族に会えないような雰囲気。

なんだかすごいときに、ドンピシャリな知り合いができてしまったなあ……。と一瞬数奇な運命を感じたけど、つまり、アメリカにいるイラン人、あるいはほかの中東人は、そんなに「レア」じゃないってことだ。アメリカには結構な割合でいる。そうした地域から来ている人、いるぞ。例の大統領は、そういう人たちを迫害している、ということだ。

なにせ、うちからもっとも近いレストランもイラン料理店だしね。(実際に店を経営しているのはクルド人じゃないかといっていた。)

ところで、今日はそのイラン料理店に行ったのだが、不思議とおいしい。肉を焼いたものとかはまあ想像がつくしふつうにおいしいのだけれど、なすのペーストに乾燥させたミントがどっちゃりのってる料理とか、塩味がちょっときつい飲むヨーグルトとか、一瞬「ん?」となるけど、味のバランスがいいのか、3くち目くらいからおいしい。ふしぎ。

ちなみに写真は、豆と牛肉の酸っぱいスープ。レモン果汁かなんかがたっぷり入っていて、さっぱりおいしい。

あと、こうした細長い米がおいしい。日本人は米が不作でジャスミンライスを輸入して食べる羽目になったときに臭いマズいって言ってたけど(いつの話だ)つまり食べ方がわかってなかったんだなとおもうのであった。

イラン人に「日本では、アフリカの方が遠いのにアフリカ研究者はいるし、私の出身の大学にはアジアアフリカ研なんかもあった。中東の研究者もいたけれど、なぜか中東が最も遠い感じがするけれど、なぜだろう?」すると同席したアメリカ人の先生も「アメリカもそうかも」という。

彼女の答えは「映画とかが少ないからじゃない? イラン人は日本映画とか結構見るし、ハリウッドも見るし、アメリカのテレビドラマはメジャーなので、アメリカの生活なんかはイメージしやすい」といっていた。

なるほどなあ。映像作品があるかどうか、それが世界に流通しているかどうか、なんて考えたことなかったな。

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