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アリス九號.の新型コロナ感染対策はモデルケースになりうるか?

2020年8月29日、ヴィジュアル系バンド『アリス九號.(アリスナイン)』が、東京・新木場STUDIO COASTにて16周年記念ライブを行いました。

ライブ開催に際し、彼らが実施した新型コロナウイルス感染防止対策。

音楽・演劇業界において現状の最適解だなと感じたので、ファン目線で書き綴っていきます。

事の経緯

7月某日、アリス九號.officialから1件の通知がきました。

「16周年記念ライブやります!(超要約)」

え? マジでやんの? ていうか、やれるの?

私を含めた周りのファンはざわつきました。
ちょうど感染者が爆発的に増え、コロナ第二派到来が懸念されていた時期にライブ発表。
音楽・演劇業界が少しずつ動き出していたとは言え、果たして本当に開催されるのかと全員が疑心暗鬼に。まぁ開催されたんですけど。

そもそもアリス九號.は4月からのアルバムツアーをほぼ全公演延期しています。
そんな中でなぜ開催するのか考えていくと、おそらく「箱(ライブハウス・ホール)の予約問題」も含まれているでしょう。

彼らの通年スケジュールは、ここ数年下記のように固定されています。
・年明けライブ(1月)
・バレンタイン、ホワイトデーライブ(2、3月)
・春ツアー(4~7月)
・周年ライブ(8月)
・下手ギター生誕祭ライブ(9月)
・ワンマンツアーorイベントツアー(10~12月)
・クリスマスライブ(12月)

あら、社会人にとっても優しい。一年の見通しが立てやすい。

箱の予約は通常でも1年前~半年前に押さえるのが基本です。
今回の周年ライブも、昨年の時点(もしくは年明け)には押さえていたはず。

・仮に振替するにしても、抑えられる箱が無い(そもそも周年ライブは周年以外の時期にやっても意味がない)。
今はどのジャンルの公演も、延期からの振替で箱の争奪戦が予想されます。
・かといってキャンセルするとキャンセル料も取られる。
・主な収入源たるライブが既に半年もできていない。

要するに、決行するしか選択肢が無かった可能性があるのです。

どんな対策を取ったか?

実はアリスさん、7月の時点でボーカルの生誕ライブを開催していました。
(これもおそらく、上記の問題が絡んでいる可能性が高い)

その時の感染防止対策がこちらです。

細かい部分は上記動画を見てもらうとして、主な部分をざっと書き出すと以下の通り。

・出演者、スタッフを事前に抗体検査
・スタッフ、来場者ともにマスク&フェイスシールドを着用
・入場時にアルコール消毒
・サーマルカメラを用いて、来場者の検温(37.5度以上は入場不可)
・チケットの半券に氏名・住所・連絡先を書いて回収、身分証の提示
・ソーシャルディスタンスを考慮した座席配置
・終演後の退場規制

この感染防止対策は、今回の8月公演でもそのまま引き継がれました。

来場者側から見て、各対策はどうだったのでしょう。

現状の最善策。不便はあるがメリットも大きい。

これ以上の対策は予算や諸事を考えても難しいだろうな、が感想です。
できる限りの最大限かと思います。

まずは座席。今回はイス有りの指定席でした。
新木場STUDIO COASTの通常キャパシティは、オールスタンディングで約2400人、座席ありで約1100人。
今回は座席の前後左右にイス一個分を空けてソーシャルディスタンスを確保していたので、おそらく1000人も入れていないでしょう。
来場者としては、周りに空間があるから人とぶつかる等の接触がなく、快適に過ごせました。

座席と絡めて物販。
周年ライブ限定グッズは全て通販でのみ販売、会場での販売はチェキを含めた過去グッズのみでした。

座席指定だと皆ゆっくり来るよね、しかも物販が通販で買えるなら早く来る必要も並ぶ必要もないもんね。

というわけで、物販のために三密状態になるのを避けられ、かつ入場時の密も避けられるので、発送コストはかかっても通販を選んだのは最適解だと思います。

(あとファン目線で言うなら、毎年周年グッズは午前中から並ばないと買えなかったから、通販でサクッと手に入れられるのは嬉しい)

終演時の退場規制も、かなり快適でした。
一度でもライブに行ったことがある人なら分かると思いますが、終演後のドリンクカウンターと駅、めちゃくちゃ混むじゃないですか。

駅はまだいいとして、ドリンクカウンター、お前だ。
終演後にどっと人が押し寄せるので、ドリンクもらうまでに5~10分はかかる……なんてザラです。

退場規制があると、スッと出てサッとドリンクを受け取って外に出られる。駅のホームもライブ帰りのバンギャでごった返しにならないし、電車も座れて超らくちん。

快適すぎる。退場規制は今後も導入してほしい。


来場者側のメリットではないけれど、サーマルカメラを用いた検温、あれ便利ですね。
対応するスタッフも2人ほどで事足りるし、額に当てるタイプよりスピーディー。

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一度に10人~20人を判別可能でレンタル代は約2~10万円とのこと(業者・セット内容によってレンタル費は異なります)。

最安2万なら意外とリーズナブル。
百貨店等で導入しているところもありますね。


で、デメリットの面。
これはV系のライブ文化と大きく関係しますが、フェイスシールドがあるとやっぱり暴れにくい。

というか、暴れていいものなのか分からず、ヘドバン曲では周りを様子見していました。

ちらほら頭振っている人はいたし、自分も途中から振ってはみたけど、全力ヘドバンはできない。
フェイスシールドぶっ飛んでいくんじゃね? と遠慮が生まれます。

途中で我らが魔王・ボーカル将さんが「全部受け止めてやるから、マスクもフェイスシールドもぶっ飛ばしてこいよ!」と仰ったので、ぶっ飛ばす勢いで暴れてみようかと思いましたが……

いや、暴れられんわコレ。頭に何か乗ってると単純にヘドバンしにくい。

あと、マスク&フェイスシールドだと、どうしても熱がこもりやすいのが難点。
実際フェイスシールド内が曇って「ステージが見えにくいなー」となった場面もあったので、鼻から下だけのシールドがあったら嬉しい。それ意味あるのか分からないけど。

結構みんな、「暴れていいの?」「メンバーコールしていいの?」って雰囲気でした。
アンコールの時は手拍子のみでしたし。

このご時世、ライブをやってくれるだけでも有難いので、あまりワガママは言えません。
それでもやっぱり、早くコロナ落ち着いていつものライブ空間を存分に楽しみたいなーとは思いました。フェイスシールドが要らない世界に早く……!

フェイスシールド云々は前述の通りV系文化と絡めた話なので、一般的な音楽・演劇であれば相当に有効かとは思います。
ただ問題はやはりキャパと収益の面で、ソーシャルディスタンスを確保しつつ採算を取るにはどうしたらいいのか。

今のところ、ライブ配信チケットの販売しか方法が無さそうです。
ただしライブ配信もそれなりにコストはかかります。
「これで解決!」とはいかないので難しいところ。

収益絡み以外の感染防止対策は、今回アリス九號.が行った方法がベストでしょう。
他のライブや観劇には行っていないので、「こっちではこんな感じだったよー」とTwitter等からコメントいただければ、比較検討の記事でも書きます。

以下、せっかくなのでライブの感想……いや愛が重たすぎるポエムを。痛々しいので見たい人だけ読める仕様にしておきます(ビビりチキン)。


バンドが16年続いていることに感謝しかない。

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ここ数年、周年ライブへ行く度に(なんなら周年以外でも)感じていますが、バンドがオリジナルメンバーで16年続くって奇跡ですよ。

私がアリス九號.のライブに行きだしたのが14年前。
その頃は自分が14年後もアリス九號.に通っているとは思わなかったし、バンドが続いているかなんて考えたこともありませんでした。
今回の周年ライブのコンセプトが、その14年前のアルバム。

こりゃもう行くっきゃねぇ!

幸い、ひとり暮らしで完全在宅勤務。
ライブ後に自宅で2週間謹慎が可能な身です。

例年なら友人たちと3人で周年ライブに参加していましたが、2人とも仕事柄、現地参加は断念。久々のぼっち参戦でした。

そして序盤の「グラデーション」で既に泣く私。
フェイスシールドが曇る曇る。

14年も追っかけていれば、アリス九號.のライブ=実家のような安心感があります。
実家のみそ汁を飲んだ時のような、ホッとする感覚。

ちなみにいつぞやのインストでボーカルの将さんにそれを伝えると、

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